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Symptoms · Published

内斜視

Esotropia

別名
調節性内斜視乳児内斜視
臓器系
眼科小児
科目
Neurology
トピック
神経内科 G2-02:眼球運動・注視の障害
関連疾患
弱視

🧠 全体像の診療がめざすのは「まっすぐに見えるようにする」ことではなく、両眼視・視力という視機能そのものを守ることにある。乳幼児期は脳がを作り込むの窓が開いている期間であり、その間に眼位と屈折を整えられなければという不可逆の帰結が固定してしまう——の臨床は常にこの時間との競争として組み立てられているがつくると取り違えないことが最初の関門であり、真のと判明したあとは、乳児型・・非後天性・麻痺性・知覚性のどれに当たるかで、対応の優先順位が変わる。

定義と用語の整理

「目が内側に寄って見える」という訴えに対しては、まず眼球運動が本当に正常かを確認するところから始まる。

用語 何を指すか 診断の位置づけ
片眼または両眼の視軸が鼻側へ偏位した状態 で確定する
などにより眼球運動は正常なのに内方偏位して見える状態 で否定される
両眼開放下で常に眼位のずれが表れる状態 で健眼を遮閉すると偏位眼が動かない
が働いている間は正位を保ち、遮閉などでを外したときだけ潜在的なずれが顕れる状態 で顕れる

法)は眼位の推定にすぎず、こそが真の診断の基準である。 協力の得られない乳幼児では法が唯一の手掛かりになる場面もあるが、可能な限りで確認する。

病態生理

は発症時期と機序で5群に分けると整理しやすい。

分類 発症時期・特徴 機序
乳児(先天) 生後6か月以内、恒常性・大角度、屈折異常は軽度 を確立する前の眼球運動系の異常
2〜3歳、中等度以上の を補正する調節努力にが連動して起こる
後天 幼児期以降、屈折異常とに発症 機構そのものの破綻
麻痺性 年齢を問わず急性発症しうる による機能不全。片眼性・・患側を向いたときの眼球運動制限を伴う
知覚性 片眼の視力障害があるとき する対象を失った眼が内方へ偏位する

💡 には型がある。 完全屈折矯正だけで整列する屈折性の型と、の程度に見合わない過剰なが働く高AC/A比型(非屈折性)があり、両者が混在する例もある1

乳児は「様子を見る」対象ではない。 生後10週を過ぎても40度以上の恒常性が残る例は自然軽快しにくく、早期の手術ほど両眼視機能を獲得できる可能性が高いという知見から、遅くとも2歳までの手術が広く行われている2

⚠️ 見逃してはいけないもの

危険度の高い順に並べる。

  • ⚠️ 急性発症のを疑い、画像評価に進む。 小児の後天性を含む腫瘍性病変が主要な原因の一つで、頭蓋内圧亢進が神経を伸展させて麻痺を来すこともある。両側性・異常の随伴・3か月経っても改善しない例では特に画像評価を急ぐ3
  • ⚠️ 知覚性の背後にあるを見逃さない。 の初発徴候はが最多だが、は2番目に多い初発徴候である。片眼のが先にあってが後から出てくる、という順序を疑ったら眼底とを確認する。
  • ⚠️ の機会損失。 「そのうち治る」で生後6か月以降のを経過観察せず、視覚発達ののうちに整列と屈折を整える。時間が経つほど選べる手段が減っていく。
  • ⚠️ の見落とし。 の診断はを経ないと確定しない。や非と決めつける前に、の有無を確認する。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='esotropia'>内斜視</span>を疑う訴え・所見"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cover test'>遮閉試験</span>で<br>真の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Strabismus'>斜視</span>か確認"]
    B -->|"偏位眼の動きなし"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudoesotropia'>偽内斜視</span>と判断し<br>原因を評価"]
    B -->|"偏位眼が動く"| D["発症時期・恒常性を確認"]
    D --> E["眼球運動制限・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Diplopia'>複視</span>の有無"]
    E -->|"あり"| F["麻痺性を疑い<br>画像評価を検討"]
    E -->|"なし"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cycloplegic refraction'>調節麻痺下屈折検査</span>"]
    G -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high hyperopia'>高度遠視</span>あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='accommodative esotropia'>調節性内斜視</span>"]
    G -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperopia'>遠視</span>軽度・正常"| I["眼底・視力検査"]
    I -->|"片眼の視力障害あり"| J["知覚性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='esotropia'>内斜視</span>を疑う"]
    I -->|"視力左右差なし"| K["乳児<span class='jp-term jp-term-diagram' title='esotropia'>内斜視</span>・<br>非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='accommodative esotropia'>調節性内斜視</span>を疑う"]

対応の考え方

真のへの対応は、段階を飛ばさないことが要点になる。

  • 第一段階は薬下での完全屈折矯正。 などによるを行い、判明したで完全矯正する1はこれだけで整列することが多い。時のみ過剰な高AC/A比型には、を追加する1
  • 第二段階は治療。 健眼遮閉などで、視力の左右差を視覚発達ののうちに縮める。
  • 第三段階が手術。 屈折矯正と治療を経てなお残る偏位に対し、などのを行う。乳児では、両眼視の観点から2歳までのが推奨される2
  • 麻痺性は原因病変の治療が優先され、眼位への外科的介入はその後に検討する。

まとめ

  • 診療の目的はまっすぐに見せることではなく、両眼視・視力という視機能を視覚発達ののうちに守ることにある。
  • によるとの鑑別はで行う。は推定にすぎない。
  • 真のは乳児型・・非後天性・麻痺性・知覚性に分かれ、麻痺性は画像評価、知覚性はの除外が必要になる。
  • 対応は下屈折矯正→治療→手術の順で段階を踏み、乳児ではが両眼視機能の獲得につながる。
  • 「そのうち治る」で生後6か月以降のを経過観察しないことが、という不可逆の帰結を避ける鍵になる。

出典

  1. 1.Infantile Esotropia(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)乳児内斜視が生後6か月以内に発症し恒常性・共同性・大角度(30プリズム度以上)であること、生後10週以降に40プリズム度以上の恒常性内斜視が残る例は自然軽快しにくいこと、早期の斜視手術ほど両眼視機能を獲得できる可能性が高く生後6か月未満のごく早期手術でも融像・立体視の改善が報告されていること、北米では2歳未満での手術が広く行われる一方で乳幼児の眼球・眼窩は小さく技術的に難しいことを確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.Accommodative Esotropia(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)調節性内斜視が屈折性(適切な遠視矯正眼鏡で完全に整列しAC/A比は正常)・非屈折性(AC/A比が正常より高いために生じる)・部分調節性(完全屈折矯正で内斜視の程度は改善するが偏位が残る)の3型に分かれ混合例もあること、診断に調節麻痺下屈折検査を行い多くは1%シクロペントラートと2.5%フェニレフリンの合剤が用いられること、近見時のみの偏位または遠視矯正下でも残る近見偏位には二重焦点眼鏡が用いられ近見の整列は改善する一方で立体視の改善は伴わないと報告されていることを確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.Abducens Nerve Palsy(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)外転神経麻痺が外直筋の機能不全により内斜視を来し偏位が患側視・遠見でより大きくなる非共同性であること、小児の後天性外転神経麻痺は脳幹膠腫(小児脳幹腫瘍の80%超を占める)を含む腫瘍性病変・外傷・感染・炎症・特発性が原因となり良性の再発性外転神経麻痺や頭蓋内圧の異常でも生じうること、頭蓋内圧亢進がDorello管に固定された神経を伸展させて麻痺を来すこと、両側性・疼痛や他の神経学的異常の随伴・悪性腫瘍の既往・3か月を過ぎても明らかな改善がない例では画像評価が推奨されること、小児では腫瘍と外傷が主要な原因であるため重篤な原因を除外する迅速で慎重な評価が必須であることを確認した。閲覧 2026-08-03