Anesthesiology

Anesthesiology · A-06

出血性ショック

Hemorrhagic shock: symptoms, diagnostics and therapy

前提:病態
循環血液量減少性ショックの病型循環血液量減少性ショックの病期
前提:正常
血液凝固・線溶・生理的抗凝固機構
疾患
循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)
症状
急性出血出血性ショック
検査値
フィブリノゲン

🧠 全体像では、輸液で血圧だけを戻すのではなく、外出血の圧迫・止血帯、骨盤固定、手術・などの止血と、を用いたを同時に進める。

病態

循環血液量の急減により静脈還流、、心拍出量が低下し、交感神経性血管収縮で代償する。出血が続けば、乳酸性アシドーシス、へ進む。

flowchart TD
    A["出血"] --> B["循環血液量低下"]
    B --> C["静脈還流・心拍出量低下"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue hypoperfusion'>組織低灌流</span>"]
    D --> E["アシドーシス・低体温・低Ca血症"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coagulopathy'>凝固障害</span>"]
    F --> G["出血がさらに増悪"]

、アシドーシス、低体温に低Ca血症を加えた「」を早期から防ぐ。

出血源

初期Hbが正常でもを否定できない。Hbは血漿と赤血球が同時に失われるため、希釈や後に低下が明瞭になる。

認識と評価

項目 所見
循環 頻脈、、低血圧、末梢
・意識低下、乏尿、乳酸上昇、増大
出血 活動性外出血、腹部膨隆、骨盤不安定、、吐
凝固 PT/INR、APTT、フィブリノゲン、血小板、検査

推定出血量によるクラスI〜IV分類は学習上有用だが、若年者、妊娠、高齢者、β遮断薬使用、運動選手ではバイタル反応が異なる。単一分類よりと治療反応を重視する。

C-ABCDE

flowchart TD
    A["C:破局的外出血を直ちに止血"] --> B["A:気道と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical vertebra'>頸椎</span>保護"]
    B --> C["B:呼吸・胸部致死病変を治療"]
    C --> D["C:循環・骨盤・内出血を評価"]
    D --> E["D:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurological assessment'>神経学的評価</span>"]
    E --> F["E:全身露出と保温"]
  • 直接圧迫、創傷充填、止血帯で外出血を制御する。
  • 骨盤骨折を疑えばレベルにを装着する。
  • 胸部・腹部超音波、胸部・骨盤画像を病態に応じて行う。循環不安定患者を不要にCTへ移送しない。
  • 手術、内視鏡、インターベンショナルラジオロジー、産科処置など最短の止血法を選ぶ。

生命を脅かす異常を一次評価で治療した後、頭部から足先までの二次評価、アレルギー・薬剤・既往・最終摂取・を確認するAE歴、背面診察、必要な追加画像を行う。二次評価のために止血や蘇生を中断しない。

ダメージコントロール蘇生

輸液と血圧目標

  • 大量晶質液による、低体温、浮腫を避ける。
  • 必要な晶質液は少量のとし、施設の大量出血プロトコルを早期に起動する。
  • 重症がなければ、止血まで80〜90 mmHg、50〜60 mmHg程度の制限的蘇生を目安にする。
  • 重症ではを守るため、80 mmHg以上を目安に低血圧を避ける。

止血蘇生

  • 赤血球、血漿、血小板を施設プロトコルに沿う均衡比で早期投与し、可能な環境では全血も選択肢となる。
  • 検査結果が得られた後は、フィブリノゲン、血小板、凝固因子を標準検査またはに補充する。
  • 輸血とで低下するCa²⁺を反復測定し、正常範囲へ補正する。
  • ・輸液を加温し、濡れた衣服を除き、保温装置で正常体温を維持する。

トラネキサム酸

の重大出血またはそのリスクがあれば、受傷3時間以内、できるだけ早期に1 gを10分で静注し、続いて1 gを8時間で投与する。3時間を超えたルーチン投与は行わない。産科など他領域では各ガイドラインに従う。

抗凝固薬の拮抗

薬剤、最終服用時刻、腎機能を確認し、出血重症度に応じて速やかに特異的拮抗薬またはを用いる。ワルファリン関連重大出血ではと静注ビタミンKを併用する。では薬剤別の拮抗薬または施設手順を用いる。

再評価

  • 止血できたか、隠れた出血源が残っていないか
  • 意識、皮膚灌流、血圧、尿量、乳酸と
  • Hb、血小板、フィブリノゲン、凝固、Ca²⁺、体温、pH
  • 、溶血、低体温など

まとめ

  • は止血しなければ輸液・輸血だけでは治らない。
  • C-ABCDEで破局的出血を最優先し、手術・内視鏡・へ早くつなぐ。
  • 大量晶質液を避け、、保温、Ca²⁺、凝固補正を組み合わせる。
  • がなければ止血まで制限的血圧目標を用い、では低血圧を避ける。
  • TXAは適応がある出血で受傷3時間以内に開始する。