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Disease Atlas · 肝胆膵 · 先天性疾患

Crigler-Najjar症候群

Crigler-Najjar syndrome

別名
Crigler-Najjar症候群I型Crigler-Najjar症候群II型
臓器系
肝胆膵小児
科目
PathologyPediatrics
トピック
病理学 C/45:黄疸の病態生理/ビリルビン代謝異常/胆石症小児科 09:新生児黄疸
鑑別疾患
Gilbert症候群
治療薬
フェノバルビタール
症状
黄疸核黄疸
検査値
ビリルビン

🧠 全体像は、と同じUGT1A1の異常が量的にはるかに強く出た病態で、I型は酵素活性がほぼ完全に消失、II型は活性が低下するが残存するという一点で運命が分かれる。核心はへの反応性が診断的治療になること——II型は反応してビリルビンが下がるが、I型はまったく反応しない。I型はからという不可逆のに常にさらされ、でしのぎながら根治のためのを待つ、生涯にわたる管理を要する疾患である。

病態

の遺伝形式をとり、と同じUGT1A1遺伝子の変異によるの欠損で発症する。がプロモーター領域の量的な多型で酵素活性が緩やかに低下するのに対し、はコード領域の重篤な変異(欠失・スプライス部位異常・stopコドンなど)によって酵素そのものの機能が失われる点が異なる1

flowchart TD
    A["UGT1A1遺伝子の重篤な変異(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autosomal recessive'>常染色体劣性</span>)"] --> B{"残存酵素活性は?"}
    B -->|"ほぼ0(完全欠損)"| C["I型:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Unconjugated bilirubin'>非抱合型ビリルビン</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='markedly elevated'>著明高値</span><br>2〜25、重症で50 mg/dLに達しうる"]
    B -->|"低下するが残存"| D["II型:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Unconjugated bilirubin'>非抱合型ビリルビン</span>高値<br>20 mg/dL未満"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phenobarbital'>フェノバルビタール</span>に<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-response'>無反応</span>"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phenobarbital'>フェノバルビタール</span>で<br>ビリルビンが約25%低下"]
    C --> G["血液脳関門を通過し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kernicterus'>核黄疸</span>のリスクが高い"]
    D --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kernicterus'>核黄疸</span>のリスクは低い"]

への反応性がそのまま診断的治療になる。 は残存するUGT1A1の発現を誘導するため、II型では酵素活性がわずかでも残っていれば血清ビリルビンがおよそ25%低下する患者が多い一方、I型は酵素そのものが存在しないため反応しない12。稀にHNF-1α結合部位の変異を伴うII型でに反応しない例も報告されており、な基準ではない2

I型とII型の対比

項目 I型 II型
UGT1A1酵素活性 ほぼ完全に欠如(ゼロ) 低下するが残存(ゼロではない)
ビリルビン値の目安 2〜25 mg/dL、重症例で50 mg/dLに達しうる 20 mg/dL未満
への反応 (診断的) 反応し約25%低下(診断的)
のリスク 高い(から一貫して 低い
永続的な 報告では最大30%に生じる まれ
主な治療 集中(唯一の
予後 未治療では致死的、生涯にわたる管理を要する 良好、多くは成人期まで生存

核黄疸(ビリルビン脳症)——I型最大の脅威

⚠️ はアルブミンと結合していない遊離型が脂溶性で、血液脳関門を通過する。 がおよそ25 mg/dL以上になると性のリスクが高まり、大脳基底核を中心に不可逆の障害(・慢性)を来しうる1。I型ではこの閾値に達しうる高いビリルビン値がから生涯にわたって持続するため、のリスクに一貫してさらされる。実際、I型では永続的なの頻度が報告により最大30%に達するとされる1

いったんが完成すると、その障害は不可逆である。 治療の目標はを発症させないこと——すなわちビリルビン値を性の閾値未満に保ち続けることに尽きる。

治療

I型

  • 集中:I型の生涯にわたる基本治療。皮膚のして排泄させるが、思春期になると皮膚の肥厚・色素沈着の増加・比の低下により効果が落ち、成人期の管理が難しくなる2
  • :重症のクリーゼで血中の過剰なを最も速やかに除去する方法1
  • I型に対する唯一のである1を発症してからでは障害が不可逆であるため、発症前の予防的なが強く推奨される。多くは生後1年以降、特に思春期に施行される2
  • 遺伝子治療:正常なUGT1A1遺伝子を導入する治療法が段階にある1

II型

Gilbert症候群との関係

は、同じUGT1A1という酵素の障害の程度が違うだけの連続体として理解すると整理しやすい。はプロモーター多型による軽度の活性低下(30〜50%)にとどまり無治療でよいのに対し、はコード領域の変異により活性がほぼ失われる(I型)か大きく低下する(II型)。詳しい対比はのノートを参照。

まとめ

  • はUGT1A1の重篤な変異によるで、I型(酵素活性ほぼゼロ)とII型(低下するが残存)に分かれる。
  • への反応性がI型・II型を分ける診断的治療になる:II型はビリルビンが約25%低下するが、I型は
  • )が最大ので、I型ではが約25 mg/dL以上になると血液脳関門を通過し不可逆の神経障害を来しうる。
  • I型は集中でしのぎながら、唯一のであるを(多くは生後1年以降・思春期に)目指す生涯管理を要する。II型はで管理でき予後は良好。
  • と同じUGT1A1の異常だが、活性低下の程度がはるかに強い点で区別する。

出典

  1. 1.Crigler-Najjar Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)UGT1A1遺伝子変異によるI型(酵素活性がほぼ完全に欠如)とII型(活性が残存するが低下)の分類、I型のビリルビン値が2〜25 mg/dL(重症例で50 mg/dLに達しうる)、II型が20 mg/dL未満にとどまること、I型はフェノバルビタールに反応しないがII型では血清ビリルビンを25%低下させる患者が多いという診断的な差、I型で永続的な神経学的後遺症が最大30%に生じるとされること、非抱合型ビリルビンが約25 mg/dL以上で血液脳関門を通過して神経毒性を来すこと、光線療法・血漿交換・肝移植・遺伝子治療という治療の位置づけを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Therapeutic Options for Crigler-Najjar Syndrome: A Scoping Review(International Journal of Molecular Sciences・2024)II型ではフェノバルビタールが血清ビリルビン値をおよそ25%低下させる一方、I型では有意な反応を示さないこと(HNF-1α結合部位変異を伴う例外報告を含む)、I型の肝移植が唯一の根治的治療であり生後1年以降、特に思春期に推奨されることが多いこと、思春期になると皮膚の肥厚・色素増加・体表面積比の低下により光線療法の効果が低下することを確認した。閲覧 2026-08-11