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Disease Atlas · 全身 · 先天性疾患

CHARGE症候群

CHARGE syndrome

別名
CHARGE連合
臓器系
全身耳鼻咽喉科眼科内分泌・代謝小児
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Embryology)
トピック
発生学 18.1:耳:内耳発生学 19.1:眼:眼胞と眼杯
鑑別疾患
Goldenhar症候群
関連疾患
Kallmann症候群後鼻孔閉鎖喉頭裂声門下狭窄
症状
眼コロボーマ難聴小陰茎嚥下障害
画像所見
半規管無形成・低形成

🧠 全体像:は、頭字語で覚える病気であって、頭字語で診断する病気ではない。⚠️⚠️ 語呂は前分子遺伝学時代に作られたもので、現在の診断は臨床基準(Blake基準など)と CHD7 に基づく12。⭐ 頭字語に入っていない2つ——脳神経の障害との欠損——のほうが、実際には頻度が高く診断的である(欠損94%、障害95%超)2。GeneReviewsの章名は現在「CHD7 Disorder」であり、⚠️ CHD7 のが見つかることはの診断と同義ではないと明記されている2。

頭字語が指すもの

CHARGEは6項目の頭文字を並べたものである。

文字 元の語 内容
C Coloboma (・網膜・・)、・
H Heart defects
A Atresia of choanae ・狭窄(片側または両側)
R Retardation of growth and development ・
G Genital abnormalities ()
E Ear anomalies ・・難聴2

⚠️⚠️ この6項目をとして使わない。 語呂は所見を思い出すためのであり、診断の枠組みは別に作られている。

⭐ 診断基準(Blakeら)

Blakeらの基準はを「4つのC」にまとめる1。

区分 項目
・狭窄(Choanal atresia)//特徴的な耳の/脳神経の
////特徴的な//

診断は、4つすべて、または3つと3つを満たす者がである可能性が高い、とされる1。

⭐ 頭字語との違いに注目する。 頭字語では「H()」と「R(成長発達)」が主役級だが、ではどちらもに落ちている。代わりに脳神経の異常がに入る。💡 理由は素直で、もも他の症候群に山ほどあって特異度が低いのに対し、と・の組み合わせは他ではまず揃わないからである。

⭐ の低形成は Blake ではなく Verloes(2005)のである。 Verloesはを//低形成の3つに絞った3。⚠️ 「4つのC」と「」を同じ基準の中で数えない——どちらの基準の話をしているかで、に入る項目が変わる。なおを含むVerloes基準の全体像は、原著(Am J Med Genet A 2005;133A:306-8)にPubMed上のが無く未取得のため掲げない2。

頻度で見ると何が「必発」か

GeneReviewsのTable 2は、CHD7 異常症で各所見が見られる割合を示している2。

所見 頻度
の欠損 94%
障害(感音難聴・) 95%超
90%
第I(・) 90%
80%
80%
74%
第IX/X(嚥下障害) 60〜80%
() 50〜70%
・狭窄 45%

⚠️⚠️ 頭字語の「A()」は45%にすぎない。 に最も目立つ所見なので印象に残りやすいが、無いことは除外の根拠にならない。

⭐ の異常がCHD7異常症で最も特徴的であるとされ2、の欠損・異常との欠損はの主要な画像所見に挙げられる1。CHD7 変異を持つの胎児では、欠損との2つが恒常的所見であったと報告されている1。

⭐ だから、疑ったらまたはを撮る。 ・で見るべきは、低形成・蝸牛回転数の減少()と、とりわけの欠損である1。

💡 がここまで一貫して侵される理由は発生の時期にある。 はから生じ、はより遅れて形成される(発生学 18.1)。同じ時期に、眼ではの閉鎖が進み(発生学 19.1)、からと顔面が作られる。器官をまたいで同じ時期のが一斉に乱れるという像が、この症候群の骨格である。

遺伝

CHD7 の変異は患者の75%超で検出される(2006年の総説の記載)1。遺伝形式はで、多くはである2。

状況 再発リスク
両親が非罹患のときの同胞 1〜2%(を考慮した値)2
罹患者の子 50%2

⚠️ 「だから再発しない」と言わない。 があるため0ではなく、1〜2%という数字が家族への説明に使われる2。

⚠️⚠️ 遺伝子と症候群名を等号で結ばない。 GeneReviewsは章名を「CHD7 Disorder」とし、CHD7 のに関連する全体を指す語として使ったうえで、CHD7 のが見つかることはの診断と同義ではないと家族に説明することの重要性を強調している2。💡 変異があっても典型的なの臨床像に至らない人がいる、ということである。

はその一端で、CHD7 はを伴う型・嗅覚が正常な型のいずれのも来しうる(詳細はそちらのノート)。⭐ の「G(性腺)」と「第I脳神経の」が同時に説明されるのはこのためで、とという組み合わせは両症候群に共通する。

診断の進め方

flowchart TD
    A["新生児・乳児に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Coloboma'>コロボーマ</span>、<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='choanal atresia'>後鼻孔閉鎖</span>、特徴的な耳介、<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cranial neuropathy'>脳神経障害</span>のいずれか"] --> B["残りの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='major criteria'>大基準</span>を系統的に探す"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='temporal bone CT'>側頭骨CT</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='semicircular canals'>半規管</span>・蝸牛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='olfactory tract'>嗅索</span>を見る"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='major criteria'>大基準</span>4つ、または<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='major criteria'>大基準</span>3つ+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='minor criteria'>小基準</span>3つか"}
    D -->|"満たす"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CHARGE syndrome'>CHARGE症候群</span>として<br>CHD7の遺伝学的検査へ"]
    D -->|"満たさないが疑う"| E
    E --> F{"CHD7の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pathogenic variant'>病的バリアント</span>"}
    F -->|"あり"| G["CHD7異常症として確定<br>両親の検査で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='de novo variant'>新生変異</span>かを確認"]
    F -->|"なし"| H["臨床診断は残る<br>他の症候群も並行して考える"]
    G --> I["同胞再発1〜2%、<br>子への伝達50%を説明"]

⚠️ CHD7 が陰性でも臨床診断は否定されない。 検出率は全例ではなく、臨床基準を満たすなら診断は臨床側に残る。

鑑別

眼 ・が中核 、眼瞼
耳 に加え欠損(94%)が中核 ・
対称性 両側性の異常 という左右差が中核
鼻 ・狭窄(45%) 通常伴わない
遺伝 CHD7、、多くは 通常は

⚠️ 「」の一語で括らない。 の中核は・の(眼球そのものの)で、で目立つ()とは別の構造の欠損である。💡 前者はの閉鎖不全、後者はので、発生上まったく別の事象である。

⭐ 逆向きにも覚えておく。 網膜・の小児の60%に全身性合併疾患があり、そのうち20%がである(のノート)。を見たら本症を候補に挙げる。

まとめ

  • CHARGEは coloboma・heart defects・atresia of choanae・retardation of growth and development・genital abnormalities・ear anomalies の頭字語だが、⚠️ 頭字語はではない。
  • Blakeらのは「4つのC」=・・特徴的な耳の異常・脳神経の異常で、4つ、または3つ+3つで診断される。⭐ と成長はに落ちている。
  • 頻度では欠損94%・障害95%超が最も高く、の異常が最も特徴的とされる。⚠️ は45%にすぎず、無くても除外できない。
  • 原因は CHD7(患者の75%超で検出)。で多くが、同胞再発1〜2%、子への伝達50%。
  • ⚠️ GeneReviewsは章名を「CHD7 Disorder」とし、CHD7 の存在はの診断と同義ではないと明記している。

出典

  1. 1.CHARGE syndrome(Orphanet Journal of Rare Diseases・2006)Blakeらの診断基準の大基準が後鼻孔閉鎖・狭窄、眼コロボーマ、特徴的な耳の異常、脳神経の異常の4つ(「4つのC」)であること、小基準が心血管奇形・性腺低形成・口唇裂/口蓋裂・気管食道瘻・特徴的な顔貌・成長障害・発達の遅れであること、大基準4つすべて、または大基準3つと小基準3つを満たす者はCHARGE症候群である可能性が高いとされること、嗅索の欠損と半規管の欠損・異常がCHARGE症候群の主要な画像所見であること、側頭骨CT・MRIでの特徴的異常が砧骨低形成・蝸牛回転数の減少(Mondini奇形)ととくに半規管の欠損であること、CHD7変異とCHARGE症候群を有する胎児で嗅脳欠損と半規管無形成が2つの恒常的所見であったこと、発生率の推定が出生1万あたり0.1〜1.2でありカナダのサーベイランスでは本症への研究関心が高い地域で8,500人に1人と示唆されること、CHD7遺伝子の変異がCHARGE症候群患者の75%超で検出されることを確認した。閲覧 2026-09-03
  2. 2.CHD7 Disorder(GeneReviews(University of Washington, Seattle)・2025)章の題名が現在「CHD7 Disorder」であり、CHD7異常症がCHD7のヘテロ接合性病的バリアントに関連する表現型スペクトラム全体を指すこと、CHD7の病的バリアントが見つかることはCHARGE症候群の診断と同義ではないと家族に説明することの重要性が強調されていること、診断を疑うべき所見として虹彩・網膜・脈絡膜・視神経乳頭のコロボーマ/無眼球・小眼球、片側または両側の後鼻孔閉鎖・狭窄、口蓋裂(口唇裂の有無を問わない)、脳神経の機能障害・形態異常(第I脳神経の嗅覚低下・脱失、第VII脳神経の顔面神経麻痺、第VIII脳神経の感音難聴・平衡障害、第IX/X脳神経の嚥下障害)、特徴的な耳介奇形、気管食道瘻・食道閉鎖、心血管奇形、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(小陰茎・停留精巣・思春期の遅延または欠如)、発達の遅れと成長障害、脳MRIでの蝸牛のMondini奇形および半規管の欠損・低形成が挙げられていること、Table 2の頻度としてコロボーマ80%、後鼻孔閉鎖・狭窄45%、心奇形74%、性腺機能低下(低ゴナドトロピン性)50〜70%、耳介奇形90%、耳小骨奇形80%、半規管欠損94%、脳神経障害が第I脳神経90%・第VIII脳神経95%超・第IX/X脳神経60〜80%であること、側頭骨の異常がCHD7異常症で最も特徴的であるとされていること、遺伝形式が常染色体顕性で多くは新生変異であり、両親が非罹患の場合の同胞再発率が生殖細胞モザイクを考慮して1〜2%、罹患者の子への伝達率が50%であることを確認した。2025年8月14日最終改訂。⚠️ Verloes(2005)・Blake(1998)の診断基準は「CHARGE連合と呼ばれるようになったものについて臨床診断基準が精緻化された」と言及されるのみで、大基準・小基準の一覧としては本章から取得できなかった。閲覧 2026-09-03
  3. 3.CHD7 Disorder—Not CHARGE Syndrome—Presenting as Isolated Cochleovestibular Dysfunction(Genes (MDPI)・2024)同論文の Table 1「CHARGE diagnostic criteria according to Verloes」に、Verloes(2005)の大基準が Coloboma (iris or choroid, with or without microphthalmia) / Choanal atresia / Hypoplastic semi-circular Canals の3項目として、小基準が Rhombencephalic dysfunction / Hypothalamo–hypophyseal dysfunction / Abnormal middle or external ear / Malformation of mediastinal organs / Mental retardation として掲げられていることを、Europe PMC の全文(PMC11120670)で逐語確認した。⚠️ 原著 Verloes 2005(Am J Med Genet A 2005;133A:306-8)そのものは未取得で、本表を介した引用である閲覧 2026-09-03