Internal Medicine

Internal Medicine · H-29

急性リンパ性白血病

Acute Lymphoblastic Leukemia

前提:病態
前駆T・Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫抗がん薬I(代謝拮抗薬)
薬剤
アスパラギナーゼ
疾患
急性リンパ性白血病
スコア
FAB分類

🧠 全体像は、B細胞またはT細胞系列のが骨髄、末梢血、リンパ組織、節外臓器で増殖する腫瘍である。小児で最も多い白血病だが成人にも生じ、成人では遺伝学的病型、年齢・適格性、に基づいて治療を調整する。

分類と病態

系列 主な特徴
B細胞性ALL(B-ALL) 小児・成人とも多い。CD19、CD22、CD79a、PAX5、TdTなどを発現
T細胞性ALL(T-ALL) 思春期男性に比較的多く、胸腺・を伴いやすい。細胞質内/表面CD3が系列特異的

骨髄・末梢血優位ならALL、腫瘤優位ならリンパ腫と呼ぶが、生物学的には連続した疾患である。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoid progenitor'>リンパ系前駆細胞</span>の遺伝子異常"] --> B["分化停止と増殖亢進"]
    B --> C["骨髄で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoblast'>リンパ芽球</span>が増加"]
    C --> D["正常造血を抑制"]
    D --> E["貧血・感染・出血"]
    C --> F["中枢神経・精巣・リンパ節・縦隔などへ浸潤"]

臨床像

  • 貧血による感・
  • 好中球減少による発熱・感染
  • 血小板減少による紫斑・粘膜出血
  • 、リンパ節腫脹、肝脾腫
  • T-ALLのによる咳、呼吸困難、
  • 中枢神経浸潤による頭痛、嘔吐、脳神経症状
  • に伴う

診断

flowchart TD
    A["血球減少・芽球・腫瘤を認める"] --> B["骨髄形態と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flow cytometry'>フローサイトメトリー</span>"]
    B --> C["B系列またはT系列を確定"]
    C --> D["核型・FISH・分子遺伝学的検査"]
    D --> E["BCR::ABL1などの遺伝学的病型を確定"]
    E --> F["中枢神経・臓器病変を評価"]
    F --> G["治療中のMRDを反復評価"]

重要な遺伝学的病型にはBCR::ABL1陽性、BCR::ABL1様、KMT2A再構成、ETV6::RUNX1、などがある。成人B-ALLではBCR::ABL1を迅速に検査し、陽性なら早期にを組み込む。

歴史的FAB分類

L1〜L3のは芽球形態に基づく歴史的分類であり、現在はと遺伝学的分類を用いる。旧L3の形態は成熟B細胞性バーキット白血病/リンパ腫に対応し、とは治療が異なる。

治療の構成

段階 目的・内容
寛解導入 で形態学的寛解を得る。思春期・若年成人ではを含む小児型プロトコルを基本とする
・強化 残存クローンを減らし再発を防ぐ。MRDと遺伝学的リスクで強度を調整
中枢神経予防 全例でのあるを組み合わせる
維持 多くのプロトコルで総治療期間2〜2.5年程度となるよう継続

高齢者や脆弱な患者では小児型レジメンをそのまま適用せず、臓器機能、併存症、遺伝学的病型、MRDを踏まえて低強度化学療法、抗体薬、標的薬を組み合わせる。形態学的寛解後もMRD陽性なら再発リスクが高く、免疫療法、治療強化、などを再検討する。

病型別・再発時の治療

  • Philadelphia染色体陽性ALL:TKIを治療の早期から組み込み、化学療法またはなどと併用する。
  • B-ALL:CD19/CD22を標的とする、イノツズマブ オゾガマイシン、をMRD陽性や再発・難治の状況に応じて用いる。
  • T-ALL:を基本とし、再発・難治ではネララビンなどを検討する。
  • :高リスク遺伝学的病型、MRD持続、再発例などで検討する。

中枢神経予防

ALLでは診断時に髄液陰性でも中枢神経再発リスクがあるため、全例に予防が必要である。メトトレキサートなどと、高用量メトトレキサート・などのを組み合わせる。は認知・内分泌・二次がんなどの晩期毒性があるため、現在は例外的な高リスク状況に限定され、ルーチンには行わない

支持療法

  • のリスク評価、補液、尿酸低下療法
  • 好中球減少期の感染予防と発熱時の迅速な抗菌薬
  • 輸血、、栄養、
  • 副腎皮質ステロイドやによる高血糖、血栓、膵炎、肝障害の監視
  • 妊孕性温存と晩期合併症の説明

まとめ

  • ALLはBまたはTの腫瘍で、形態だけでなくと遺伝学で分類する。
  • 成人B-ALLではBCR::ABL1を迅速に調べ、陽性ならTKIを早期に組み込む。
  • 治療は寛解導入、・強化、中枢神経予防、維持からなり、MRDが治療調整の中心となる。
  • 中枢神経予防は全例に必要だが、はルーチンではない。