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Imaging findings · Published

肛門超音波

Endoanal ultrasound

別名
経肛門的超音波検査肛門管超音波
臓器系
消化器
科目
ObstetricsSurgery
トピック
産科学 31:産道損傷と子宮破裂外科学 B/21:痔核・肛門瘻孔/裂肛・肛門直腸膿瘍外科学 S-22:良性肛門疾患(痔核・裂肛・痔瘻・肛門周囲膿瘍)
関連疾患
良性肛門疾患(痔核・裂肛・痔瘻・肛門周囲膿瘍)

🧠 全体像が答える問いは、「の原因が括約筋の構造的なか、それとも神経・便性状などの機能的な問題か」である。プローブを内に挿入して内・を輪切りに描出し、の有無・部位・範囲を直接可視化する。この検査の存在意義は診断そのものより、があればを検討し、なければ保存的治療・へ向かうというの分岐にある。 の走行評価、(T分類)評価にも使うが、の評価が最大の適応である。

何を評価する検査か

を回転させ、の層として描出する。内側から、(中〜)、(平滑筋・輪状)、(横紋筋・輪状)、周囲の脂肪組織()の順に並ぶ。

💡 の基本はの逆転である。は連続したの輪として、はそれを取り囲むの輪として写る。「筋なら」という直感に反して外括約筋がになるのは横紋筋の線維構成による特徴で、この差があるからこそ2層を区別してを評価できる。

の位置はを基準にした時計の文字盤で記述する(恥骨側を12時、側を6時とする)。「外括約筋に3時から5時方向、60度にわたる全層」のように、方向と角度の両方を書く。

正常像と代表的な異常像

構造 正常像 代表的な異常像
途切れのないの輪 エコーのが断たれる、加齢・慢性創部に伴う菲薄化
途切れのないの輪 部が輪の欠損として写る、既往の裂傷・・手術による不均一なの瘢痕
肛門周囲組織 均一なの脂肪組織 膿瘍(境界不明瞭な域)、(括約筋を横切る構造)

は裂傷の深さで3a・3b・3c・4度に分けられ、超音波はだけでは判断しにくい内括約筋への進展(3c)やの範囲(3a/3bの境界)を裏づける。ではが括約筋のどの層を通るか()を追うことが術式選択に直結し、深部のは経単独では判断がつかず、CT・MRIを併用して確定する。

手術適応・治療方針を変える所見

  • 外括約筋に限局した症候性のの適応を検討する対象になる。ただし条件付き推奨にとどまり、長期的には症状がしうる1
  • ⚠️ の存在だけでは症候性のを予測しない。 画像上のと実際の失禁症状の重症度は必ずしも一致せず、手術適応は画像単独ではなく症状・・生活への支障度を合わせて判断する1
  • を認めない、または軽微な変化にとどまる:括約筋修復の対象にならず、へ進む
  • 内括約筋まで及ぶ(3c度・4度):外括約筋単独の損傷より予後が悪く、修復の範囲・追跡の閾値が変わる
  • ・複雑:単純な瘻孔切開ではなくによる段階的管理を検討する対象になる

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fecal incontinence'>便失禁</span>・肛門周囲症状の評価"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medical interview (history-taking)'>問診</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='digital rectal examination, DRE'>直腸指診</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='resting tone'>安静時トーヌス</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voluntary contraction'>随意収縮</span>を評価"]
    B --> C{"括約筋<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rupture (tear)'>断裂</span>を疑う所見があるか"}
    C -->|"疑う(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstetric trauma'>分娩外傷</span>・肛門手術後など)"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endoanal ultrasound'>肛門超音波</span>を施行"]
    C -->|"疑わない"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='functional test'>機能検査</span>へ"]
    D --> F{"括約筋の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='continuous'>連続性</span>が途切れているか"}
    F -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rupture (tear)'>断裂</span>あり"| G["部位・角度・範囲を記載し<br>症状の程度と生活への支障を評価"]
    F -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rupture (tear)'>断裂</span>なし・軽微"| E
    G --> H{"症候性で生活に支障するか"}
    H -->|"あり"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sphincteroplasty'>括約筋形成術</span>を検討"]
    H -->|"なし・軽度"| J["保存的治療で経過観察"]
    E --> K["保存的治療・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic floor muscle training'>骨盤底筋訓練</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='sacral neuromodulation'>仙骨神経刺激療法</span>へ"]

機能の定量にはを組み合わせ、排出障害が疑われる場合はを追加する。

紛らわしいもの

  • 前方部の生理的な菲薄化:女性ではが薄いため、正常でも12時方向(前方)の外括約筋がやや途切れて見えることがある。真のと決めつける前に、後方・側方のと合わせて判断する
  • プローブの圧迫変形:強く押し当てると層がし、厚みや形が実際と変わって写る。一定の圧でし、圧迫の影響を疑ったら再する
  • 瘢痕との区別の裂傷・の瘢痕は不均一な域として写るが、輪のそのものは保たれていることが多い。が途切れているかどうかがと瘢痕を分ける
  • ⚠️ 分娩直後の施行は臨床診察を上回らない:分娩直後に行っても、臨床診察単独と比べてOASISの検出率は有意に上がらない。機器の入手性・技能・患者の受容性のもあり、この場面での位置づけは研究的ツールにとどまる2。ただし前回分娩でOASISを負った女性が症候性である場合、または・内圧検査で異常を示す場合は、次回分娩で帝王切開の選択肢を説明する2
  • といった併存病態を検出しうるが、広く普及していない1
  • ・MRIとの使い分け:経腟プローブはへの挿入を要さず受容性が高いが、内腔からの高は得にくい。これらが利用できない場合や、症状があるのにでは正常に写る場合は、を代替として検討する1

まとめ

  • は内・に描出し、内括約筋が、外括約筋がというの逆転がの基本である
  • を基準にした時計の文字盤で位置と角度を記述する
  • 最大の適応はの原因としての括約筋の同定で、の走行評価・評価にも使う
  • の存在だけでは症候性のを予測せず、手術適応は画像・症状・を合わせて判断する
  • 前方部の生理的な菲薄化、プローブ圧迫による変形、瘢痕との区別がの落とし穴になる

出典

  1. 1.The Management of Third- and Fourth-Degree Perineal Tears (Green-top Guideline No. 29)(Royal College of Obstetricians and Gynaecologists・2015)分娩直後の肛門超音波は臨床診察単独と比べて断裂の検出率を有意に上げず、機器の入手性・画質・読影技能・患者の受容性の制約から、分娩直後の断裂検出における位置づけは研究的ツールにとどまること。前回分娩で産科的肛門括約筋損傷(OASIS)を負った女性が症候性、または肛門超音波検査・内圧検査で異常所見を示す場合は、次回分娩で待機的帝王切開の選択肢を説明すべきであること。閲覧 2026-08-04
  2. 2.The American Society of Colon and Rectal Surgeons Clinical Practice Guidelines for the Management of Fecal Incontinence(American Society of Colon and Rectal Surgeons (Diseases of the Colon & Rectum)・2023)肛門超音波は便失禁における括約筋断裂を調べる鋭敏なツールで、内・外括約筋の断裂を確実に同定できるが、断裂の存在だけでは症候性の便失禁を予測するのに十分ではないこと。外括約筋に限局した断裂を有する症候性患者では括約筋形成術を検討してよいが、条件付き推奨(エビデンスの確実性は低い)であり長期的に成績が低下することがあること。動的肛門超音波・骨盤底超音波は挙筋損傷や直腸重積などの併存病態を検出しうるが普及しておらず、それらが利用できない場合や肛門超音波が正常所見にとどまる適切な患者では動的MRI・排便造影を代替として検討すべきであること。閲覧 2026-08-04