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Disease Atlas · 生殖・産婦人科 · 外傷

産科的肛門括約筋損傷

Obstetric anal sphincter injury

別名
OASIS第3度・第4度会陰裂傷
臓器系
生殖・産婦人科消化器
科目
Obstetrics and Gynecology (Obstetrics)
トピック
産科学 31:産道損傷と子宮破裂産科学 19:分娩第3期・第4期と管理産科学 46:産科手術と帝王切開の適応
上位概念
会陰裂傷
鑑別疾患
直腸ボタンホール裂傷
症状
便失禁性交痛
検査値
肛門直腸内圧検査
画像所見
肛門超音波
原因となる疾患
肩甲難産

🧠 全体像:(OASIS)は、経腟分娩でまで達した、すなわち第3度・第4度裂傷の総称である。学習の骨格は4つ——①分類が3a・3b・3c・4度と細かいのは、(IAS)まで及んだかどうかで将来の失禁が変わるから、②危険因子は分かっているが予測には使えないので、全経腟分娩例で縫合前にをする、③修復は手術室で訓練を受けたが行う、④次回分娩の様式を相談することまでが診療の一部。⚠️ 最も多い医療訴訟の原因は修復の失敗ではなく「見逃し」である。

分類——なぜ3aと3cを分けるのか

Sultanによる分類が国際尿失禁学会とRCOGに採用されている1。

度 損傷範囲
第1度 会陰皮膚および/またはの損傷
第2度 に及ぶがには及ばない
第3a度 (EAS)の厚さの50%未満の
第3b度 EASの厚さの50%超の
第3c度 EASと(IAS)の両方の
第4度 (EAS・IAS)とに及ぶ

第3度と第4度を合わせてOASISと呼ぶ。

  • ⚠️ 迷ったら重いほうへ分類する。 第3度の程度に疑いがあるときは低いほうではなく高いほうへ分類し、EASの50%を超えるか判断できなければ過小評価を避けるため3bとする1。
  • ⭐ 3cを独立させる理由は予後である。 IASは肛門の静止時の閉鎖()を担っており、OASIS後531人を追跡した前向き研究で3c/4度の女性は3a/3b度の女性より排便症状・肛門内圧・生活の質のいずれも有意に不良であった。500人を3か月追跡した研究では、IAS欠損の厚さ(1を超える欠損または全層欠損)が重度失禁を予測した(OR 5.1、95%CI 1.5〜22.9)1。IASを含むかどうかで分類しておけば、将来の失禁がIAS由来かEAS単独由来かを区別できる。
  • ⚠️ は第4度ではない。 が保たれたまま直腸粘膜だけが裂けたものは、定義上第4度ではなくとして記録する。認識・修復されないとに至る1。

疫学——「増えている」の読み方

英国(イングランド)の・正期・頭位・初回経腟分娩でのOASIS報告率は、2000年から2012年に1.8%から5.9%へ3倍になった。英国全体の頻度は2.9%(範囲0〜8%)で、6.1%・経産1.7%である1。

💡 この上昇をそのままケアの質の低下と読まない。 認識と訓練が広がった結果として検出が増えたことを反映しうるものであり、少なくとも短期的には、より良い検出と報告による医療の質の向上を示している可能性がある1。⚠️ 母集団に注意——「1.8%→5.9%」は初回経腟分娩に限った値で、全体の2.9%とは分母が違う。

危険因子——分かっているが、予測には使えない

危険因子 報告されている大きさ
RR 6.97(95%CI 5.40〜8.99)
(なし) OR 6.53(5.57〜7.64)
RR 2.44(2.07〜2.89)
アジア系 OR 2.27(2.14〜2.41)
出生体重4 kg超 OR 2.27(2.18〜2.36)
の遷延(4時間超) RR 2.02(1.62〜2.51)
OR 1.90(1.72〜2.08)
(なし) OR 1.89(1.74〜2.05)

出典1。同じ危険因子でも報告値の幅が大きい。

  • ⚠️ ⭐ 危険因子はOASISを正確に予測できない。 の報告値に基づくスコアリングで高リスク女性を拾い出す試みは実用的でないとされている1。したがって「リスクが低いから診なくてよい」は成り立たない。
  • ⭐ の表の読み方が試験に出る。 はが無いときOR 6.53だが、あるときOR 1.34まで下がる。も1.89→0.57と逆転する1。この対比が「ではを考慮する」という推奨の根拠になっている。
  • 再発する。 次回妊娠でOASISを繰り返すは5.51(5.18〜5.86)である1。

予防

介入 推奨と根拠
() ⭐ 推奨度A。 Cochraneの2試験1,525人で第3〜4度裂傷を有意に減らした(RR 0.48、95%CI 0.28〜0.84)。収縮の間も含めて会陰に当て続ける1
(時) 推奨度C。左手で児頭の娩出を緩め、右手で会陰を保護し、排臨時に母体にいきませず、の要否を考える1
では考慮する(推奨度D)。行うなら会陰が伸展した状態でから60度離す(D)1
ルーチンの ⚠️ 保護効果の証拠は相反する(推奨度C)。「をすれば裂けない」とは言えない1
妊娠最終月の 縫合を要する会陰損傷全体は減らす(RR 0.91)が、第3〜4度裂傷は減らさなかった(RR 0.81、0.56〜1.18)1

⚠️ 「60度」は切開角ではなく結果としての角度を狙った数字である。 40度で切開すると娩出後の角度は22度になり、正中に近すぎて保護にならない。60度で切開して娩出後45度になる1。しかも実際には、助産師の誰一人、の22%しか真のを行えていなかったという報告がある1。知識と手技のあいだに大きな隔たりがある領域である。

OASIケアバンドル——実際に率は下がるのか

⭐ 英国の16施設で、①出生前の情報提供、②、③適応がある場合の、を束ねたをで導入した研究がある。生産の経腟分娩55,060件(自然分娩79%・21%)で、OASIS率は導入前3.3%から導入後3.0%へ低下した(0.80、95%CI 0.65〜0.98、P=0.03)2。

  • 効果が(P=0.77)や分娩様式(P=0.31)で異なる証拠は無かった2。
  • ⭐ 帝王切開率(P=0.19)も率(P=0.16)も有意に変わらなかった。 つまり「帝王切開を増やして裂傷を減らした」のではない2。
  • ⚠️ 効果量は3.3%→3.0%と小さい。 だから統計学的に有意になったのであって、個々の分娩における効果が大きいという意味ではない。

診断——全例に直腸診

⚠️ ⭐ すべての経腟分娩がOASISまたは孤立性のを負う危険を持つ。 したがって全例を系統的に、を含めて、とくに縫合を始める前に診察して損傷の程度を評価する1。

flowchart TD
    A["経腟分娩の直後"] --> B["説明・鎮痛・良好な照明・体位を整える"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inspection'>視診</span>に加えて必ず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='digital rectal examination, DRE'>直腸診</span>を行う"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anal sphincter complex'>肛門括約筋複合体</span>に及んでいるか"}
    D -->|"いいえ、粘膜のみ裂けている"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rectal buttonhole tear'>直腸ボタンホール裂傷</span>として記録<br>(第4度ではない)"]
    D -->|"いいえ、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perineal muscles'>会陰筋</span>まで"| F["第1〜2度として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='delivery room'>分娩室</span>で修復"]
    D -->|"はい"| G["OASIS(第3〜4度)"]
    G --> H["手術室へ移す<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='regional anesthesia'>区域麻酔</span>または全身麻酔・良好な照明・適切な器具"]
    H --> I["訓練を受けた<span class='jp-term jp-term-diagram' title='operator (person performing the procedure)'>術者</span>、または指導下の研修医が修復"]
    I --> J["修復後にもう一度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='digital rectal examination, DRE'>直腸診</span><br>縫合糸が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anorectal mucosa'>肛門直腸粘膜</span>を貫いていないか確認"]

損傷が肉眼で目立たなくてもを省かない。⚠️ 英国では2000年4月からの10年間に会陰損傷に関する訴訟が441件あり、総額約3,120万ポンド、その85%が会陰損傷の「診断の誤り」に関するものであった1。OASISが起きること自体は経腟分娩の既知の合併症であって標準以下の医療とはみなされないが、括約筋損傷を認識できないこと、適切な修復を行わないことは標準以下の医療とみなされうる1。

修復

手術室で、または全身麻酔下に、良好な照明と適切な器具のもとで、訓練を受けた(または指導下の研修医)が行う1。出血が多ければ腟内にして直ちに手術室へ移す。

部位 手技
・のいずれでもよい。3-0を用いる(PDSは溶けるのが遅くの不快感を招きうる)
(IAS) 同定できれば重ね合わせず、またはで別個に修復する
(EAS) ・端々(接合)法のいずれでも同等の転帰(推奨度A)
EAS(3aすべてと一部の3b) を用いる(推奨度D)。重ね合わせは修復に過度の緊張をかける
3-0 PDSなどの、または2-0などの編み糸のいずれでも同等

出典1。

  • ⚠️ を用いない。 止血目的の縫合であり、を招く1。
  • ⚠️ 修復後にをやり直す。 縫合糸がを貫いていないか確認し、あればする1。
  • 結び目はの下に埋める。 縫合糸の露出・皮膚への移動(頻度約7%)を減らせる1。
  • ⚠️ 修復の質はの訓練に依存する。 無作為化試験では修復後の残存EAS欠損が全体で19〜36%と報告されている1。

重ね合わせ法と端々法——差はどこまで確かか

全層EASに対する2法は、RCOGでは同等(推奨度A)とされる1。6試験588人を統合したCochraneレビューでは、12か月時点で重ね合わせ群のほうがが少なく(RR 0.12、95%CI 0.02〜0.86)、スコアも低く(SMD −0.70)、症状の悪化も少なかった(RR 0.26、0.09〜0.79)。ただし36か月時点では・ともに差が無くなり、・・は12か月時点でも差が無かった3。

⚠️ 有意差を示した所見はいずれも41〜52人の1試験のみに基づく。 レビューの著者自身が「小規模な2試験にしか基づかず、確認または反証のためにさらなる研究が必要」としている3。「が優れている」と単純に覚えない。

術後管理

  • を投与する(推奨度B)。術後感染とを減らす1。
  • を投与する(推奨度C)。の通過が修復を破綻させうる1。
  • ⚠️ をとルーチンに併用しない(推奨度B)。単独と、+を比較した無作為化試験で、早期の失禁が併用群で多かった(32.86% 対 18.18%、P=0.03)1。
  • ()は有益でありうる。ただし早期の在宅にの価値は示されなかった1。
  • 通常は産後6〜12週に、可能ならOASISに関心のあるが診察する。や疼痛があれば婦人科専門医またはへの紹介を考慮する1。
  • 施設にがあれば、とを備えた専用の会陰外来で追跡する。次回分娩様式の判断材料になる1。

予後と次回分娩

⭐ 分娩とEAS修復から12か月時点で60〜80%が無症状になる(推奨度B)と説明する1。裏を返せば20〜40%は1年後も症状を残す。

次回妊娠については、次の3点をそのまま押さえる1。

  1. OASIS既往の女性全員に分娩様式を相談し、その内容を記録する。
  2. 次回妊娠での予防的の役割は不明。 臨床的な適応があるときにのみ行い、「前回OASISだったから」を理由にを決めない。
  3. ⭐ 有症状、または・に異常がある女性には、の選択肢を説明する。
  • 次回分娩で再びOASISを負う危険は5〜7%である1。
  • 第3度裂傷後に2回目の経腟分娩を行った女性の17%で便症状が悪化した。これは初回分娩後3か月を超えてがあり、6か月までに軽快した群で起こったようにみえる1。
  • ⚠️ 「無症状なら経腟分娩でよい」を一律のルールにしない。 でEAS欠損が30度を超え、かつのが20 mmHg未満の女性に帝王切開を提示するというプロトコルを用いた前向き研究(73人)では、経腟分娩を選んだ女性に・生活の質の有意な悪化は無かった。ただしこれは短期追跡の1コホートにすぎない1。

まとめ

  • OASISは経腟分娩でに達した、すなわち第3度・第4度裂傷の総称である。
  • 分類は3a(EAS 50%未満)・3b(50%超)・3c(EAS+IAS)・4度(+)。⚠️ 迷ったら重いほうへ分類し、50%超か不明なら3bとする。
  • ⭐ IASを含む3c/4度は3a/3bより排便症状・肛門内圧・生活の質が有意に不良で、これが分類を細分する理由である。
  • ⚠️ 括約筋が保たれたまま直腸粘膜だけが裂けたものは第4度ではなくで、見逃せばになる。
  • 英国の頻度は全体2.9%(6.1%・経産1.7%)。初回経腟分娩での報告率は2000〜2012年に1.8%→5.9%と3倍になったが、検出の向上を反映しうる。
  • 危険因子( RR 6.97、 OR 6.53 など)は分かっているが正確な予測には使えない。だから全例に、縫合前のを行う。
  • ⭐ 予防で推奨度Aはの(RR 0.48)のみ。の保護効果の証拠は相反する。ではから60度のを考慮する。
  • OASIは55,060件の研究でOASIS率を3.3%→3.0%へ下げた(調整OR 0.80)。帝王切開率・率は変わらなかった。
  • 修復は手術室で訓練を受けたが行う。全層EASは・が同等、(3aと一部3b)は。は避ける。
  • 術後はと。⚠️ の併用はルーチンにしない。産後6〜12週に診察する。
  • 予後は12か月で60〜80%が無症状。次回分娩ではOASIS再発が5〜7%で、有症状または・内圧検査の異常があればの選択肢を説明する。

出典

  1. 1.The Management of Third- and Fourth-Degree Perineal Tears (Green-top Guideline No. 29)(Royal College of Obstetricians and Gynaecologists・2015)本ガイドライン(2015年6月版、第3版)のPDF全文を自分で取得して確認した。分類はSultanのものが国際尿失禁学会とRCOGに採用されており、第1度=会陰皮膚および/または腟粘膜の損傷、第2度=会陰筋に及ぶが肛門括約筋には及ばないもの、第3度=肛門括約筋複合体に及ぶもので3a=外肛門括約筋の厚さの50%未満、3b=50%超、3c=外肛門括約筋と内肛門括約筋の両方、第4度=肛門括約筋複合体(EASとIAS)と肛門直腸粘膜に及ぶものであり、第3度と第4度を合わせてOASISと呼ぶこと。第3度の程度に迷うときは低いほうではなく高いほうへ分類すべきで、50%を超えるか不明なら過小評価を避けるため3bとすること。肛門括約筋複合体が保たれたまま直腸粘膜が裂けたものは第4度ではなく直腸ボタンホール裂傷として記録すべきで、認識・修復されないと直腸腟瘻に至りうること。英国(イングランド)の単胎・正期・頭位・初回経腟分娩でのOASIS報告率は2000年から2012年に1.8%から5.9%へ3倍になったが、これは認識と訓練の向上による検出の増加を反映しうるものであり、必ずしも医療の質の低下を意味しないこと。英国全体の頻度は2.9%(範囲0〜8%)で、初産6.1%・経産1.7%であること。危険因子として、アジア系(OR 2.27、95%CI 2.14〜2.41)、初産(RR 6.97、5.40〜8.99)、出生体重4 kg超(OR 2.27、2.18〜2.36)、肩甲難産(OR 1.90、1.72〜2.08)、後方後頭位(RR 2.44、2.07〜2.89)、分娩第2期の遷延(2〜3時間 RR 1.47、3〜4時間 RR 1.79、4時間超 RR 2.02)、器械分娩(吸引・会陰切開なし OR 1.89/会陰切開あり OR 0.57、鉗子・会陰切開なし OR 6.53、5.57〜7.64/会陰切開あり OR 1.34)が挙げられるが、危険因子からOASISを正確に予測することはできないこと。次回妊娠でOASISを繰り返すオッズ比は5.51(5.18〜5.86)であること。予防について、会陰切開の保護効果の証拠は相反すること(推奨度C)、器械分娩では正中側切開を考慮すべきこと(D)、会陰切開を行う場合は会陰が伸展した状態で正中線から60度離す正中側切開が推奨されること(D)、児頭排臨時の会陰保護が保護的でありうること(C)、分娩第2期の温罨法がOASISの危険を下げること(A、Cochraneの2試験1,525人でRR 0.48、95%CI 0.28〜0.84)。妊娠最終月の会陰マッサージは縫合を要する会陰損傷全体を減らす(RR 0.91)が第3〜4度裂傷は減らさなかった(RR 0.81、0.56〜1.18)こと。すべての経腟分娩がOASISまたは孤立性の直腸ボタンホール裂傷の危険を負うので、とくに縫合前に直腸診を含む系統的な診察を行うべきこと。修復は訓練を受けた術者が手術室で区域麻酔または全身麻酔下に良好な照明と適切な器具のもとで行うこと、8字縫合は止血的で組織虚血を招くため避けること、修復後に直腸診を行い縫合糸が肛門直腸粘膜を貫いていないか確認すること。肛門直腸粘膜は連続縫合・結節縫合のいずれでもよいこと、内肛門括約筋は同定できれば重ね合わせずに結節縫合または水平マットレス縫合で別個に修復すること、全層の外肛門括約筋断裂の修復は重ね合わせ法と端々(接合)法で同等の転帰(A)だが部分層断裂(3aすべてと一部の3b)には端々法を用いること(D)。縫合材料は肛門直腸粘膜に3-0ポリグラクチン、EAS/IASには3-0 PDSまたは2-0ポリグラクチンのいずれでも同等で、結び目を浅会陰筋の下に埋めて縫合糸の露出・移動(頻度約7%)を減らすこと。術後は創感染と創離開を減らすため広域抗菌薬(B)と緩下薬(C)を推奨し、緩下薬に膨張性下剤をルーチンに併用しないこと(B、ラクツロース単独18.18%に対しイスパギュラ併用32.86%で産褥早期の失禁が多かった)。理学療法が有益でありうること、通常産後6〜12週に、可能ならOASISに関心のある医師が診察すること。予後として、分娩とEAS修復から12か月時点で60〜80%が無症状になると説明すべきこと(B)。次回分娩について、OASIS既往の女性全員に分娩様式を相談し記録すべきこと、次回妊娠での予防的会陰切開の役割は不明で臨床的適応があるときのみ行うこと、OASIS既往で有症状または肛門超音波・内圧検査に異常がある女性には待機的帝王切開の選択肢を説明すべきこと。次回分娩で再びOASISを負う危険は5〜7%で、第3度裂傷後に2回目の経腟分娩を行った女性の17%で便症状が悪化したこと。訓練不足の修復は問題で、無作為化試験では修復後の残存EAS欠損が全体で19〜36%と報告されていること。英国では2000年4月から2010年3月に会陰損傷に関する441件の訴訟があり、総額約3,120万ポンド、その85%が会陰損傷の診断の誤りに関するものであったことを確認した。閲覧 2026-09-03
  2. 2.Impact of a quality improvement project to reduce the rate of obstetric anal sphincter injury: a multicentre study with a stepped-wedge design(BJOG - An International Journal of Obstetrics and Gynaecology・2021)イングランド・スコットランド・ウェールズの4地域16の分娩施設で、2016年10月〜2018年3月の単胎生産を対象に、ケアバンドル(妊婦への出生前情報提供、用手的会陰保護、適応がある場合の正中側会陰切開)の導入効果を段階的ウェッジ・クラスターデザインで評価した研究。地域ごとに3か月おきに順次導入し、時間トレンドと症例構成(年齢・民族・BMI・経産回数・出生体重・分娩様式)を調整した多水準ロジスティック回帰で解析した。単胎生産の経腟分娩55,060件(自然分娩79%・器械分娩21%、母体年齢中央値30歳、46%が初産)を対象に、OASIS率は導入前3.3%から導入後3.0%へ低下した(調整オッズ比0.80、95%CI 0.65〜0.98、P=0.03)。効果が経産回数(P=0.77)や分娩様式(P=0.31)によって異なる証拠はなく、研究期間中に帝王切開率(P=0.19)・会陰切開率(P=0.16)の有意な変化は認めなかった。結論として、このケアバンドルの導入は帝王切開率や会陰切開の使用に影響することなくOASIS率を減らしたと報告している。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-03
  3. 3.Methods of repair for obstetric anal sphincter injury(Cochrane Database of Systematic Reviews・2013)外肛門括約筋の一次修復における重ね合わせ法と端々(接合)法を比較した無作為化比較試験6件・588人を統合したCochraneレビュー。12か月時点で会陰痛(RR 0.08、95%CI 0.00〜1.45、1試験52人)・性交痛(平均RR 0.77、0.48〜1.24、2試験151人)・排ガス失禁(平均RR 1.14、0.58〜2.23、3試験256人)には統計学的有意差が無かった一方、重ね合わせ群で便意切迫の頻度が有意に低く(RR 0.12、0.02〜0.86、1試験52人)、肛門失禁スコアも有意に低く(SMD −0.70、−1.26〜−0.14、1試験52人)、12か月にわたる肛門失禁症状の悪化の危険も有意に低かった(RR 0.26、0.09〜0.79、1試験41人)。生活の質に有意差は無かった。36か月時点では排ガス失禁(平均RR 1.12、0.63〜1.99、1試験68人)・便失禁(平均RR 1.01、0.34〜2.98、1試験68人)ともに差が無かった。著者らは、1年時点では重ね合わせ法のほうが便意切迫と肛門失禁症状の危険が低いようにみえるが、この根拠は小規模な2試験にしか基づいておらず、確認または反証のためにさらなる研究が必要と結論している。⚠️ 有意差を示した所見はいずれも1試験(41〜52人)のみに基づく。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-03