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Imaging findings · Published

渦巻き徴候

Whirlpool sign

別名
ワールプールサイン渦巻き像渦巻き状所見
臓器系
消化器小児生殖・産婦人科
科目
PediatricsUrology
トピック
小児科 2-14:小児急性腹症:イレウス・軸捻転・腸重積・虫垂炎・嵌頓ヘルニア・短腸症候群小児科 2-15:小児の外性器・内性器救急泌尿器科学 U-08:泌尿器科救急疾患
関連疾患
精巣捻転・卵巣捻転腸回転異常・中腸軸捻転

🧠 全体像は臓器名ではなく、「が軸を中心に巻いている」という一つの力学的パターンを指す言葉である。腸間膜の、陰嚢内の精索、骨盤内の卵巣・卵管茎——どの部位で見えても、伴走する動脈と静脈がねじれて血流を絞扼しているという意味は同じで、捻転による虚血がすでに始まっているである。で決めるのは「捻転かどうかの断定」ではなく、この所見をもって直ちに手術室へ送るかどうかという次の行動であり、逆に所見が見えないことは捻転を否定する根拠にはならない。

所見の定義

中心となる軸——、精巣導管・精索、卵巣・卵管の——の周囲を、伴走する静脈・腸間膜脂肪・血管がに巻きつく像を指す。では回転する血流がに描出され、造影CTでは軟部組織と脂肪組織が層をなして渦を巻く像として写る。回転数(巻き数)が多いほど閉塞・虚血が強い傾向があるとされるが、後述するとおり健常者でも高度な捻れを示すが報告されており、回転数だけで捻転の有無を断定しない。臓器によって意味とが変わるため、まず部位別に整理する。

部位 巻いているもの 対応する病態
腸間膜( がSMAの周囲を時計回りに巻く に伴う
陰嚢 精索
骨盤 卵巣・卵管の
S状結腸・盲腸 腸間膜 (成人)。単純X線のと併せて読む

モダリティと写り方

検査 主な適応 写り方
小児腹部・陰嚢・骨盤の第一選択。ベッドサイドで施行できる 血管がにねじれ、回転する血流として描出される
造影CT 成人、体格が大きく描出が難しい例。の随伴所見も同時に評価する 軟部組織と脂肪組織がに層をなす渦として描出される
の確定検査 十二指腸のの位置異常が主体で、そのものは写らない。は超音波側の所見であり、両者を混同しない

評価の進め方

新生児の胆汁性嘔吐、急性の下腹部痛は、いずれもの評価を始める代表的な入り口である。

flowchart TD
    A["胆汁性嘔吐の新生児/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute scrotal pain'>急性陰嚢痛</span>/急性下腹部痛"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='color Doppler ultrasonography'>超音波カラードプラ</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular pedicle'>血管茎</span>を評価"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='whirlpool sign'>渦巻き徴候</span>があるか"}
    C -->|"あり"| D["直ちに外科(小児外科・泌尿器科・婦人科)へ"]
    C -->|"なし・判定困難"| E["臨床的疑いの強さを再確認"]
    E -->|"疑いが強い"| D
    E -->|"疑いが弱い・他疾患が濃厚"| F["経過観察または他の鑑別を進める"]

超音波は検者依存性が高く、腸管ガス・体格・小児の非協力によってそのものが描出できないことがある。「見えない」は「無い」ではなく、臨床像が強ければ画像所見だけで手術を見送らない。

紛らわしいもの

⚠️ の陰性所見は捻転を否定しない。 捻転では静脈還流が先に障害され、動脈血流は最後まで残るため、ドプラで動脈血流が保たれていても「血流あり=大丈夫」は成立しない。精索の73%(新生児を除くと92%)・特異度99%1、卵巣・付属器のは感度82%・特異度81%2と、いずれも特異度は高いが感度は完全ではなく、見逃しうる所見であることを前提に読む。

紛らわしいもの 見分けるポイント
と再捻転を繰り返すため、検査のタイミングによって所見が消えていることがある
健常者でもSMVがSMAの左側にある変異があり、位置関係の逆転単独では捻転を意味しない
病理組織の「 が束状に配列する組織像を指す用語で、本項の画像所見のとはまったく別の概念である
を示す非捻転性の所見で、を伴わない。新生児の胆汁性嘔吐の鑑別で混同しない

まとめ

  • は臓器名ではなく「が軸を中心に巻いている」という一つの力学的パターンであり、腸間膜・精索・卵巣茎のどこで起きても捻転による血流遮断を意味する。
  • が第一選択で、成人・体格が大きい例では造影CTを用いる。の確定検査はであり、そのものは超音波側の所見である点を混同しない。
  • 陰性所見は捻転を否定しない。動脈血流が保たれていても、が先行するため「血流あり=大丈夫」ではない。
  • 精索・卵巣付属器いずれもの感度は完全ではなく、では所見が消えていることがある。臨床的疑いが強ければ画像所見だけで手術を遅らせない。
  • 病理組織の「」は本所見とはの別概念であり、混同しない。

出典

  1. 1.The ultrasonographic "whirlpool sign" in testicular torsion: valuable tool or waste of valuable time? A systematic review and meta-analysis(Emergency Radiology・2018)精索の渦巻き徴候の統合感度は73%(新生児を除くと92%)・特異度99%であり、特異度は高いが感度は限定的で陰性所見だけで精巣捻転を否定できないことを確認した閲覧 2026-08-02
  2. 2.Diagnostic value of the sonographic whirlpool sign in the diagnosis of ovarian torsion: a systematic review and meta-analysis(Journal of Clinical Ultrasound・2021)卵巣・付属器捻転における超音波渦巻き徴候の統合感度82%・特異度81%、陽性的中率93.6%を確認した閲覧 2026-08-02