Pediatrics

Pediatrics · 26

耳の疾患

Diseases affecting the ear

前提:正常
耳:中耳(鼓室・耳管の形成)

🧠 全体像:小児の耳疾患は「外耳道の炎症()」「中耳の急性感染(急性中耳炎)」「中耳の)」の3つに整理できる。操作痛、は急性のと鼓膜膨隆、症状に乏しくが目立つ、という症状・の違いが鑑別の軸になる。

総論

小児で最も多い症状はに関連するものである。は4歳未満で60%に達するが、通常は自然軽快し管理可能である。

外耳炎

外耳道の炎症。

  • 病因:細菌性(Pseudomonas、E. coli、S. aureus)、真菌性(Candida、Aspergillus)。
  • 危険因子:水泳、使用、皮膚炎、、補聴器使用。
  • 症状細菌性は疼痛主体、真菌性は掻痒+分泌物主体、外耳道()の圧痛、、難聴、分泌物、。発熱はまれ。外耳道皮膚の腫脹・発赤、漿液性/・debris の貯留、鼓膜は正常に見える。
  • 治療:鎮痛、外耳道の慎重な清掃、抗菌薬±ステロイド点耳が基本。高度腫脹で薬液が届かない場合はを用いる。または留置が疑われる場合は耳毒性のある点耳薬を避け、安全な製剤を選ぶ。単純なびまん性に全身抗菌薬は通常不要で、耳介周囲への進展、免疫不全、糖尿病などがある場合に検討する。

中耳炎

急性中耳炎

ウイルス性に続く細菌性で生じる、中耳の疼痛を伴う感染症。2歳未満に最多。急性発症+炎症所見を特徴とする。

  • 病因肺炎球菌、H. influenzae、
  • 危険因子:過密環境・不衛生な生活環境、栄養不良、解剖学的/免疫学的異常()、の細菌定着、
  • 症状、鼻閉、難聴、発熱、感。穿孔があれば。外耳道は正常だが鼓膜は充血し、進行すると鼓膜膨隆(→穿孔)を来す。
  • 診断:中等度〜高度の鼓膜膨隆または、あるいは+48時間以内の/著明な鼓膜発赤を重視し、がなければAOMと診断しないを確認する。合併症のないAOMに画像や培養をルーチンには行わない。
  • 治療:全例で鎮痛を行う。、重症症状(中等度以上の、48時間以上の、39℃以上)、6〜23か月の両側AOMなどは抗菌薬を開始する。非重症の片側例や2歳以上では、確実なフォローを条件に48〜72時間の経過観察も選べる。抗菌薬を用いる場合の第一選択は通常アモキシシリンで、直近30日のアモキシシリン使用、膿性炎、治療不応などではアモキシシリン/を検討する。治療期間は年齢・重症度で5〜10日とし、48〜72時間で改善しなければ再診断する。鼓膜穿刺/鼓膜切開は重症・難治・合併症例でが検討する。

滲出性中耳炎

中耳の非化膿性の滲出液貯留または漿液性)を特徴とする。就学前小児で最多の耳疾患

病期 貯留期間
急性 3週間以内
亜急性 3か月以内
慢性 3か月超
  • 病因:AOM、、耳管の慢性機能不全(腫瘍)。
  • 💡 の悪循環→中耳換気障害+中耳陰圧→粘膜の浮腫・炎症→さらなる、という悪循環に陥る。原因には閉塞(腫瘍、狭窄)、感染()、炎症(アレルギー、毒素、GERD)、奇形()、外傷がある。
  • 症状:通常は無痛で、急性の耳症状や発熱などの全身症状を欠く。が中心で、などを伴うこともある。
  • 診断で鼓膜の不整/陥凹。で鼓膜可動性の低下/消失。で平坦なB型カーブ(陰圧主体ならC型)を認める。年齢相応の聴力検査でを評価する。CT/MRIはOMEのルーチン検査ではなく、腫瘍・などを疑う場合に限る。
  • 治療:リスクのない児は診断または発症から3か月の注意深い経過観察を行う。OMEそのものに抗菌薬、全身/点鼻ステロイド、抗ヒスタミン薬、を用いない。3か月以上持続する場合、または言語発達・学習・感覚障害などのリスク児では早期に年齢相応の聴力評価を行う。両側性持続例で聴力障害がある場合などはを検討し、3〜6か月ごとに再評価する。

まとめ

  • は細菌性なら疼痛主体、真菌性なら掻痒・分泌物主体という症状パターンで鑑別する。
  • は急性のと鼓膜膨隆/を特徴とし、重症度・年齢・片側/両側性で即時抗菌薬と48〜72時間観察を選ぶ。
  • は非化膿性のによる無痛性のが特徴で、まず3か月観察し、持続例では聴力・言語発達を評価する。やステロイドはOME治療として推奨されない。
  • 持続性OMEで聴力障害などがある場合はを、AOMの重症・難治・合併症例では鼓膜穿刺/切開を専門医が検討する。