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Imaging findings · Published

コーヒー豆徴候

Coffee bean sign

別名
コーヒー豆サインコーヒー豆像coffee bean sign
臓器系
消化器
科目
Surgery
トピック
外科学 A/09:イレウス(腸閉塞)の診断と治療
関連疾患
イレウス・腸閉塞

🧠 全体像は、で著しく拡張したが、対向するどうしが密着してできた中央の1本の線を挟んで単一の巨大なループとして写る所見で、を強く示唆する。で決めるのは捻転の断定ではなく、この所見をもって直ちに造影CTへ進み、でよいか緊急手術が必要かを選び分けるという次の行動であり、その進め方は捻転の部位(S状結腸か盲腸か)で大きく変わる。

所見の定義

で、両端が閉塞した腸管()が著しく拡張し、単一の巨大なガス像として描出される所見を指す。対向するどうしが密着して中央に1本の線として写るため、その形が「豆の割れ目」のように見えることが名称の由来である。の内部ではガスと液体が分かれるため、拡張したループの上部にガス、下部にを伴うことが多い。

モダリティと写り方

検査 位置づけ 写り方・評価できること
最初の一手。ベッドサイドで迅速に施行できる コーヒー豆像として写る。診断的中率はで66〜81%、で26〜42%と部位によって差がある1
造影CT 現在の標準的な確定検査 ほぼ100%の感度・90%超の特異度で捻転を診断できる。捻転部のに加え、の所見(壁の造影不良、)まで一度に評価できる1

⚠️ 単純X線だけでは虚血の有無を判定できない。 コーヒー豆像は捻転そのものを疑わせる所見にすぎず、——でよいか緊急手術が必要か——を決めるのは造影CTである。血行動態が安定していても、単純X線でコーヒー豆像を認めたら造影CTへ進むのが現在の標準である。

鑑別を絞る軸

がどこから起こり、頂点がどちらを向くかで部位を読み分ける。

部位 起始 頂点の向き 背景・好発
骨盤(左下腹部) 右上腹部・横隔膜方向 の60〜75%を占める。高齢者・長期・慢性便秘・を背景に起こりやすく、欧米では高齢男性に多い1
左上腹部 の25〜40%を占める。より若年・女性にやや多く1、盲腸・上行結腸の腹膜への固定が生来不完全で可動性が高いことが背景にある

S状結と盲は頂点の向きが逆であることが上の要点で、単純X線でのループの向きだけで部位をおおよそ推定できる。新生児の胆汁性嘔吐で問題になるは、を背景に間膜がSMAを軸にねじれる別の病態で、コーヒー豆像ではなくや超音波のなど別の所見群で捉える。

評価の進め方

flowchart TD
    A["腹部膨満・腹痛"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plain abdominal radiograph'>腹部単純X線</span>でコーヒー豆像を確認"]
    B --> C["造影CTで捻転部位・虚血所見を評価"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peritoneal signs'>腹膜刺激徴候</span>や虚血・穿孔の所見があるか"}
    D -->|"あり"| E["緊急手術<br>(整復を試みない)"]
    D -->|"なし・S状結<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal type'>腸型</span>"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endoscopic detorsion'>内視鏡的整復</span>"]
    F --> G{"整復に成功したか"}
    G -->|"成功"| H["同一入院中に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='elective sigmoid colectomy'>待機的S状結腸切除</span>を検討<br>(再発率が高いため)"]
    G -->|"失敗"| E
    D -->|"なし・盲<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal type'>腸型</span>"| I["外科的処置が中心<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='segmentectomy'>区域切除</span>)"]

は虚血・穿孔の徴候がなければが第一選択で成功率60〜95%だが、整復後の再発率が43〜75%と高いため、同一入院中またはその直後のが強く推奨される2。一方、の成功率が14%程度と低く穿孔を招く恐れもあるため推奨されず、(多くは)が標準治療になる1

紛らわしいもの

紛らわしいもの 見分けるポイント
結腸全体がびまん性に拡張し、単一の巨大なループには限局しない。などの重症炎症を背景に全身状態が悪化する
イレウス・腸閉塞による拡張 複数の腸管ループにが段階的に多発し、単一のには限局しない
がないのに結腸が拡張する病態で、単純X線・CTで明確なを欠く
慢性の結腸拡張が持続する状態で、急性の像を伴わない
病理・細胞診の「 を持つ核の形態を指す組織像の用語で、本項の画像所見とはまったく別の概念である

まとめ

  • は、著しく拡張したが中央に1本の線を伴う単一の巨大なループとして単純X線に写る所見で、を強く示唆する。
  • 現在の標準的な確定検査は造影CTで、捻転部のに加えの所見まで評価できる。単純X線だけでは虚血の有無を判定できない。
  • は骨盤から起こり頂点が右上腹部を向く。から起こり頂点が左上腹部を向き、頂点の向きが逆であることがの要点になる。
  • が第一選択だが再発率が高く、同一入院中の切除が推奨される。の成功率が低く、が標準治療になる。
  • 」はを示す病理・細胞診の用語で、本項の画像所見とはの別概念である。

出典

  1. 1.The American Society of Colon and Rectal Surgeons Clinical Practice Guidelines for the Management of Colonic Volvulus and Acute Colonic Pseudo-Obstruction(Diseases of the Colon & Rectum・2021)腹部単純X線のコーヒー豆像の診断的中率はS状結腸軸捻転で66〜81%、盲腸軸捻転で26〜42%である一方、造影CTはほぼ100%の感度・90%超の特異度で確定診断でき腸管虚血所見も同時に評価できること、大腸軸捻転の60〜75%をS状結腸型が、25〜40%を盲腸型が占め前者は高齢者(米国では60〜80歳代の男性に多い)、後者はより若年・女性に多いこと、盲腸軸捻転は内視鏡的整復の成功率が14%と低く推奨されず区域切除が標準治療であること(推奨8・9)を確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.WSES consensus guidelines on sigmoid volvulus management(World Journal of Emergency Surgery・2023)虚血・穿孔が疑われない安定例では緊急内視鏡的整復が第一選択(成功率60〜95%)だが整復後の長期再発率は43〜75%に達し再発ごとに虚血・穿孔のリスクを伴うため待機的S状結腸切除が強く推奨されること、腹膜炎・穿孔・虚血徴候を伴う例は整復を試みず緊急S状結腸切除が必須であることを確認した閲覧 2026-08-04