内科学

内科学 · H-31

慢性骨髄性白血病

Chronic Myeloid Leukemia

前提:病態
慢性骨髄性白血病(CML)抗がん薬V(低分子シグナル伝達阻害薬・レチノイド)
疾患
慢性骨髄性白血病
検査値
白血球アルカリホスファターゼ

🧠 全体像:は、t(9;22)によるBCR::ABL1融合遺伝子を有するである。BCR::ABL1チロシンキナーゼのによってが増殖するが、により多くの慢性期患者で一般人口に近い長期予後が期待できる。1

病態

flowchart TD
    A["9番染色体と22番染色体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reciprocal translocation'>相互転座</span> t(9;22)"] --> B["Philadelphia染色体"]
    B --> C["BCR::ABL1融合遺伝子"]
    C --> D["ABL1チロシンキナーゼの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='constitutive activation'>恒常的活性化</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granulocytic lineage cells'>顆粒球系細胞</span>の増殖・生存"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leukocytosis'>白血球増加</span>・脾腫"]
    E --> G["追加異常の獲得で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progressive stage'>進行期</span>へ"]

臨床像

  • 健診で発見される著明な
  • 倦怠感、体重減少、、発熱
  • 脾腫による不快感、
  • 、痛風、まれに

末梢血では好中球系の各成熟段階が連続して増加し、、、を伴い得る。

診断

検査 所見・目的
血算・ 、、芽球比率
、病期、
t(9;22)と付加的核型異常
BCR::ABL1融合の検出
BCR::ABL1転写産物をで測定し、治療反応を追跡

診断時には骨髄でPhiladelphia染色体と付加的核型異常を評価し、で転写産物型と治療前値を確立する。以後は同じ(International Scale:IS)によるで分子反応を追跡する。12

白血病様反応では感染などの原因があり、やBCR::ABL1を認めない。はで低いという古典的知識があるが、現在の確定診断はBCR::ABL1検出で行う。2

病期

病期 特徴
慢性期 分化能が保たれ、芽球が少ない。診断時の大部分
ICCでは芽球10〜19%、末梢血20%以上、Ph陽性細胞での付加的染色体異常のいずれかで定義(抵抗性はICCで定義から外された)
末梢血または20%以上、または芽球増殖。様

第5版は慢性期との分類を採用し、を独立病期から外した。一方、やNCCNはを残している。したがって、病期は使用する分類体系を明記して解釈する。342

TKI治療

flowchart TD
    A["慢性期<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic myeloid leukemia'>CML</span>を診断"] --> B["併存症・薬剤相互作用・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Goals'>治療目標</span>を評価"]
    B --> C["適切な初回<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tyrosine kinase inhibitor'>TKI</span>を選択"]
    C --> D["BCR::ABL1 ISを原則3か月ごとに測定"]
    D --> E{"分子学的マイルストーンを達成したか"}
    E -->|"はい"| F["継続し長期毒性を監視"]
    E -->|"いいえ"| G["服薬・相互作用・変異を評価"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tyrosine kinase inhibitor'>TKI</span>変更または移植を検討"]

初回には、、、を用い、承認・利用可能な地域ではも選択肢となる。ASC4FIRST試験ではの48週(major molecular response:MMR)率は選択より高かったが、第二世代との直接比較は主解析ではなかった。米国では2024年に新規診断Ph陽性慢性期へされており、実際の適応は地域の承認を確認する。56 世代だけで優劣を決めず、心血管疾患、肺疾患、糖尿病、薬物相互作用、妊娠希望、深い分子学的寛解を目指すかなどで選ぶ。1

代表的な分子学的目標

時点 良好 不良
3か月 10%以下 10%超 確認された10%超
6か月 1%以下 1%超〜10% 10%超
12か月 0.1%以下 0.1%超〜1% 1%超

0.1%以下はMMRに相当する。ELN 2025は従来の「最適・・」を「良好・・不良」と表現し、12か月0.1%超だけを機械的な変更理由とはせず、反応動態、変異、付加的染色体異常、患者目標を統合する。反応不良では、吸収・相互作用、、病期進行を評価し、変異と併存症に応じて次のを選択する。1

特別な状況

  • :に型治療を組み合わせ、可能ならを得てを目指す。12
  • 移植:第二世代を含む2剤以上の不応、、高リスク耐性などで検討する。1
  • 治療中止:初回慢性期、定量可能な典型的転写産物、通常5年以上(第二世代では4年以上)の治療、2年以上持続したMR4以上、高品質への確実なアクセスを満たす選択例でを試みる。第二選択でも、変更理由がまたは次のに感受性を保つ変異による耐性なら候補となり得る。中止後は6か月まで6〜8週ごと、6〜12か月は2か月ごと、以後は3〜6か月ごとにし、MMRを失ったら速やかにを再開する。より長い深いほど望ましい。1
  • 妊娠:にはがあるため、妊娠前にと計画し、妊娠中の治療をと妊娠週数に応じて個別化する。1

まとめ

  • はBCR::ABL1陽性ので、確定診断と治療監視の中心は分子検査である。
  • 現在の分類は慢性期とのだが、他分類ではを残す。
  • 初回にはも含め、併存症、毒性、相互作用、に合わせて選ぶ。
  • BCR::ABL1 ISを定期測定し、マイルストーン不達時は服薬、変異、病期を再評価する。

出典

  1. 1.2025 European LeukemiaNet recommendations for the management of chronic myeloid leukemia(European LeukemiaNet・2025)CMLの分子診断、BCR::ABL1 ISマイルストーン、TKI選択・変更、治療中止、進行期治療と移植の推奨を確認した閲覧 2026-08-13
  2. 2.Chronic Myeloid Leukemia, Version 2.2024, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(National Comprehensive Cancer Network・2024)BCR::ABL1による診断、三相性分類、TKIを基盤とする治療と無治療寛解の臨床的位置づけを確認した閲覧 2026-08-13
  3. 3.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)WHO第5版がCMLを慢性期と急性転化期の二相で分類することを確認した閲覧 2026-08-13
  4. 4.International Consensus Classification of myeloid and lymphoid neoplasms: myeloproliferative neoplasms(Virchows Archiv・2023)全文(PMC9852206)で、ICCが加速期を保持し、芽球10〜19%・末梢血好塩基球の増加・付加的クローン性染色体異常で定義すること、WHO 2017の基準にあった血小板の異常や脾腫に加え、逐次TKIへの抵抗性や治療中のBCR::ABL1変異の多重出現を加速期の定義から外したことを確認した閲覧 2026-09-24
  5. 5.Asciminib in Newly Diagnosed Chronic Myeloid Leukemia(New England Journal of Medicine・2024)未治療慢性期CMLでアシミニブが医師選択TKIより48週MMR率を改善したことと比較設計上の限界を確認した閲覧 2026-08-13
  6. 6.FDA grants accelerated approval to asciminib for newly diagnosed chronic myeloid leukemia(U.S. Food and Drug Administration・2024)米国で新規診断Ph陽性慢性期CMLに対するアシミニブが加速承認された適応と根拠を確認した閲覧 2026-08-13