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Genevaスコア

Geneva score

別名
改訂Genevaスコアrevised Geneva score簡易Genevaスコア
臓器系
呼吸器
科目
SurgeryInternal Medicine
トピック
外科学 A/16:血栓塞栓症と血栓予防内科学 L-10:肺血栓塞栓症と肺性心
構成:症状
喀血頻脈浮腫

🧠 全体像:(特に)は、が疑われる患者において、診断を進める前の()を見積もるためのである。のPE版が「他の診断の可能性がPEより低い」という検者の判断(3点)を含むのに対し、はすべてな病歴・・身体所見の8項目のみで構成されている。(ESC 2019)ガイドライン等でと並ぶ国際標準として位置づけられ、低〜中確率なら測定で除外を進め、高確率ならを省略して直ちにへ進む判断に用いる。

目的と適用場面

項目 内容
目的 疑い患者におけるをに層別化し、無駄な画像検査や造影剤曝露を避けつつ見逃しを防ぐ
対象 救急外来や病棟で急性の呼吸困難・胸痛・失神などを呈し、が疑われる成人患者
使う場面 診断ワークアップの最初期(測定や造影CTを指示する前)
評価しないもの 診断確定後の重症度・(この役割はPESI・sPESIや血行動態・右心機能評価が担う)

構成要素と配点

は原版(0〜22点)と、各項目を簡略化した簡易版(0〜9点)がある12。いずれも同じ8つの臨床項目を評価する。

領域 項目 基準 改訂原版配点 簡易版配点
素因 年齢 65歳超 1 1
素因 の既往 またはの既往 3 1
素因 手術または骨折 1か月以内の全身麻酔下手術または下肢骨折 2 1
素因 または(現在治療中または過去1年以内の寛解・治療) 2 1
症状 的な片側下肢の疼痛 3 1
症状 喀血 咳に伴うまたは喀血 2 1
徴候 心拍数(頻脈) 75〜94回/分 3 1
徴候 心拍数(高度頻脈) 95回/分以上 5 2
徴候 下肢のおよび片側浮腫 片側下肢の走行に沿った圧痛と片側下肢の腫脹 4 1

心拍数は75回/分未満であれば0点となる。75〜94回/分と95回/分以上で段階的に配点が増加する。

解釈とカットオフ

合計点数に基づいて、3段階分類(低・中・高確率)または2段階分類(い・い)を行う123。

1. 3段階層別化(3-level category)

区分 改訂原版スコア 簡易版スコア 確定PE頻度 推奨される診断戦略
低確率 0〜3点 0〜1点 約8〜10% 高感度測定へ進む
中確率 4〜10点 2〜4点 約28〜30% 高感度測定へ進む
高確率 11点以上 5点以上 約65〜70% を省略し、直ちにCTPA

2. 2段階層別化

区分 改訂原版スコア 簡易版スコア 推奨される診断戦略
PEい 0〜5点 0〜2点 高感度測定へ進む。以下ならPEを除外
PEい 6点以上 3点以上 測定を省略し、直ちにCTPA
flowchart TD
    A["急性肺塞栓症疑い患者"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Geneva score'>Genevaスコア</span>(または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Wells score'>Wellsスコア</span>)で評価"]
    B -->|"低〜中確率(または unlikely)"| C["高感度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='D-dimer'>D-ダイマー</span>測定"]
    B -->|"高確率(または likely)"| D["直ちにCTPA"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='baseline / reference value'>基準値</span>未満(年齢調整等)"| E["PE除外(抗凝固不要・追加画像不要)"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='baseline / reference value'>基準値</span>以上"| D
    D -->|"血栓あり"| F["急性肺塞栓症と確定診断(治療開始)"]
    D -->|"血栓なし"| G["PE除外(他疾患の精査)"]

低確率またはPE unlikely群において高感度検査が陰性であれば、造影CTを行うことなく安全に肺塞栓症を除外できる。一方、高確率群では偽陰性の懸念やの高さから陰性でも除外できないため、を測らずに最初から造影CTを実施する。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 例(ショック・心停止):持続性低血圧やを伴う高リスクPEでは、スコアリングを行っている猶予はない。直ちに検査で()を確認し、CTPAまたは(など)へ進む。

⚠️ 妊婦への適用:妊娠中は生理的な心拍数増加や軽度の片側、上昇が常態としてみられるため、標準的なのをそのまま適用すると偽陽性・過剰精査を招く。妊婦では妊娠特異的アルゴリズム(妊婦適応版など)を検討する。

⚠️ との違いの理解:は経験豊富な臨床医の臨床的直観を「他疾患の可能性がPEより低い」という3点として取り込める強みがある反面、初学者では判定がぶれやすい。は完全なのみを用いるため観察者間が高いが、胸部X線で明らかな浸潤影(肺炎や気胸など)がある状況をスコア単独では自動で割り引くことができない。

⚠️ との混同:は「PEが存在する確率」を測る診断ツールであり、診断後の死亡リスクや重症度(外来治療可能かICU入室が必要か)を評価するPESI・sPESIとは明確に目的が異なる。

まとめ

  • ()は、のを評価する完全な8項目からなるである。
  • 低〜中確率(または unlikely)では測定で安全な除外を図り、高確率(または likely)では直接へ進む。
  • と異なり判断を含まないため再現性に優れ、診断確定後のPESI・sPESIによるとは目的を分けて使用する。

出典

  1. 2.Simplification of the revised Geneva score for assessing clinical probability of pulmonary embolism(Archives of Internal Medicine・2008)改訂Genevaスコアの各項目を原則1点(心拍数95回/分以上のみ2点)に単純化した簡易改訂Genevaスコア(0〜9点)を検証し、計算を簡略化しながら原版と同等の検査前確率予測能を維持することを示した。閲覧 2026-10-28
  2. 3.2019 ESC Guidelines for the diagnosis and management of acute pulmonary embolism developed in collaboration with the European Respiratory Society (ERS)(European Heart Journal・2020)急性肺塞栓症疑い患者の診断アルゴリズムにおいて、Wellsスコアまたは改訂Genevaスコアによる検査前確率評価を推奨した。低〜中確率例では高感度D-ダイマー陰性で除外でき、高確率例ではD-ダイマー測定を省略して直ちに造影CT肺動脈造影(CTPA)を行うべきとした。閲覧 2026-10-28