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Microbe Atlas · 細菌

Shigella sonnei

ゾンネ赤痢菌

分類
腸内細菌科 / EnterobacteriaceaeShigella
性状
Gram陰性 (G−)桿菌 Bacilli通性嫌気性 Facultative
科目
Medical Microbiology
トピック
2/12: Shigella genus
原因となる疾患
赤痢旅行者下痢症

🧠 全体像:ゾンネは同じ属の中で最も軽症な種として読む。を産生しないためほど重症化しにくい一方、血清型が1種類しかないという単純さが逆に先進国での集団感染(保育園・を含む)を追跡しやすくしている。基本的な微生物学的性状・はのページを参照。

微生物学的な特徴

と共通する性状(ヒトの結腸のみを宿主とする、、高い、・H₂S陰性・ウレアーゼ陰性)を持つが、以下の点で区別する。

項目 内容
血清型 1種類のみ(他の3菌種は複数の血清型を持つ)
産生 産生しない、または産生量が極めて少ない——との最大の違い
疫学的な位置づけ 先進国で最も頻度の高い——保育施設内感染、渡航関連感染、性的接触を介した感染経路が報告されている1

⚠️ 「軽症な種」という印象と、耐性の実態は一致しない。 本菌は(XDR)の多数派である。米国のPulseNet(2011年1月1日〜2023年10月20日)で菌種が判明したXDR 505株の内訳は本菌が333株(65.9%)、S. flexneri が172株(34.1%)であった2。が2015年1月1日〜2023年1月22日にしたXDR 239株でも本菌が66%を占める1。を出さない=臨床上の問題が小さい、ではない。 問題は毒素ではなく肢の消失のほうにある。

病原性の仕組み

を介した侵入とアクチンを乗っ取る細胞内運動というはと共通する。詳細はのページを参照。

💡 をほぼ産生しないため、のリスクはより低い。 ただし血性下痢・といった赤痢の臨床像そのものは他の菌種と変わらない。

感染経路と疫学

  • 糞口感染、特にヒト-ヒト接触(保育園、家庭内、性的接触)で伝播する
  • 少数菌での発症のため、先進国でも集団感染を起こしやすい
  • 渡航関連の輸入例も多い

⭐ 「保育園の幼児の病気」という像だけでは足りない。 米国では歴史的に赤痢は1〜4歳の幼児に多かったが、近年は成人——とくに男性と性交渉のある男性()、ホームレス状態にある人、海外渡航者、陽性者——で感染の増加が観察されている。がしたXDR239株の患者は年齢中央値42歳(範囲1〜83歳)、情報のある232人のうち82%が男性・5%のみが小児で、性行動について回答した41人のうち88%がを報告している1。

起こす疾患

疾患 特徴
赤痢 より一般に軽症。水様性下痢〜血性下痢、

診断

と同じ手順で行う——、Salmonella-Shigella(Hektoen)培地での緑色コロニー、での無色コロニー。

治療と予防

まとめ

  • ゾンネは血清型が1種類のみという単純さを持ち、をほぼ産生しないためより軽症になりやすい。
  • ただしXDR株の多数派は本菌(米国PulseNetのXDR 505株中65.9%)であり、「軽症な種」という印象と治療の難しさは別問題である。
  • 先進国で最も頻度の高いで、保育施設内感染・渡航関連感染・性的接触を介した感染が報告されている。近年の耐性株は幼児ではなく成人男性に偏る。
  • (侵入、アクチンを乗っ取る細胞内運動)はと共通する。
  • 治療は感受性結果に基づき、ST合剤・フルオロキノロン・アジスロマイシンなどから選択する。

出典

  1. 1.Increase in Extensively Drug-Resistant Shigellosis in the United States(Centers for Disease Control and Prevention (CDC)・2023)2015年1月1日〜2023年1月22日にCDCへ報告されたXDR赤痢菌239株のうちS. sonneiが最多で66%(S. flexneri 34%)であったこと、患者の年齢中央値が42歳(範囲1〜83歳)で、情報のある232人のうち82%が男性・13%が女性・5%が小児であり、性行動について回答した41人のうち88%が男性間性的接触を報告したこと、米国では歴史的に赤痢は1〜4歳の幼児に多かったが近年は成人——とくに男性と性交渉のある男性(MSM)、ホームレス状態にある人、海外渡航者、HIV陽性者——で薬剤耐性赤痢菌感染の増加が観察されていることを確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Emergence of Extensively Drug-Resistant Shigellosis — United States, 2011–2023(Centers for Disease Control and Prevention(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2026;75(13):173–178)・2026)米国のPulseNetサーベイランス(2011年1月1日〜2023年10月20日)で薬剤感受性データのある赤痢菌16,788株のうち510株(3.0%)がXDR(アンピシリン・アジスロマイシン・セフトリアキソン・シプロフロキサシン・ST合剤のすべてに耐性)であり、菌種が判明した505株の内訳がS. sonnei 333株(65.9%)・S. flexneri 172株(34.1%)とS. sonneiが多数を占めること、XDR株の割合が2011〜2015年の0%から2023年には8.5%へ増加したこと、XDR赤痢の患者は年齢中央値41歳(IQR 31〜54歳)で96.1%が18歳以上、86.2%が成人男性であったことを確認した。閲覧 2026-09-05