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Imaging findings · Published

コークスクリュー徴候

Corkscrew sign

別名
螺旋状所見コークスクリューサインcorkscrew appearance
臓器系
消化器小児
科目
PediatricsEmbryology
トピック
小児科 14:イレウス、腸重積症、腸軸捻転、嵌頓ヘルニア、虫垂炎小児科 2-14:小児急性腹症:イレウス・軸捻転・腸重積・虫垂炎・嵌頓ヘルニア・短腸症候群発生学 14.5:消化器系の臨床相関
関連疾患
腸回転異常・中腸軸捻転

🧠 全体像は、で十二指腸〜を通過する造影剤の流れがにねじれて見える所見であり、これを認めた時点で次に取るべき行動は「緊急手術の相談」である。というがすでに進行している可能性を意味するため、所見の解釈に時間をかけて経過をみてはならない。

定義

で、以遠からにかけて、造影剤が・コイル状に右下方へ下降しながら通過する像を指す。単独では判定せず、)の位置と合わせて評価する。は本来、左上腹部で幽門()とほぼ同じ高さ、目安として第1〜2レベルに位置する1を認めるときは、がこの正常位置になく、右方・尾側へ偏位していることが多い。

があっても、が広く保たれていて捻転に至っていない例では、の位置異常だけがみられ、所見を伴わないことがある。逆に、所見が明瞭であれば、それ自体が「現に捻転している」ことを示す、よりの高い所見として扱う。

なぜこの所見が生じるか

では・回転が途中で止まり、腸間膜の付着基部が起始部という一点に近いところまで狭くなる。この狭い基部を軸にして全体がねじれる()と、ねじれた区間の十二指腸・空腸を造影剤が通過する際、その形をそのままなぞってに描出される。

💡 所見の形は「ねじれた管を横から見た形」そのものである。 ホースをねじると外側にの溝が生じるのと同じ理屈で、腸管という管そのものがねじれれば、内腔を満たす造影剤の柱もらせんを描く。ねじれの回転数が多いほど、より高度な捻転を反映していると考えられている。

の捻れ方向は多くの場合時計回りであり、での整復操作がその逆方向、すなわち反時計回りで行われるのはこのためである。捻れの向きそのものを造影所見から読み分ける必要はなく、「らせんがある=を疑う」という認識で十分である。

巻き数を精密に数えてとして用いる運用はなく、1回転程度のゆるいらせんから複数回巻いた強いらせんまで、いずれも「造影剤の通過経路がねじれている」という同じ現象を表す所見として扱う。

モダリティと写り方

検査 所見
診断の。十二指腸〜所見と、)の位置異常をあわせて評価する。側面像だけでは精度が大きく落ちるため、正面像を含めて評価する2
がSMAの周囲を巻く、SMA・SMVの位置関係逆転を評価する。94%・特異度100%の報告があるが、これは超音波側の所見でありそのものとは異なる3
CT と同様の所見が造影CTでも描出される。を伴うため小児では第一選択にしないが、年長児・成人では先に撮影されることが多い
非特異的な所見にとどまる。正常像であってもを否定できない
術中所見 最終的な確定は緊急開腹時の所見(のねじれ、の有無)であり、画像所見はそこへ至るための術前の手段である

評価の進め方

胆汁性嘔吐をきたす乳児は、の評価を始める代表的な入り口である。

flowchart TD
    A["胆汁性嘔吐"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemodynamics'>循環動態</span>不安定・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peritoneal signs'>腹膜刺激徴候</span>があるか"}
    B -->|"あり"| C["画像を待たず緊急手術相談"]
    B -->|"なし・安定"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Upper GI series'>上部消化管造影</span>を施行"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corkscrew (appearance)'>らせん状</span>所見や<span class='jp-term jp-term-diagram' title='duodenojejunal flexure'>十二指腸空腸曲</span>の位置異常があるか"}
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='midgut volvulus'>中腸軸捻転</span>と診断し緊急手術"]
    E -->|"なし・判定困難"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='color Doppler ultrasonography'>超音波カラードプラ</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='whirlpool sign'>渦巻き徴候</span>を確認"]
    G --> H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='whirlpool sign'>渦巻き徴候</span>があるか"}
    H -->|"あり"| F
    H -->|"なし・臨床的疑いが強い"| C
    H -->|"なし・疑いが弱い"| I["他の原因を検索"]

⚠️ が不安定・を伴う場合は、画像を待たずに手術相談を優先する。 安定していればを第一選択とする運用が現在も中心で、ACR Appropriateness Criteriaでも胆汁性嘔吐が疑われる乳児の評価においては推奨度の高い検査に位置付けられている4。画像所見を待つ間も、外科(小児外科)への連絡自体は並行して早期に行い、結果が出てから相談を始めるという順序にしない。

紛らわしいもの

類似所見 見分けるポイント
検査手技による 体位不良や造影剤量不足により、正常な腸管がに偽陽性を呈することがある。逆に腸管が十分に伸展していないと軽度の捻転が見逃されることもある
側面撮影のみでの判断 側面像だけでは精度が大きく落ちるとされ、正面像を含めずに所見の有無を判断しない2
正常変異としての 胃の拡張、脾腫、余剰に長い十二指腸などによって位置がわずかにずれる正常変異があり、この所見単独でと判断しない
・高度な腸管拡張による偏位 を外部からし、位置異常があるように見えることがある。そのものではない
他分野の所見 食道でみるTrichomonas vaginalisでみる「」は、同じ語を使うが・臓器・病態がまったく異なる別の所見であり、本項のの所見とは混同しない

⚠️ が明瞭でないことは、の否定にはならない。 造影のタイミングや腸管の伸展度によって所見が捉えられないことがあり、胆汁性嘔吐という臨床像が強ければ、画像所見だけで経過観察に切り替えない。

まとめ

  • で十二指腸〜にみられる所見で、を示す。
  • )の位置異常とあわせて評価するのが基本で、が診断のである。
  • 超音波・CTでみるとは別の所見であり、を混同しない。
  • 側面像のみでの判断は精度が落ちるため、正面像を含めて評価する。
  • の位置異常だけで所見を伴わない例もあり、らせんが明瞭なときはよりの高い所見として扱う。
  • 不安定・を伴う胆汁性嘔吐では、画像を待たずに緊急手術相談を優先する。
  • 食道・血管・微生物領域の所見(、Trichomonasの運動性)とはの別概念である。

出典

  1. 1.Diagnostic accuracy of upper gastrointestinal series in children with suspected intestinal malrotation(Updates in Surgery・2023)上部消化管造影が中腸軸捻転の診断において現在も中心的な検査であることを確認した閲覧 2026-08-02
  2. 2.Ligament of Treitz: Anatomy, Relevance of Radiologic Findings, and Radiologic-Pathologic Correlation(American Journal of Roentgenology・2021)十二指腸空腸曲(Treitz靱帯)の正常位置が、左側の椎体茎より外側かつ第2腰椎上縁より頭側、十二指腸球部とほぼ同じ高さにあることを確認した閲覧 2026-08-02
  3. 3.Ultrasound for the diagnosis of malrotation and volvulus in children and adolescents: a systematic review and meta-analysis(Archives of Disease in Childhood・2021)超音波(SMA・SMVのドプラ評価による渦巻き徴候)の統合感度94%・特異度100%を確認した閲覧 2026-08-02
  4. 4.ACR Appropriateness Criteria: Vomiting in Infants(American College of Radiology・2020)胆汁性嘔吐(腸回転異常疑い)の乳児に対する画像評価で、上部消化管造影が推奨度の高い検査に位置付けられていることを確認した閲覧 2026-08-02