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Symptoms · Published

出血性ショック

Hemorrhagic shock

臓器系
循環器全身
科目
AnesthesiologyPathophysiology
トピック
麻酔科学 A-06:出血性ショック麻酔科学 B-04:ICUにおける急性出血・出血性ショックの治療病態生理学 II-22:循環血液量減少性ショックの病期病態生理学 II-23:循環性ショックの進行病態生理 II-24:循環性ショックの臓器症状(MODS)
関連疾患
ストレス潰瘍胃炎胸部外傷(肋骨骨折・血胸・外傷性気胸・フレイルチェスト)食道静脈瘤泌尿生殖器外傷

🧠 全体像の本質は「代償の破綻」である。出血量に応じた段階分類そのものはに譲り、ここでは代償が効かなくなった後に何が起きるか(負のフィードバックの枯渇→正のフィードバックの悪循環)と、それを止める蘇生の原則に絞る。止血しない限り、輸液・輸血だけでは救命できない。

代償が破綻する過程

出血の初期は↑・RAAS活性化という負のフィードバックが心拍出量の低下を代償し、血圧を保つ。出血が続くとこの代償が枯渇する——の低下による尿濃縮低下、ADH・の枯渇、、組織からのメディエーターの放出、の変化による(間質からの体液移動)の破綻である。

⚠️ ここから先は正のフィードバック(悪循環)が優位になり、低灌流がさらなる低灌流を生む。この段階を超えると、原因を止血してもの連鎖は自走する。

flowchart TD
    A["持続する低灌流"] --> B1["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coronary perfusion'>冠灌流</span>低下→心拍出量低下→さらに<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coronary blood flow'>冠血流</span>低下"]
    A --> B2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral perfusion'>脳灌流</span>低下→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vasomotor activity (vasomotion)'>血管運動</span>中枢の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sympathetic outflow'>交感神経出力</span>低下"]
    A --> B3["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue hypoxia'>組織低酸素</span>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vasodilatory'>血管拡張性</span>メディエーター→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venous stasis'>静脈うっ滞</span>"]
    A --> B4["血管壁の低酸素→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='increased vascular permeability'>血管透過性亢進</span>→浮腫・血管内容量喪失"]
    B1 --> A
    B2 --> A
    B3 --> A
    B4 --> A
    A --> C["臓器障害の蓄積→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='MOF/MODS'>多臓器不全</span>"]

⭐ 腸管は血流再分配で最初に犠牲になる臓器であり、が破綻すると腸内細菌の侵入により二次的な敗血症を合併し、悪循環をさらに加速させる。

蘇生の原則——「致死的ダイヤモンド」を断つ

💡 の死因は出血そのものだけでなく、低体温・アシドーシス・・低Ca血症が互いを悪化させる「」である。この4つを同時に是正しながら止血を急ぐ。

要素 悪化させる要因 是正の原則
大量の晶質液による希釈、低体温、アシドーシス 晶質液の過剰投与を避けを早期に用いる
アシドーシス による乳酸産生、換気不全 灌流の改善そのものが治療。原因の是正を優先する
低体温 大量の未加温輸液・輸血、体表露出 輸液・の加温、保温、濡れた衣類の除去
低Ca血症 大量輸血に伴うクエン酸負荷 Ca²⁺を反復測定し、低下があれば補正する

⚠️ 大量の晶質液で血圧だけを戻そうとすると、・低体温・浮腫を悪化させ、を自ら作ることになる。 必要な晶質液は最小限にとどめ、赤血球・血漿・血小板をバランスよく早期投与する方針へ切り替える。

は結果であって始まりではないことが多い——大量輸液そのものが凝固因子を希釈し、低体温が酵素活性を落とし、アシドーシスがを阻害する。止血のための蘇生は、を作らない蘇生でもある。

まとめ

  • の核心は代償の枯渇である。負のフィードバック(、RAAS、)が尽きると、低灌流が低灌流を生む正のフィードバックへ転換する。
  • この悪循環を超えると、止血してもは自走し、に至る。
  • 蘇生の原則は止血と並行して「」(低体温・アシドーシス・・低Ca血症)を断つことである。
  • 大量の晶質液投与はを悪化させる。晶質液は最小限にし、を早期に用いる。
  • 出血量に応じた段階分類とHbのタイムラグはを参照。