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Microbe Atlas · 蠕虫

Diphyllobothrium latum

広節裂頭条虫

分類
条虫 / CestodesDiphyllobothrium
科目
Medical Microbiology
トピック
4/26: Diphyllobothrium latum and Hymenolepis nana4/23: General characterisation and taxonomy of helminths5/11: Zoonotic infections (list) and their prevention
原因となる疾患
亜急性連合性脊髄変性症巨赤芽球性貧血
作用する薬剤
ニクロサミド

🧠 全体像を読む軸は「2つの中間宿主を経てヒトに届く、ヒト最大の条虫」という1点である。他の条虫の多くが中間宿主1種で完結するのに対し、本種は甲殻類→という2段階の中間宿主を経由してから終宿主のヒトに達する。そして小腸に居座った成虫は、宿主のビタミンB12を横取りするという単純だが見落とされやすい機序でを起こす——生・加熱不十分なの摂取から半年ほど遅れて貧血が顕在化する点が実務上の落とし穴になる。

微生物学的な特徴

ヒトに寄生する条虫の中で最大(最大10m)で、は槍状でではなく2本のを持つ点がTaenia+)と異なる。虫体は数千個の)からなる。

項目 内容
サイズ ヒト寄生条虫で最大(最大10m)
槍状で2本のを持つ——・鉤を欠く
虫卵 ——他の条虫の多くが持たない特徴で、吸虫卵に似る
第1中間宿主 甲殻類(など)
第2中間宿主
終宿主 ヒトおよび他の魚食性(イヌ、ネコ、クマなど)

生活環

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unfertilized egg'>未受精卵</span>が終宿主の糞便中に排出"] --> B["水中で卵が成熟し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coracidium'>コラシジウム幼生</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hatching'>孵化</span>"]
  B --> C["甲殻類(第1中間宿主)に摂取される"]
  C --> D["甲殻類の体腔内で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='procercoid larva'>プロセルコイド幼生</span>に発育"]
  D --> E["魚(第2中間宿主)が甲殻類を捕食"]
  E --> F["魚の組織に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plerocercoid larva'>プレロセルコイド幼生</span>として侵入"]
  F --> G["ヒトが生・加熱不十分な魚を摂取"]
  G --> H["小腸で成虫に発育"]
  H --> A

2つの中間宿主を必要とする点が条虫の中で例外的。 Taenia saginataTaenia soliumは中間宿主1種(・ブタ)で生活環が完結するのに対し、本種は甲殻類→魚という2段階を経て初めてヒトへの感染型()が揃う。

病原性の仕組み

💡 虫体がでビタミンB12を奪う。 成虫は腸管内でビタミンB12()を宿主より優先的に吸収するため、赤芽球のDNA合成が障害されて(赤血球は少数だが大型)を起こす——ただし虫体の定着からビタミンB12貯蔵が枯渇するまで時間を要するため、感染から6ヶ月ほど経ってから貧血として顕在化する点に注意する。虫体そのものは腸管を侵襲せず、機械的な刺激による下痢・・悪心・体重減少にとどまることが多い。

感染経路と疫学

  • 生・加熱不十分なの摂取(サケ・マス・カワカマスなど)で感染する。刺身・スモークサーモン・セビーチェなどの生食文化と結びつく。
  • 湖沼・河川流域のがある地域(北欧・バルト海沿岸、北米五大湖周辺、日本など)に多い。
  • ヒト以外にイヌ・ネコ・クマなど魚食性も終宿主となる人獣共通感染症。

起こす疾患

疾患・病態 特記事項
下痢・・悪心・体重減少。多くは軽微で、排出で気づくことが多い
虫体によるビタミンB12収奪。感染から約6ヶ月後に顕在化する

診断

  • 糞便検体中のまたはの検出。
  • を疑う場合は、血算()・血清ビタミンB12値を併せて評価する。

治療と予防

  • またはによる
  • を伴う場合はビタミンB12の補充を併用する。
  • 予防は生・加熱不十分なの摂取を避けること(-20℃で数日間の冷凍を失活させる)。

まとめ

  • はヒト寄生条虫で最大(10m)、ではなく2本のを持つ。
  • 生活環は甲殻類→という2段階の中間宿主を経る点が他の条虫と異なり、感染源は生・加熱不十分な
  • 虫体がビタミンB12を奪うことでを起こすが、感染から約6ヶ月後まで顕在化しない。
  • 診断は糞便中のの検出。
  • 治療は+ビタミンB12補充。予防はの十分な加熱または冷凍。