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Imaging findings · Published

排便造影

Defecography

別名
排便造影検査デフェコグラフィ
臓器系
消化器
科目
Internal MedicineGynecology
トピック
内科学 L-57:便秘の鑑別診断婦人科 29:腟・子宮の正常位置と異常位置(性器脱)および治療
関連疾患
腸瘤直腸瘤

🧠 全体像は、造影剤を直腸に注入し、座位で実際に排便させながらまたはMRIで動画撮影する検査である。が圧を数値で測り、が排出の可否を見るのに対し、なぜうまく出ないかという構造的な理由を目に見える形で示す。で決めるのは病名の確定ではなく、⚠️ 保存的治療()で足りるか、に対するを検討するかという次の一手である。健常者にも小さなや軽度の重積は普通にみられるため、所見をそのまま「異常」と読まない。

所見の定義

安静・肛門収縮・・排便のを記録し、次の指標を相ごとに比較する。

  • :直腸長軸とのなす角度。安静時は約90度前後の鋭角で、時にはこれより開いた角度になるのが正常。しても開かない、あるいは狭小化する場合はを疑う
  • を基準に、時にがどれだけ下降するかを測る
  • の深さ:直腸の膨隆が基準線から前方へどれだけ突出するかをcm単位で測る。基準線から2 cmを超える膨隆をと呼ぶ1
  • 排出率・排出時間:注入した造影剤のうち排出できた割合と、排出にかかった時間。多くを直腸内に残す、または時間がかかりすぎる場合はを示唆する

モダリティと写り方

項目
体位 座面に開口部のある専用の便座に座った状態で撮影する。生理的な排便姿勢に近い 多くの装置は仰臥位でしか撮影できず、生理的な排便姿勢ではない2
あり。報告例では工夫によりを0.3 mSvまで低減できたとされる2 なし
見える範囲 直腸・が中心 器(膀胱・子宮・小腸を含む)を同時に評価できる
排出相の評価 座位で排出が起こりやすく、の検出率が高い 仰臥位のため排出そのものが起こりにくい患者があり、同じ所見でも検出率が下がりやすい2

ある比較研究では、同一集団に両方の検査を行ったところ、のいずれものほうが検出数が多く、著者らはを排便障害の画像診断における標準法と位置づけている2がなく器全体を同時に評価できる利点があり、婦人科的なの術前評価などで補助的に用いられるが、排出相の評価そのものは法に劣ることがある

リスクを上げる形態(治療方針を変える所見)

同定できる異常のうち、次のものは保存的治療から外科的選択肢の検討へ方針を変えうる。

  • :直腸が腟側へポケット状に突出したもの。深さだけでなく後も造影剤がポケット内に残留するかどうかが重要で、残留があれば(腟を圧迫して排便を助ける操作)の原因になっている可能性が高く、の適応になりうる
  • :直腸壁が自身のへ引き込まれるにとどまらず全層に及び、の外まで脱出すればになる。座位でさせて初めて誘発されることが多く、診察室でのだけでは見逃しうる
  • から下垂した小腸がへ入り込む所見。の下垂と合併しやすく、外科的アプローチの選択に影響する
  • 時にが弛緩せずが開かない所見。でいうの構造的な裏付けになる

評価の進め方

flowchart TD
    A["治療抵抗性の便秘、出口症状"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anorectal manometry'>肛門直腸内圧検査</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='balloon expulsion test'>バルーン排出試験</span>"]
    B --> C{"排出障害が疑われ<br>構造的な原因を確認したい"}
    C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='defecography'>排便造影</span>"]
    C -->|"いいえ"| E["内圧検査の結果に応じた治療"]
    D --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rectocele'>直腸瘤</span>の残留、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rectal intussusception'>直腸重積</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rectal prolapse'>直腸脱</span>、<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='enterocele'>腸瘤</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='paradoxical'>奇異性</span>収縮のいずれかがあるか"}
    F -->|"なし、または無症状範囲の軽度所見"| G["機能性と判断し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biofeedback'>バイオフィードバック</span>を継続"]
    F -->|"あり、症状と一致する"| H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic viscera'>骨盤内臓</span>器全体の評価が必要か<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multicompartment pelvic organ prolapse'>多臓器脱</span>・術前計画)"}
    H -->|"はい"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='MR defecography'>MR排便造影</span>を追加"]
    H -->|"いいえ"| J["大腸外科・婦人科へ紹介"]

紛らわしいもの

  • 無症状者にもある所見を病的と読まない:軽度のは健常者の約80%にみられる所見で、それ自体は病的ではない1。所見の有無だけでなく、症状と一致するか、造影剤の残留や深さといった程度を合わせて評価する
  • 検査環境による偽陽性:見知らぬ検査室で他者の前で排便するという状況そのものが緊張を生み、普段は問題なく排便できる人でも排出できないことがある。と同じ落とし穴で、単回の排出不良だけで診断を確定しない
  • 体位の影響:仰臥位で行うは座位に比べて排出そのものが起こりにくく、所見が過小評価されやすい2
  • 造影剤の粘度の硬さ・粘度が実際の便と異なりすぎると、排出のしやすさが本来の排便機能と乖離する

まとめ

  • は、造影剤を直腸に入れ座位で実際に排便させながら撮影し、の深さ・排出率と排出時間を測る検査である。
  • 内圧検査が圧、が排出の可否を見るのに対し、は「なぜ出ないか」という構造的な理由を可視化する。はこれらのうち2つ以上のの一致を診断条件とし、はその参照検査の一つである3
  • 同定できる異常は/で、造影剤の残留や症状との一致度がを左右する。
  • がなく器全体を同時に評価できるが、多くは仰臥位のため生理的でなく、排出相の検出率は法に劣ることがある2
  • 健常者にも小さな・軽度の重積は普通にみられるため1、所見をそのまま病的と読まず、症状との一致度で判断する。

出典

  1. 1.Anorectal Manometry to Diagnose Dyssynergic Defecation: Systematic Review and Meta-analysis of Diagnostic Test Accuracy(Neurogastroenterology & Motility・2021)Introductionで、Rome IV基準は慢性便秘症状に加え少なくとも2つの一致する肛門直腸機能検査所見を協調運動障害(dyssynergic defecation)の診断条件とし、バルーン排出試験・排便造影・筋電図を適切な参照検査(reference test)として挙げていること、Discussionで内圧検査の診断精度を検証するメタ回帰分析では筋電図を参照検査とした場合に精度が向上した一方、排便造影を参照検査とした場合には統計学的に有意な差が検出されなかったことを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Magnetic Resonance Imaging of Pelvic Floor Dysfunction - Joint Recommendations of the ESUR and ESGAR Pelvic Floor Working Group(European Society of Urogenital Radiology (ESUR) / European Society of Gastrointestinal and Abdominal Radiology (ESGAR); European Radiology・2017)Resultsで、直腸壁の軽度の重積(intussusception)は排便中の健常者の約80%にみられる正常所見とされていること、直腸瘤は基準線から前方へ2 cmを超える直腸前壁の膨隆と定義されること、腸瘤の所見では腹膜嚢の内容物を報告に含めるべきとされること、排出相(evacuation phase)の動的MRI評価が必須とされる理由は骨盤臓器脱の一部の異常や全容が排出中にしか見えないためであることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.X-ray Video Defaecography Is Superior to Magnetic Resonance Defaecography in the Imaging of Defaecation Disorders(Colorectal Disease・2022)透視下排便造影(video defaecography)は座位で行うため機能的な方法と位置づけられる一方、MR排便造影は多くの装置が仰臥位でしか撮影できず生理的な排便姿勢ではないという不利があること、自施設の透視下排便造影の実効線量を0.3 mSvまで低減できたとし1990年に報告された4.9 mSvより大幅に低いとしていること、同一集団の比較で会陰ヘルニア・直腸重積・直腸瘤のいずれも透視下排便造影のほうがMR排便造影より検出数が多かったこと(例:直腸重積53例 対 27例)、結論として透視下排便造影が排便障害の画像診断における標準法であるべきとしていることを確認した閲覧 2026-08-04