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Symptoms · Published

気管支攣縮

Bronchospasm

別名
気管支痙攣bronchospasm
臓器系
呼吸器
科目
PulmonologyAnesthesiology
トピック
呼吸器内科 05:気管支誘発試験と薬理学的スパイロメトリー麻酔科学 A-05:アナフィラキシーショック麻酔科学 A-11:COPD急性増悪と急性気管支喘息の病態・集中治療
関連疾患
アナフィラキシー気管支喘息慢性閉塞性肺疾患
起因薬
アスパラギナーゼカルボプロストザナミビルヨード造影剤

🧠 全体像が収縮して気道内腔が狭くなる可逆的な事象であり、それ自体は疾患名でも所見でもない。この収縮が生むそのものは喘鳴の項に譲り、本ノートは「何がこのを引き起こすか」——機序と、曝露・薬剤・手技という誘因——に絞る。

定義と用語の整理

患者は「息が苦しい」「胸が締め付けられる」としか訴えないが、という語は平滑筋の収縮そのものを指す病態生理学的概念である。

用語 指すもの 手掛かり
の収縮という事象 全身麻酔下・誘発試験中など、より先に、あるいは患者が症状を訴えられない状況でも生じうる
喘鳴 狭窄した気道を空気が通る音という所見 の結果の一つだが、・分泌物貯留でも同じ音になりうる
同じ刺激でより収縮しやすい素因 で定量する

で喘鳴が聞こえるか」だけでの有無を判断しない。 誘発試験のようにに起こすことも、全身麻酔中のように患者が訴えられない状況で起こることもある。

病態生理

収縮へ至る経路で群にまとめると、原因薬剤・誘因の整理と対応する解除薬の見当が同時につく。

  • :吸入刺激物、、運動、操作・などの気道への直接刺激がを介してを刺激する。全身麻酔が浅い状態での気道操作はこの経路を誘発しやすい。
  • ヒスタミン・介在性:肥満細胞の(アナフィラキシー)や、阻害によるの偏り(の過剰産生)がを直接収縮させる。後者はNSAIDs・アスピリン過敏で起こる1
  • 受容体・的機序遮断により交感神経性の弛緩作用を奪い、迷走神経の収縮作用が相対的に優位になる。点眼ののようなでもに入り同じ機序で作用しうる2。吸入のように、浸透圧・添加物・直接刺激で収縮を起こす薬剤もある。

💡 経路が違えば解除薬も違う——・直接刺激にはSABAが主軸になり、アナフィラキシーにはアドレナリンが主軸になる。この対応のズレを緊急の項で扱う。

⚠️ 緊急・見逃してはいけない疾患

危険度の高い順に並べる。

  • ⚠️ アナフィラキシー。 蕁麻疹低血圧が分単位で加われば疑う。大腿外側へのが第一選択で、吸入は持続するへの補助にとどまり、アドレナリンの代用にはならない。β遮断薬を内服・点眼中の患者は反応が乏しくなりやすく、がグルカゴンを検討する。
  • ⚠️ 重症喘息発作・生命を脅かす増悪。 、徐脈、意識低下、苦しそうなのにPaCO₂が正常化・上昇するのはで、喘鳴の消失を改善と誤認しない。初期治療に反応不良な重症例はや気道確保を要する。
  • ⚠️ 時の 麻酔が浅い状態での操作・刺激はを誘発しやすく、喘息・COPD・喫煙者などのある患者で起こりやすい。導入薬に交感神経刺激作用を持つを選ぶと、気管支拡張側に働かせられる。患者が症状を訴えられないこの場面では、気道内圧の上昇とEtCO2波形の呼気相の傾斜(に達しきらない形)が最初の手掛かりになる。
  • ⚠️ 薬剤誘発性。 (点眼の)は喘息・COPDで禁忌であり、点眼でも全身吸収により死亡例が報告されている2アスピリン・NSAIDsは成人発症の喘息・を伴う患者で(かつての)を誘発しうる1。吸入などの吸入薬、(ステロイドで頻度は下がるが根拠は限定的で真のアレルギー反応には効果が乏しい3)、循環作動性のアデノシンも原因になりうる。を介しても収縮させるため、喘息患者では重篤なのリスクから使用を避ける4

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchospasm'>気管支攣縮</span>を疑う所見"] --> B{"分単位で進行する<br>皮膚・循環症状を伴うか"}
    B -->|"あり"| C["アナフィラキシーとして<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intramuscular adrenaline (IM epinephrine)'>筋注アドレナリン</span>を最優先"]
    B -->|"なし"| D{"直前に投薬・造影剤・<br>気道操作があったか"}
    D -->|"あり"| E["薬剤性・手技性を疑い<br>原因を中止・記録"]
    D -->|"なし"| F{"喘息・COPDの既往<br>または誘発試験中か"}
    F -->|"あり"| G["原疾患の増悪または<br>誘発試験の反応として扱う"]
    F -->|"なし"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cold air'>冷気</span>・運動・刺激物曝露など<br>環境誘因を確認"]
    E --> I["重症度を評価しSABAを開始"]
    G --> I
    H --> I

対症療法の考え方

まとめ

  • の収縮という事象で、所見である喘鳴とは層が異なる。なしにも起こりうる。
  • 機序は)、ヒスタミン・介在性、β遮断による相対的な迷走神経優位という受容体機序に整理できる。
  • 見逃してはいけないのは危険度順にアナフィラキシー、生命を脅かす時の反射性攣縮、・NSAIDs・吸入薬・造影剤などの薬剤誘発性。
  • 対症療法はSABAが第一選択で、アドレナリンはアナフィラキシーに伴う例外を除き通常の解除薬ではない。原因薬剤は原疾患とのバランスで中止・変更を判断する。

出典

  1. 1.TIMOLOL MALEATE ophthalmic solution — Full Prescribing Information(米国FDA(DailyMed収載の添付文書)・2017)点眼のチモロールが気管支喘息・COPDに禁忌であること、点眼投与でも全身吸収され気管支攣縮による死亡例が報告されていることを確認した閲覧 2026-08-03
  2. 2.Aspirin Actions in Treatment of NSAID-Exacerbated Respiratory Disease(Frontiers in Immunology・2021)NSAID増悪呼吸器疾患(N-ERD、かつてのアスピリン喘息・Samter三徴)がCOX-1阻害によるシステイニルロイコトリエンの過剰産生を機序とすること、成人発症の鼻閉・慢性副鼻腔炎・鼻茸に喘息が高頻度だが必発ではないことを確認した閲覧 2026-08-03
  3. 3.Pharmacological Prevention of Hypersensitivity Reactions Caused by Iodinated Contrast Media: A Systematic Review and Meta-Analysis(Diagnostics (Basel)・2022)ヨード造影剤への過敏反応はステロイド前投薬で頻度が下がるが(0.16→0.02、OR 0.09)対照群を欠く研究が中心で根拠は限定的であり、真のアレルギー反応にはより効果が乏しいことを確認した閲覧 2026-08-03
  4. 4.HEMABATE (carboprost tromethamine) injection — Full Prescribing Information(米国FDA(DailyMed収載の添付文書、Pfizer, 2025年3月改訂)・2025)カルボプロスト(15-methyl PGF2α)が喘息の既往患者で気管支攣縮(transient bronchoconstriction)をきたしうるため注意を要することを確認した閲覧 2026-08-10