Cardiology

Cardiology · B-03

大動脈解離の診断と治療

Diagnosis and treatment of aortic dissection

前提:病態
動脈瘤・大動脈解離β受容体拮抗薬
前提:正常
縦隔動脈の組織構造
疾患
大動脈解離
症状
橈骨脈拍減弱

🧠 全体像から中膜へ血液が入りを作る病態で、「を含むか」が緊急手術を決める。

この項目ではそのものの診断と初期治療に焦点を当てる。全体における位置づけはB-15で扱う。

病因と進展

主な背景は40〜60歳の高血圧、、エーラス・(Ehlers–Danlos syndrome)などの結合組織疾患、、胸部外傷、妊娠である。は通常、大動脈弁から10 cm以内のに生じる。解離は心臓側へ逆行、または腸骨・まで遠位進展し得る。外膜を破れば大量出血、に破れば心タンポナーデとなる。

Stanford DeBakey 範囲
Type A I 上行・
Type A II のみ
Type B III のみ

この表は古典的対応である。Stanford Aはを少しでも含む解離、Stanford Bはを含まない解離で、への進展を伴うType Bもある。DeBakey IIIは通常、分岐より遠位で始まる。

画像で理解する真腔と偽腔

模式図では、は血管壁3層を保ったまま拡張し、は壁破綻部から血液がへ漏れて周囲組織にされる。一方、解離ではから中膜内へ血液が進入し、を隔ててが並走する。CTA/TEE/MRAではフラップだけでなく、、冠動脈・頸部分枝・がどちらの腔から灌流されるか、破裂・を系統的に確認する。

症状・合併症

突然の胸痛(はあってもなくてもよい)、部位による血圧差・、失神、呼吸困難、悪心、脱力を認める。、心筋梗塞、を呈することもある。破裂部位により、心タンポナーデ、右心不全を来す。

診断

高血圧、、神経脱落所見を確認する。胸部X線では、ECGでは虚血・冠動脈波及を評価し、血液検査では白血球とD-dimerを調べる。血行動態が許せばCTAを迅速な第一選択画像とし、移送困難・不安定例ではTEEを用いる。MRAは高精度だが所要時間と可用性から急性初療では選択例に用い、TTEはAR・などの初期評価を補う。1

⚠️ 原資料の初期検査一覧にある「TTE(transesophageal)」は略語の不整合であり、の正しい略語はTEEである。

治療

を確保して採血し、心拍数・血圧を連続監視する。モルヒネなどで鎮痛し、禁忌がなければ静注β遮断薬でまず心拍数と左室力を抑え、その後も高血圧ならを追加する。COPDだけを理由にβ遮断薬を一律回避せず、重症など真の禁忌がある場合はを代替として検討する。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aortic dissection'>大動脈解離</span>を疑う"] --> B["ABC・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV access'>静脈路確保</span>・モニタリング・モルヒネ"]
  B --> C["β遮断薬中心に心拍数・血圧コントロール(impulse/BP control)"]
  C --> D["TEE/CT/MR<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>で確定・分類"]
  D --> E["Stanford A:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ascending aorta'>上行大動脈</span>を含む"]
  D --> F["Stanford B:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='descending aorta'>下行大動脈</span>のみ"]
  E --> G["緊急外科修復+血圧コントロール"]
  F --> H["合併症のないType B:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-impulse therapy'>抗インパルス療法</span>+画像追跡"]
  F --> I["破裂・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malperfusion'>臓器灌流不全</span>・進行拡大・制御不能な疼痛/高血圧<br>→ 合併型Type BとしてTEVARを優先検討"]

Type Bを一括して保存治療とせず、破裂、、進行する拡大、制御不能な疼痛・高血圧などを伴う合併型では、解剖学的に可能ならTEVARを優先して検討する。1

手術はを置換し、と心タンポナーデを防ぐことを目的とする。

まとめ

  • 突然の胸痛、血圧・、神経症状から疑い、急性画像検査で確定する。
  • Type Aは緊急手術、合併症のないType Bは厳格なが基本である。
  • 破裂、分枝閉塞、冠動脈波及など多を同時に評価する。

出典

  1. 1.2022 ACC/AHA Guideline for the Diagnosis and Management of Aortic Disease(American College of Cardiology / American Heart Association・2022)急性大動脈解離の断層画像、抗インパルス療法、Stanford型と合併症に応じた治療選択閲覧 2026-08-09