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Drug Atlas · B11 Diuretics / 利尿薬 · 必修

トリアムテレン

triamterene

分類
Diuretics / 利尿薬
商品名(日本)
トリテレン
商品名(EU)
Dyrenium
科目
Pharmacology
トピック
B11: Potassium sparing diuretics, ADH antagonists, osmotic diuretics
禁忌疾患
慢性腎臓病
副作用
悪心
監視検査値
カリウムクレアチニン
相互作用
インドメタシン

🧠 全体像:はと同じ集合管の上皮性Na⁺チャネル(ENaC)を直接遮断するので、教科書的にはこの2剤がセットで扱われる。も適応の考え方もとほぼ重なるが、特有の腎結石リスクと(は未変化体のまま)という2点で明確に区別できる。単独使用は少なく、のが問題になる場面や、他のK排泄(系など)とのK喪失目的の併用が中心になる。

薬効群の中での位置づけ

項目
標的 ENaC() ENaC()
代謝 ほとんど代謝を受けない 肝で代謝されp-hydroxytriamterene体になる
排泄 未変化体のまま 代謝物として(8時間で80%)
腎結石 報告は乏しい 成分そのものが結石組織から検出される——腎結石既往は禁忌
NSAIDs併用 特記的な禁忌ではない ・との併用は禁忌(の報告)
単剤としての使われ方 、でのMR拮抗薬の代替 系(例:/配合剤)とのK喪失が中心

⭐ 「同じ標的でも代謝経路と禁忌が違う」がこの2剤の対比の核心。 はのみでを受けないため腎障害時に蓄積しやすい一方、はを受けるが腎結石という別の有害事象を持つ。どちらもでに有効という共通点がある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triamterene'>トリアムテレン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collecting duct principal cell'>集合管主細胞</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luminal (apical) membrane'>管腔側膜</span>へ到達"] --> B["上皮性Na⁺チャネル(ENaC)を直接遮断"]
    B --> C["Na⁺の再吸収が低下"]
    C --> D["Na再吸収に伴う<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumen-negative potential'>管腔内陰性電位</span>が失われる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated'>電位依存性</span>のK⁺分泌・H⁺分泌が低下"]
    E --> F["K保持・軽度の代謝性アシドーシス傾向"]
    B --> G["受容体を介さないためアルドステロン濃度と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unrelated'>無関係</span>に作用"]
    A --> H["肝で代謝されp-hydroxytriamterene<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulfation'>硫酸抱合</span>体になる"]
    H --> I["代謝物として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary excretion'>尿中排泄</span>(8時間で約80%)"]

💡 との機序は同一だが、体内での「行き先」が違う。 は腎からそのまま排泄されるのに対し、はを経てから排泄される。この違いが腎機能低下時の蓄積のしかたや薬物相互作用(NSAIDs)の差につながる。

薬物動態

項目 値・特徴
蛋白結合率 約67%
代謝 肝でp-hydroxytriamterene及びその体に代謝される()
排泄 代謝物として。投与8時間後に80%が排泄される
作用発現・持続 米国添付文書(配合剤)では発現1時間以内、2〜3時間、持続7〜9時間

適応・用法

地域 適応・用法
日本 高血圧症(本態性、腎性等)、心性浮腫()、腎性浮腫、肝性浮腫。として通常成人1日90〜200mgを2〜3回に分割1
米国 に加え、/配合剤が広く用いられる。配合剤(37.5mg/25mg)は1日1回1〜2カプセルで、単独で低K血症を起こす患者、またはK喪失を避けたい高血圧・浮腫が適応2

⭐ 単独で高血圧・浮腫の第一選択になることは少なく、他の利尿薬とのK喪失という「add-on」的な位置づけがと共通する。

禁忌・注意

  • 禁忌(日本):①、②、③、④腎結石及びその既往歴、⑤又は投与中1
  • 禁忌(米国、配合剤):又は高度腎障害、既存の、他のカリウム保持性薬・カリウム製剤の併用、過敏症2
  • ⚠️ 腎結石既往が禁忌に含まれるのはに特有——の添付文書にはこの禁忌はない
  • ACE阻害薬・ARB・カリウム製剤との併用は値を上昇させるおそれがあるため、K保持性の薬効群が重ならないよう注意する
  • NSAIDs(特に・)との併用での報告があり、日本の添付文書では禁忌に指定されている

副作用

が主体で、頻度・重篤度は用量とK排泄能(腎機能)に依存する。日本の添付文書では(0.1%未満)が重大な副作用として挙げられている。腎結石はまれだが、成分自体が結石組織に検出されることが知られており、腎結石既往のある患者では使用しない。

まとめ

  • はと同じENaC遮断型・の。
  • との最大の違いはを受ける点と腎結石という特有の有害事象——腎結石既往は日本・米国いずれの添付文書でも禁忌または禁忌相当に位置づけられる。
  • NSAIDs(・)との併用はのリスクがあり、日本では禁忌。
  • 単独使用は少なく、(/配合剤)とのK喪失目的の併用が中心。
  • 禁忌はいずれの国でも・を含み、ACE阻害薬・ARB・カリウム製剤との併用には注意する。

出典

  1. 1.トリテレン・カプセル50mg 添付文書(京都薬品工業株式会社/PMDA・2022)2022年4月改訂(第1版)の添付文書。効能又は効果は高血圧症(本態性、腎性等)・心性浮腫(うっ血性心不全)・腎性浮腫・肝性浮腫。用法及び用量はトリアムテレンとして通常成人1日90〜200mgを2〜3回に分割経口投与。禁忌は①無尿の患者、②急性腎不全の患者、③高カリウム血症の患者、④腎結石及びその既往歴のある患者、⑤インドメタシン又はジクロフェナクを投与中の患者の5項目。ACE阻害剤・アンジオテンシンII受容体拮抗薬・カリウム製剤との併用で血清カリウム値が上昇するおそれがあると明記。重大な副作用は急性腎障害(0.1%未満)。薬物動態は肝で代謝されp-hydroxytriamterene及びその硫酸抱合体となり、尿中排泄で投与8時間後に80%が排泄される。閲覧 2026-09-26
  2. 2.TRIAMTERENE AND HYDROCHLOROTHIAZIDE capsules — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2025)改訂表示2025年12月の米国添付文書。トリアムテレン37.5mg/ヒドロクロロチアジド25mgの配合カプセルで、通常用量は1日1回1〜2カプセル。機序はトリアムテレンが遠位尿細管でのNa再吸収を阻害してKを保持し、ヒドロクロロチアジドがNa/Cl再吸収を阻害して尿量を増やすという相互補完。トリアムテレンは蛋白結合率約67%で、活性代謝物ヒドロキシトリアムテレン硫酸エステルに代謝される。禁忌は無尿又は高度腎障害、既存の高カリウム血症、他のカリウム保持性薬又はカリウム製剤の併用、スルホンアミド過敏症。警告は高カリウム血症(腎障害・糖尿病・高齢で頻度上昇)、急性閉塞隅角緑内障(ヒドロクロロチアジドによる)、腎結石(トリアムテレン成分が結石组成に検出される)。相互作用はNSAIDs(急性腎障害)、ACE阻害薬(高カリウム血症増強)、リチウム(排泄低下・中毒リスク)、カリウム含有製品(蓄積)。閲覧 2026-09-26