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Imaging findings · Published

色素消失試験

Dye disappearance test

臓器系
眼科
科目
Anatomy
トピック
解剖学 7.4:頭部:眼窩と眼
関連疾患
鼻涙管閉塞

🧠 全体像が答えるのは「の背景にの排出障害がありそうか」という一点であり、閉塞がどこにあるか・なぜ詰まっているかは分からないを点眼して数分後の残留量を見るだけの、器具の挿入も加圧も要らない検査であり、検査の中でもっとも簡便で最初に行われるスクリーニングである。異常があればで開を確認し、それでも局在が分からなければへ進む——この検査単独でが決まることはなく、次にどの検査へ進むかを決める入口だと理解する。

検査の定義

  • 2%(下嚢)に1滴点眼し、あふれた余分な色素を拭き取ったのち、5分後にコバルトブルー光下でに残る色素量を観察する1
  • 残留量は0〜4の5段階でグレード化する。0は色素が残っていない状態、4は点眼直後とほぼ変わらず色素が残っている状態を指す1
  • グレード0〜1を正常(陰性)、グレード2〜4を異常(陽性)として扱う。正常であれば排出障害の可能性は低いとされる1
  • 判定では左右差にも注目する。片眼だけ色素が残っていれば、その眼の排出路に問題がある可能性が高まる。

手技と判定のポイント

検査の位置づけを理解するには、の評価法が分泌系検査がどれだけ作られているか)と排出系検査(作られたがどれだけ流れ出るか)に分かれることを知っておく必要がある。は後者に属する1

  • の挿入や加圧注入を一切行わない。生理的な分泌が保たれたままの評価であり、この点はと共通し、加圧しての形態を描出するとは対照的である。
  • 混同しやすいのがJones試験である。Jones試験は点眼後にからで色素を回収して排出を確認する検査であり、貯留面の残留量だけを見る)とは観察する場所が違う。Jones I試験は単独ではが22%とされ、は高くない1
  • 成人の原発性後天性閉塞を対象にしたでは、点眼2分後判定で感度82.8%・特異度91.4%、5分後判定で感度71.1%・特異度94.8%であった2。判定時間を延ばすほど特異度は上がるが感度は下がる傾向があり、観察時間の設定が結果を左右する。

他検査との対比

検査 何を評価するか 限界
点眼後の色素残留量から排出の目安をみる 器具・加圧が不要でもっとも簡便 定量性に乏しく、閉塞の部位・機序までは分からない
から通水し開の有無をみる 迅速で外来で施行できる 加圧するため機能性の通過障害を見逃す
造影剤での形態を描出する の局在診断に優れる 加圧して造影剤を注入するため生理的な流れを反映しない
内腔を直接視認する 閉塞部位をで確認でき、そのまま処置に移行できる 侵襲的で、ではプローブが病変を貫通できない
生理的条件下でのの実際の流れをみる 生理的条件のままを捉えられる の正確な位置の特定には向かない

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lacrimation'>流涙</span>の訴え"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dye disappearance test'>色素消失試験</span>を施行"]
    B --> C{"5分後の残留量"}
    C -->|"グレード0〜1(正常)"| D["排出障害は否定的<br>産生過剰側の原因を検討"]
    C -->|"グレード2〜4(異常)"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lacrimal irrigation test'>涙管通水試験</span>で開<span class='jp-term jp-term-diagram' title='facultative'>通性</span>を確認"]
    E -->|"開通・逆流なし"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='functional epiphora'>機能性流涙</span>を疑う<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='dacryoscintigraphy'>涙道シンチグラフィ</span>を検討"]
    E -->|"逆流・抵抗あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dacryocystography'>涙道造影</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mechanical (organic) obstruction'>器質的閉塞</span>の部位を検索"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dacryoendoscopy'>涙道内視鏡</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='under direct vision'>直視下</span>評価・処置へ"]

紛らわしいもの

  • 点眼直後の拭き取り不足。 嚢からあふれた色素や皮膚に付着した色素を拭き取らずに判定すると、実際より残留が多く見え偽陽性となる。
  • 反射性分泌の亢進。 点眼刺激そのものが量を増やし、色素が希釈されて早く消失したように見え、偽陰性を招くことがある。
  • 眼瞼の位置異常。 や下眼瞼弛緩があると、の機能とは・色素が眼瞼縁に貯留し、異常と判定されうる。
  • 判定のタイミングのばらつき。 観察を2分・5分・10分のどの時点で行うかによって感度・特異度が変わるため、施設・検者間で結果が一致しないことがある2
  • 乳児・小児での 検査中にすると反射性の分泌が増えて評価が不安定になりやすく、になることがある。

まとめ

  • は、器具の挿入や加圧を伴わずにの排出障害の有無だけをスクリーニングする、検査の中でもっとも簡便な検査である。
  • 2%を点眼し5分後の残留量を0〜4のグレードで判定し、グレード0〜1を正常、2〜4を異常として扱う。
  • で色素を回収するJones試験や、加圧して評価するとは異なり生理的な条件のまま評価できる点はと共通するが、閉塞の部位までは分からない。
  • 異常であればで開を確認し、開通していればを、逆流・抵抗があればの部位を検索する。
  • 拭き取り不足・・眼瞼の位置異常・判定タイミングのばらつき・小児のは、いずれも見かけ上の偽陽性・偽陰性を生みうる。

出典

  1. 1.Epiphora Clinical Testing(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)色素消失試験の手技(2%フルオレセインを結膜円蓋部に点眼し5分後にコバルトブルー光で観察)、残留量を0〜4のグレードで判定すること、グレードが正常であれば涙道排出障害の可能性は低いこと、涙道検査を分泌系検査と排出系検査に分類し色素消失試験を排出系検査に位置づけること、Jones I試験の偽陰性率が22%であることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Reliability of Fluorescein Dye Disappearance Test in Assessment of Adults With Nasolacrimal Duct Obstruction(Ophthalmic Plastic and Reconstructive Surgery・2013)原発性後天性鼻涙管閉塞患者58眼と流涙のない対照58眼を比較した症例対照研究で、点眼2分後判定の感度82.8%・特異度91.4%、5分後判定の感度71.1%・特異度94.8%であったことを確認した閲覧 2026-08-10