泌尿器科学

泌尿器科学 · U-22

男性不妊症

Male sexual disorders of fertility

前提:正常
性成熟の内分泌生理学。男性生殖生理学。男性生殖:精巣男性生殖:排出管
疾患
精索静脈瘤乏精子症
検査値
精液検査

🧠 全体像:は原因部位から前精巣性(内分泌)・精巣性(精子形成)・後精巣性(輸送・)に整理する。診断はカップル双方を並行して評価し、男性では病歴・・を軸に、所見に応じてホルモン・遺伝学的検査を追加する。のだけで妊孕性を断定せず、原因と女性側因子を踏まえて内科治療、手術、精子採取・を選ぶ。12

不妊症の定義

  • :避妊なしの性交を12か月間継続しても妊娠に至らない状態。2
  • :一度も妊娠を成立させたことがない場合。
  • :過去に少なくとも1回は妊娠を成立させたことがある場合。

不妊カップルでは男女を同時に評価し、女性パートナーの年齢・は、男性側治療を待つかを急ぐかの判断にも関わる。2

病因

  • 精子密度の有意な減少傾向が報告されており、環境因子・環境の関与が仮説として提唱されている。
  • 原因は前精巣性、精巣性、後精巣性に分けると、検査と治療を対応づけやすい。
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='male infertility'>男性不妊</span>"] --> B["前精巣性<br>視床下部・下垂体・内分泌異常"]
    A --> C["精巣性<br>精子形成障害・遺伝学的異常・精巣障害"]
    A --> D["後精巣性<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstruction of the seminal tract'>精路閉塞</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejaculatory dysfunction'>射精障害</span>"]
  • :精巣異形成症候群、
  • 後天性尿路生殖器異常:既往の、既往手術
  • 陰嚢温度の上昇(など)、、免疫学的因子、、悪性腫瘍

診断

病歴・身体所見

  • 家族歴、、外傷、、性感染症、、、、悪性腫瘍、、、放射線曝露、、性交渉歴、原発性/の別、パートナーの年齢・妊孕性
  • 、、外性器、精巣の欠如、・硬さ、、、陰茎異常

精液検査

指標 基準(下限) 異常時の名称
16 百万/mL
前進運動率 30%
正常形態率 4%
精子(すべて陰性) — (最重症)

⚠️ 上記はマニュアル第6版(2021年)の自然妊娠集団に基づく代表的な参照値であり、使用する検査室の基準も確認する。3

これらは自然妊娠した集団の5であり、妊孕性の有無を分ける閾値ではない。精液所見は採取ごとの変動が大きいため、初回異常なら少なくとももう一度、標準化した条件で再検する。2

  • 3項目すべてが該当する場合は乏精子無力(OAT症候群)と呼ぶ。
  • 精液中の白血球濃度は精子機能低下と関連する。

ホルモン評価

ホルモン検査は、・、・、、を示唆する所見がある場合に行う。まずと総テストステロンを評価し、テストステロン低値や中枢性病変が疑われる場合に・プロラクチンなどを追加する。1

ホルモン 意義
精子形成を反映。精細胞が欠乏・著減している場合、通常は上昇する
テストステロン産生の指標
プロラクチン の評価
テストステロン 性腺機能を反映
  • 原発性:テストステロン低値に対して・が高値(精子形成障害では上昇が目立つ)
  • 続発性:テストステロン低値に対して・が低値または不適切に正常

遺伝学的評価

  • 非閉塞性や高度では、とに応じて(例: 47,XXY)やY染色体検査を行う。
  • 欠損または閉塞性が疑われる場合はCFTR関連検査と遺伝カウンセリングを検討する。
  • 検査は初期評価で全例に行う検査ではなく、や不成功などので選択する。12

精漿検査

  • 感染マーカー(IL-8、IL-6などの炎症性タンパク)
  • ・・中性 alpha-glucosidaseの生化学的分析
  • ASA(抗精子抗体)
  • ROS・評価(ではが亢進していることが多い)

これらは拡張検査であり、抗精子抗体、生化学、ROS測定を初期評価として一律には行わない。が疑われる場合は、円形細胞が白血球か未熟生殖細胞かを確認する。2

画像検査

  • 陰嚢US:、精巣・精巣上体の解剖評価

治療

ホルモン療法

  • (および/または・分泌不全):

    • +またはhMG()で治療4
    • は性腺刺激ホルモンと精子形成を抑制するため、現在または将来のがある男性には単独投与しない。がない場合は、テストステロン補充でアンドロゲンレベルとを維持できる。4
  • :(など)

    💡 現在はよりもが高く効果も安定しているが第一選択のとして選ばれることが多い。

  • :、

非ホルモン療法(抗酸化療法)

が精子膜を傷害しを介して不妊に関与するという考えに基づく。

  • ・E・C・B
  • アミノ酸(など)
  • 、コエンザイムQ10
  • (、、)

⚠️ による妊孕性改善のエビデンスは限定的・質が低いとする系統的レビューが多く、特定製剤を標準治療として一律に勧める根拠は不十分である。42

外科的治療

  • :不妊を認め、な臨床的と精液所見異常がある男性では手術を検討する。画像だけで判明する非触知性へ一律に手術を行わない。4
  • :
    • 閉塞性 → または精巣上体・精巣からの精子採取を、女性側因子と計画に応じて選ぶ
    • 非閉塞性 → 残存するの精子形成部位をなどで探索する4

まとめ

  • は12か月の避妊なし性交で妊娠に至らない状態と定義され、男性因子は前精巣性・精巣性・後精巣性に整理する。
  • 男女を並行評価し、病歴・・を基本に、ホルモン・遺伝学的検査を選択する。精液だけで妊孕性を断定しない。
  • 治療はへの、適応を満たす、精路再建または精子採取・を原因とカップルの状況に応じて選ぶ。療法の臨床転帰への根拠は限定的である。

出典

  1. 1.Diagnosis and treatment of infertility in men: AUA/ASRM guideline part I(2021)不妊カップルの男女を並行評価し、男性では生殖歴・病歴、身体診察、精液検査を基本として、ホルモン・遺伝学的検査を所見に応じて選択することを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.European Association of Urology Guidelines on Male Sexual and Reproductive Health: 2025 Update on Male Infertility(2025)WHO第6版に基づく精液検査の解釈、異常時の再検、選択的ホルモン・遺伝学的評価、および精索静脈瘤・無精子症の現行管理を確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition(2021)精液検査の標準化手順と自然妊娠集団に基づく精液所見の参照分布を確認した。閲覧 2026-08-13
  4. 4.Diagnosis and treatment of infertility in men: AUA/ASRM guideline part II(2021)低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の治療、妊孕性を希望する男性での外因性テストステロン回避、臨床的精索静脈瘤の手術適応、無精子症での精子採取を確認した。閲覧 2026-08-13