整形外科学・外傷学

整形外科学・外傷学 · 20

月状骨周囲損傷・舟状骨骨折・手指骨折

Perilunate injury, scaphoid, Bennett, metacarpal and phalangeal fractures

前提:正常
上肢:手関節と手
疾患
Kienböck病偽関節月状骨周囲脱臼舟状月状骨間靱帯損傷舟状骨偽関節進行性虚脱舟状骨骨折

ポッドキャスト

🧠 全体像:手関節・手指骨折は小さな骨折でも握り、つまみ、回旋を大きく損なう。は見逃すとへ進む緊急損傷、は初期X線陰性でも偽関節・近位骨片壊死を来し得る損傷、Bennett骨折と・骨折では回旋変形と関節適合性が治療を左右する。

月状骨周囲損傷

ではが橈骨との関係を保つ一方、以下のが通常背側へする。損傷が進展して自体がへすればとなる。高エネルギーの手関節で生じ、やを伴うもある。

診断

  • 疼痛、腫脹、可動域制限に加え、症状を確認する。
  • 正面X線での破綻、舟状間隙、配列を確認する。
  • で橈骨――の一直線上の関係を確認する。ではが背側へ外れる。
  • で骨折片と配列を詳しく評価するが、明らかなの整復を遅らせない。

⚠️ ティーカップがこぼれた徴候は側面像でがへ回転・した像を指す。が橈骨との関係を保ったままが背側へ外れるそのものと混同しない。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perilunate injury'>月状骨周囲損傷</span>を疑う"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurovascular assessment'>神経血管評価</span>+正面・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral radiograph'>側面X線</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dislocation'>脱臼</span>を確認"]
    C --> D["鎮痛・麻酔下に緊急閉鎖整復"]
    D --> E["整復後も神経とX線を再評価"]
    E --> F["早期の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='open reduction'>観血的整復</span>・固定<br>必要に応じて<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ligament'>靱帯</span>修復"]

急性では早期整復・固定が治療の中心だが、修復の要否は損傷形態と術式に応じて判断する。12

遅延すると慢性、障害、、外傷後、へつながる。(Kienböck disease)は壊死だが、の通常の直接的帰結として同一視しない。

舟状骨骨折

舟状骨(scaphoid)は最も骨折しやすいで、が多い。血流は主に遠位側から逆行するため、骨折ほど・(avascular necrosis:AVN)の危険が高い。

診断と画像

解剖学的嗅ぎ煙草入れの圧痛、圧痛、母指などを確認するが、単独所見で確定できない。正面、側面、、を行う。

初回X線が陰性でも疑いが高ければし、3〜5日以内を目安に、代替としてを追加して早期に確定方針を立てる。3 確定骨折の転位・骨片形態は舟状骨長軸に合わせたで評価する。単に10~14日後の再撮影だけへ依存すると診断と復帰が遅れる。

保存治療の固定期間は骨折部位と癒合所見で決まる。非転位または最小転位のでは6週前後が一つの目安で、中等度転位では8〜10週を要し得る。骨折ではさらに長期化し得るため、固定期間を日数だけで決めずなどで癒合を確認する。3

骨折 主な治療
遠位極・結節 症状に応じ短期間の固定
、非転位または最小転位(0.5 mm以下)で安定 肘下。母指を含めない固定も可能3
、転位0.5〜1.5 mm 不安定性がなければ長めの固定を検討し、患者因子で手術と比較する3
、転位1.5 mm以上 急性期手術固定を検討3
、転位あり 血行・癒合リスクが高く手術固定を検討
不安定手根損傷を合併 緊急専門評価と固定

Bennett骨折

Bennett骨折は第1基部のである。掌の小骨片は前斜に保持される一方、は長母指などにより橈背側へするため、本質的に不安定である。

  • ごく軽度の転位でを安定して保持できる場合に限り、母指外転位で固定し、短い間隔で画像を確認する。4
  • 閉鎖整復で整復できるが不安定:経皮的K-wire固定を行う。
  • 、著しい関節面不整、大きな骨片:を検討する。

中手骨・指節骨骨折

は頸部・・基部、は・・に分けて考える。第5頸部骨折はと呼ばれ、は圧挫、・は捻転またはで損傷しやすい。

診察の優先順位

  1. 、、腱損傷を確認する。
  2. 指を屈曲させ、爪の向きとがへ収束するかを見て回旋変形を確認する。
  3. 感覚、、屈筋腱・機能を整復前後で記録する。
  4. 正面・・で関節面、短縮、を評価する。

安定・はやで治療し、できるだけ早く安全な関節運動を開始する。回旋変形はわずかでも指先で増幅されるため許容しない。許容角度はの部位、指、屈曲面、短縮、患者機能により異なるため、「第540°、第4 30°、第3 20°、第2 10°」を普遍的な手術閾値として用いない。

手術を考える所見は、または、回旋変形、開放骨折、関節内不整、、著しい短縮、腱・である。方法はK-wire、、プレート固定などを骨折形態に合わせる。

合併症

  • 舟状骨偽関節、近位骨片AVN、
  • 後の慢性、
  • ・の回旋変形、短縮、
  • 腱癒着、、・
  • 固定材料刺激、感染、CRPS

まとめ

  • は整復を急ぎ、通常は早期固定を要する。修復は損傷形態と術式に応じて判断する。
  • 疑いで初回X線陰性でも除外せず、を中心に3〜5日以内の追加画像を行う。
  • Bennett骨折は第1基部の不安定なである。
  • 手指骨折では角度だけでなく、回旋、短縮、関節面、腱機能を重視する。

出典

  1. 1.Open reduction for perilunate injuries--clinical outcome and patient satisfaction(The Journal of Hand Surgery・2010)急性月状骨周囲損傷では早期整復・内固定が治療の中心であること閲覧 2026-08-09
  2. 2.Less is More in Acute Perilunate Injuries? Early Success with Arthroscopic-Assisted Fixation of The Proximal Row without Ligament Repair(Hand Surgery & Rehabilitation・2026)急性月状骨周囲損傷では固定が中心だが靱帯修復を必須としない術式も検討されていること閲覧 2026-08-09
  3. 3.Acute scaphoid fractures: guidelines for diagnosis and treatment(EFORT Open Reviews・2020)舟状骨骨折疑いの早期MRI・CT、転位別の保存と手術適応、固定期間閲覧 2026-08-09
  4. 4.Screw and Suspension Fixation for Bennett Fractures(Journal of Hand Surgery Global Online・2023)Bennett骨折は本質的に不安定であり多くの症例で固定を要すること閲覧 2026-08-09