Anesthesiology

Anesthesiology · A-05

アナフィラキシーショック

Anaphylactic shock: symptoms, diagnostics and therapy

前提:病態
カテコールアミン
前提:正常
過敏症 I
疾患
アナフィラキシー
症状
インフュージョンリアクション顔面紅潮気管支攣縮血管性浮腫喉頭浮腫

🧠 全体像:アナフィラキシーは状の有無にかかわらず、急速に進む気道・呼吸・循環障害を見た時点で臨床診断し、大腿外側へのを遅らせない。

病態

アナフィラキシーは、肥満細胞やからのメディエーター放出により、血管拡張、が急速に進む全身性過敏反応である。循環血液量はで急減し、の要素が重なる。

flowchart TD
    A["アレルゲン曝露"] --> B["肥満細胞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basophil'>好塩基球</span>活性化"]
    B --> C["ヒスタミンなどの放出"]
    C --> D["血管拡張・透過性亢進"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchoconstriction'>気管支収縮</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway edema'>気道浮腫</span>"]
    D --> F["低血圧・ショック"]
    E --> G["換気・酸素化障害"]

誘因

  • 食物、薬剤、造影剤、
  • ハチなどの昆虫毒
  • 周術期では抗菌薬、など
  • 運動、寒冷などの物理的誘因
  • 誘因を同定できない特発性

診断

数分〜数時間で発症する次の組合せから臨床診断する。

系統 代表所見
気道 嗄声、咽頭違和感、舌・口唇腫脹、
呼吸 、頻呼吸、低酸素、増大
循環 低血圧、失神、虚脱、頻脈または重症例の徐脈
皮膚・粘膜 蕁麻疹
消化管 腹痛、嘔吐、下痢

既知または可能性の高いアレルゲン曝露後に気道・気管支・循環障害が急発症した場合、皮膚所見がなくてもアナフィラキシーである。状を待ってはいけない。

初期治療

flowchart TD
    A["アナフィラキシーを疑う"] --> B["応援要請・誘因を中止"]
    B --> C["仰臥位を基本に体位調整"]
    C --> D["大腿外側へアドレナリン筋注"]
    D --> E["気道・酸素・モニター・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV access'>静脈路</span>"]
    E --> F["晶質液を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapid administration (bolus)'>急速投与</span>して再評価"]
    F --> G{"5分で改善するか"}
    G -->|"不十分"| H["アドレナリン筋注を反復"]
    G -->|"改善"| I["監視・再発予防・原因精査"]
    H --> J{"2回以上でも難治か"}
    J -->|"はい"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='expert'>専門家</span>管理で静注<span class='jp-term jp-term-diagram' title='repeated/continuous dosing'>持続投与</span>"]
    J -->|"いいえ"| I

アドレナリン

  • 成人:アドレナリン0.5 mg、すなわち1 mg/mL製剤0.5 mLを大腿前外側へ筋注する。
  • 改善が不十分なら5分ごとに反復する。
  • 小児:0.01 mg/kg筋注、通常最大0.5 mgとして年齢・施設手順に従う。
  • は致死的不整脈や過度の高血圧を起こし得るため、通常の初期治療には用いない。

体位とABC

  • 原則として仰臥位で下肢を挙上し、突然立位・歩行にしない。
  • 呼吸困難が強い場合は脚を伸ばした座位、妊娠後半はを考慮する。意識がなく呼吸があればとする。
  • 酸素を重症患者に投与し、連続SpO₂、心電図、血圧を監視する。
  • 太いを確保し、低血圧にはを成人500〜1,000 mLずつして反応をみる。大量のを考え、必要なら反復する。
  • が進む前に経験者を呼び、挿管困難とを準備する。

難治性アナフィラキシー

適切なを2回投与しても呼吸・循環障害が続く状態を難治性として扱う。

  • 熟練者が連続血圧・心電図監視下でアドレナリン静注を開始する。
  • 十分な晶質液、気道管理、原因除去を同時に行う。
  • β遮断薬使用中で反応不良なら、がグルカゴンを検討する。
  • 心停止では標準的なと静注アドレナリン手順へ移行する。

補助治療

治療 位置づけ
吸入β₂刺激薬 持続するへの補助。アドレナリンの代用ではない
H₁抗ヒスタミン薬 ABC安定後の状に使用。低血圧・を治療しない
副腎皮質ステロイド 効果発現が遅く、ルーチンの初期治療や予防目的には用いない

検査と退院後

は診断を補助するが、採血のために治療を遅らせない。発症後の適切な時点と回復後のを比較する。

観察時間は反応の重症度、アドレナリン反復、誘因、、医療アクセスに応じて決める。退院時には、誘因回避、再発時行動計画、適応があれば、アレルギー専門医への紹介を整える。

まとめ

  • 皮膚所見がなくても、急な気道・呼吸・循環障害ならアナフィラキシーを疑う。
  • 第一選択は大腿外側へので、成人0.5 mgを必要に応じ5分ごとに反復する。
  • 仰臥位を基本とし、酸素、気道準備、を並行する。
  • 抗ヒスタミン薬とステロイドは救命的ABC治療の代用ではない。
  • 難治例の静注アドレナリンは、熟練者がとして厳密に管理する。