耳鼻咽喉科学

耳鼻咽喉科学 · 51

喉頭の解剖と生理

Anatomy and physiology of the larynx

前提:正常
頸部:頸部内臓頭頸部:咽頭(鰓)装置
症状
反回神経麻痺

🧠 全体像:喉頭は発声器であると同時に、呼吸路の弁・誤嚥防止装置でもある。声帯を開く唯一の筋がであること、喉頭神経支配には基本型とによる変異があることが臨床の軸になる。

喉頭の区分

区分 範囲・特徴
上縁からまで。、披裂ひだ、など
と前・を含む
下縁から下縁まで

軟骨と膜・靱帯

  • 主な軟骨:、、左右の、軟骨。はで、主要な他の軟骨はである。
  • :上喉頭動静脈とが貫く。正中・外側甲状舌骨を形成する。
  • (輪状甲状間膜とも呼ぶ。手技名はこちらの表記を使う):正中部が正中輪状甲状、がとなる。緊急のランドマークである。
  • :下縁が前庭となりを作る。
  • の上縁:声帯となり、のを作る。
  • その他:輪状気管、甲状、舌骨。

筋

内喉頭筋

筋 主作用
唯一の声帯。を開く
外側輪状披裂筋 、を閉鎖
横・ を近づけ後部を閉鎖
声帯を伸長・緊張させを上げる
・声帯筋 声帯の短縮、微細な緊張調節
披裂筋 を狭める

外は喉頭全体を挙上・下降させ、嚥下と発声を補助する。も喉頭運動に協調する。

⚠️ 声帯を開く筋がしかないことが、両側障害を気道の問題にする。 片側のではの外転で気道が保たれ、問題は音声と誤嚥に出る。両側で外転が失われると声帯が正中〜に固定され、発声が比較的保たれることがある一方で・呼吸困難が前景に立つ。

神経支配

神経 感覚 運動
(CN X) 声帯より上の粘膜 ―
― 主に
の終枝() 声帯より下の粘膜 主にを除く

これは基本的な整理であり、との間には機能的な運動交通がある。したがって、個々の筋の支配を常に完全な二分として扱わない1。一方、は喉頭のを担い、直接の運動支配を示す所見は得られていない2。

血流

  • 上喉頭動脈:の枝で、とともにを貫き、を栄養する。
  • 下喉頭動脈:の枝で、とともに上行し主にを栄養する。
  • 静脈は上・下甲状腺静脈系を介し、・系へ還流する。

生理

flowchart TD
    A["呼吸"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior cricoarytenoid'>後輪状披裂筋</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Glottic'>声門</span>開大"]
    C["発声"] --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vocal cord adduction'>声帯内転</span>"]
    D --> E["呼気で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal wave'>粘膜波</span>が生じる"]
    E --> F["咽頭・口腔(oral cavity)・鼻腔(nasal cavity)で共鳴"]
    G["嚥下"] --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal laryngeal nerve'>上喉頭神経内枝</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sensory input'>感覚入力</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='laryngeal elevation'>喉頭挙上</span>・入口部閉鎖"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glottic closure'>声門閉鎖</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cough reflex'>咳反射</span>"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway protection'>気道保護</span>"]

は胸郭固定にも関与し、咳、排便、重量物挙上などで胸腔・を高める。

まとめ

  • は唯一の声帯で、両側障害はになりうる。
  • は主に、他のは主に支配だが、神経間交通による変異がある。
  • 声帯上の知覚は、声帯下はが担う。

出典

  1. 1.Motor Interconnections Between Superior and Inferior Laryngeal Nerves(Cureus・2018)上喉頭神経外枝と反回喉頭神経の間には機能的な運動交通があり、内喉頭筋の運動支配は単純な二分だけでは説明できないこと閲覧 2026-08-09
  2. 2.The Internal Superior Laryngeal Nerve in Humans: Evidence for Pure Sensory Function(The Laryngoscope・2021)上喉頭神経内枝は喉頭の感覚入力を担い、直接の運動支配を示す所見が得られなかったこと閲覧 2026-08-09