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エドモントン肥満病期分類

Edmonton Obesity Staging System

別名
EOSS
臓器系
内分泌・代謝
科目
Public Health
トピック
公衆衛生 10:栄養状態の評価と肥満に対する動機づけ面接(MI)
適用疾患
肥満症

🧠 全体像)は、BMIが体脂肪の「量」を測るのに対し、その量が健康にどれだけ悪影響を及ぼしているか(重症度)を測るためのである。・精神(mental)・機能(functional)の3軸で・心理症状・日常生活への影響を評価し、0〜4に分類する。同じBMIでも、無症状の患者と多臓器障害を抱える患者では治療のがまったく異なる、という発想を臨床判断に落とし込むためのである。

目的と適用場面

内容
目的 肥満という病態が、個々の患者の健康・機能・QOLに与えている影響の重さを段階評価する
対象 ・肥満と判定された成人(小児版のも別に存在する)
使う場面 初診時の重症度評価、治療強度(のみか/薬物療法か/か)の判断、経過での病期の変化の追跡
評価しないもの 体脂肪量そのもの、体重・BMIの絶対値、などの値(これらはBMI・側の指標が担う)

もとはSharma AMとKushner RFが2009年に提案した分類で、それまでのBMIクラス(・肥満I〜III度)だけでは治療の必要性を判断できないという問題意識から、BMI中心から合併症中心へ視点を転換する目的で作られた。

💡 同じ発想の転換は他の枠組みにも見られる。AACE/ACEのAdiposity-Based Chronic Disease(ABCD)はBMIに依らず合併症の有無・重症度だけで3段階に分ける枠組み、2025年のLancet Diabetes & Endocrinology委員会が提案したの区分は臓器機能障害の有無をそのものに組み込む枠組みであり、いずれもと同じく「量ではなく機能への影響」を評価軸に据える。ただしは5段階の重症度を連続的に評価する点で、これらの2〜3分類の診断区分とは役割が異なる。

構成要素と配点

3軸(身体・精神・機能)のうち最も重症度の高い軸がその患者の全体を決定する(3軸の平均ではない)。

精神 対応する介入方針
0 肥満関連の危険因子なし 心理症状なし 機能制限なし の維持、BMI・体重の定期モニタリング
1 的な危険因子(など)、または治療を要さない軽度身体症状(労作時軽度、時々の痛みなど) 軽度の心理症状、QOLへの影響なし 軽度の機能制限 の強化、進行予防を目的とした経過観察
2 治療を要する確立した合併症(高血圧2型糖尿病PMOSなど) 中等度の心理症状(うつ、摂食障害、 中等度の、QOLが低下し始める に薬物療法を追加検討
3 有意な(心筋梗塞、心不全、、高度のなど) 有意な心理症状( 有意な機能制限(就労困難、の遂行困難) 薬物療法に加え、も含めた積極的治療を検討
4 重度(終末期的)な 重度で生活に支障をきたす心理症状 重度の機能制限 ・集中的な管理

2からは「合併症が治療を要する段階」に入るため、だけでなく薬物療法を積極的に検討するとして扱われる。

💡 同じ患者でもBMIクラスとは独立した2軸であり、カナダの肥満診療ガイドラインは両方を併記する記法(例:「Class I, Stage 0 Obesity」)を採用している。

解釈とカットオフ

2以降は合併症への積極的治療を、3〜4は薬物療法に加えも含めた強化治療を検討する目安とされる。

Padwal・Pajewski・Allison・Sharmaは2011年、(1988–1994年)とNHANES 1999–2004年の・肥満成人コホート(2006年まで死亡を追跡)での関係を検証した。では、0〜1を基準に2で1.57(95%CI 1.16–2.13)、3で2.69(95%CI 1.98–3.67)と有意な死亡リスク上昇が示された。⭐ 重要なのは、生存曲線はで層別化すると明確に分かれたが、BMIクラス(肥満I〜III度)だけで層別化しても分かれなかったという点であり、同じBMIクラス内でも予後が異なることをが捉えられることを裏づけている。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 「軽度」「中等度」の境界判定には臨床医の主観が入り、評価者間でぶれうる。特に4は該当する詳細データが乏しいことが多く、判定が難しい(前述のPadwalらのコホートでも70%超が1〜2に集中した)。

⚠️ スクリーニングツールではない。 ・診察を経た臨床的判定であり、票だけで自動的に決まる加算式のスコアではない。

⚠️ 3軸すべてを聴取・評価するには時間がかかり、多忙なでのな運用は必ずしも普及していない。

⚠️ BMIを置き換えるものではなく補完するものである。単独で肥満の量的評価(体脂肪量・BMI・)はできず、BMIクラスと併記して用いる。

⚠️ 3〜4は手術後の合併症・死亡リスクが高いことが報告されているが、手術適応から除外する基準として使うものではない。リスクの説明と周術期管理の強化に用いるべきで、手術可否そのものを単独で決めない。

まとめ

  • はBMIが測れない「健康への影響の重さ」を、身体・精神・機能の3軸で0〜4に分類するである。
  • の判定は3軸のうち最も重い軸が決定し、平均ではない。
  • 2から治療強化(薬物療法)、3〜4ではも含めた積極的治療を検討する目安となる。
  • NHANESコホートでは、BMIクラスでは分からない死亡リスクの差をが層別化できることが示されている。
  • 判定には主観が伴い、スクリーニングツールでもBMIの代替でもない点に注意する。