Urology

Urology · U-05

尿道・外性器損傷とその早期・晩期合併症

Lesions of the urethra and the genital organs, their early and late consequences

前提:正常
骨盤・会陰:会陰男性生殖:付属腺と陰茎
疾患
尿道狭窄泌尿生殖器外傷

🧠 全体像:外性器・尿道の外傷は「尿道損傷(前部/後部)」「陰茎外傷(骨折・穿・切断・絞扼)」「陰嚢外傷(精巣損傷・)」の3系統で捉える。共通するのは早期の的確な診断(DRE・・US)が晩期合併症(・不妊)を左右するという点である。

尿道損傷

病因

  • 女性尿道の外傷は非常に稀で、多くは婦人科・泌尿器科手術に伴う。
  • 男性尿道損傷は前部尿道後部尿道に分けて考える。
部位 特徴
前部尿道 多くは単発で、・カテーテル・などの医原性器具操作による。非医原性では跨座位損傷(straddle injury:自転車のトップへのや会陰部への直接的な蹴りなど、両脚が左右に開いた状態での外力)で球部尿道が損傷し、主なである
後部尿道 多くは骨盤骨折・骨盤の高度な破壊を伴う(交通事故、、労災事故)。後部尿道は固定されているため、性別を問わず生じうる

症状

  • 尿道外尿道口からの出血
  • 排尿不能
  • 膀胱のな充満
  • 」会陰部血腫、またはでの「浮動性」前立腺
  • 外陰浮腫、腟口からの出血→骨盤骨折を示唆する

診断

  • :尿道口からの出血があれば精査の適応。
  • 前立腺の触知不能。
  • を使用。
  • :侵襲的手技。

治療

  • 前部尿道の部分または留置で対応する(強い推奨)。
  • に合併する尿道損傷は、原則に従い即時修復する。
  • 後部尿道損傷(骨盤骨折関連尿道損傷:PFUI、男性):
    • 血行動態が不安定な急性期は、まずまたはで尿路を確保することを優先する(強い推奨)。
    • 受傷後48時間未満のは行わない(強い推奨)。かつては完全な後部尿道に対する早期の術が積極的アプローチとされたが、現行のEAU Urological Trauma Guidelines 2025ではこの方針は支持されない。
    • 可能であれば早期のを検討する(弱い推奨)が、整復に失敗した場合に内視鏡的操作を繰り返し試みることは避ける(強い推奨)。
    • 完全で早期整復がしない・実施できない場合は、によるを行い、3か月以上待ってからを行う(強い推奨)。
  • 女性の骨盤骨折関連尿道損傷はきわめて稀だが、生じた場合は7日以内の早期修復が最も合併症率が低く推奨される(強い推奨)。修復や整復術は避ける。

⚠️ 「後部尿道完全→早期に術」という旧来の積極的アプローチは、現行ガイドラインでは推奨されない。急性期はまず尿路確保(カテーテル)にとどめ、完全の根治は原則として3か月以上待ったに委ねる。

陰茎外傷

陰茎折症

  • 性交渉中の過度の屈曲力によって生じる。
  • 破裂部位は陰茎体のどこにでも生じうる。
  • の損傷、時に・尿道損傷を伴う。
項目 内容
症状 時の「バキッ」という音、疼痛、急激な勃起消退、陰茎の・腫脹。血腫とにより側と反対方向へ陰茎が偏位することが多い
診断 病歴・が基本。US・海綿体造影は偽陰性となりうる。で尿道損傷を除外する
治療 遅延なき緊急手術部を露出し吸収糸で結節縫合。投与。最低4〜6週間の性交渉禁止

穿通性陰茎損傷

  • 動物咬傷・ヒト咬傷による。
  • 治療:即時の創部探索、大量洗浄、必要に応じて完全切除、破傷風予防。創閉鎖は行わないとして管理)。

陰茎切断

  • 大半は精神疾患によるが原因。
  • 治療:切断部をで洗浄しガーゼで包みバッグに入れ、さらに氷を入れた別のバッグに入れて搬送する。尿道・海綿体・血管・神経の完全な再吻合により良好な結果が得られる。

陰茎絞扼症

  • 緊急疾患。
  • 治療:絞扼器具の除去、必要な、切除部の再建・組織増大術。

陰嚢外傷

精巣損傷

項目 内容
病因 (スポーツ、暴行、交通事故)、穿損傷(、爆発)。いずれもを来しうる
症状 高度の陰嚢痛・悪心、ほぼ全例に陰嚢出血・血陰嚢、腫脹・皮下出血
診断 尿道・血管の慎重な診察。US検査が必須であり、と血流を評価する
治療 早期の陰嚢切開・探索ほど精巣温存・妊孕性温存・の可能性が高まる。の再建、または止血・血管管理を行う

陰嚢皮膚損傷・外性器皮膚欠損

項目 内容
病因 )が最多。機械的器具による。免疫抑制状態、尿路/糞便の転向、不衛生が誘因となる
症状 浮腫、紅斑、皮膚虚血、特徴的な悪臭を伴う高度感染
診断 US/
治療 初期:即時かつ徹底的な・ドレナージ・、抗菌薬投与、留置による尿道感染の波及を避けるため恥骨上ドレナージを検討。感染・壊死が制圧された後:またはで創閉鎖

⚠️ は生命を脅かす緊急疾患であり、その具体的な病態・・抗菌薬選択は「u-08-urological-emergency」で扱う。ここでは陰嚢の代表的原因という位置づけにとどめる。

まとめ

  • 尿道損傷は前部(多くは医原性、跨座位損傷)と後部(骨盤骨折関連)に分け、尿道口出血・排尿不能・「」から疑い、で確定する。
  • は性交渉中の屈曲力によるで、遅延のない緊急手術と術後の性交渉制限が原則。
  • による症例が多く、切断部の適切な保存(生食洗浄→ガーゼ→バッグ→氷冷)が再接着の成否を左右する。
  • 精巣損傷とはいずれも(早期探索、早期)が予後を決定する陰嚢外傷である。