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Drug Atlas · 02 Corticosteroids / 副腎皮質ステロイド

クロベタゾール

clobetasol

分類
Corticosteroids / 副腎皮質ステロイド
商品名(日本)
デルモベート
商品名(EU)
TemovateDermovateClobexOlux
科目
Clinical Pharmacology
トピック
02: Psoriasis
承認適応
尋常性乾癬扁平苔癬慢性単純性苔癬
禁忌疾患
水痘・帯状疱疹ウイルス感染症癜風
副作用
紅斑そう痒

🧠 全体像:(通常はプロピオン酸として使用)は、の中で最も強力な抗炎症活性を有する最高ランク(日本分類:I群 最も強力/米国分類:Class 1 超強力)の薬である。非常に強い血管収縮作用とを持ち、や、重度の病変など、通常の薬ではしにくい肥厚した難治性皮疹に対して短期間で劇的な鎮静化をもたらす。一方で、やなどの局所副作用や、による副腎機能抑制のリスクが高いため、原則として連続使用は2週間以内にとどめ、改善後は速やかにランクのステロイドやなどの非ステロイド薬へ切り替える「短期集中・」の運用が徹底される。

薬効群の中での位置づけ

日本の薬は臨床効果との力価に基づき5段階に分類される。はその頂点に位置する1。

群(ランク) 臨床的位置づけ 代表的薬剤 主な適用部位・病態
I群:最も強力 最高峰の力価。難治性・角化肥厚病変の急性期導入 プロピオン酸、ジフロラゾン 手掌・足底、頭部、体幹・四肢の厚い乾癬局面、難治性苔癬
II群:非常に強力 重症〜中等症病変の標準薬 ジプロピオン酸エステル、フランカルボン酸エステル 体幹・四肢の一般的な湿疹・皮膚炎、の重症皮疹
III群:強力 中等症病変の汎用薬 吉草酸エステル、吉草酸エステル 体幹・四肢の軽度〜中等度病変
IV群:中等度 の高い部位や小児用 酪酸エステル、吉草酸エステル 顔面、頸部、陰部、小児の体幹
V群:弱い 最もマイルドな力価 、 軽微な皮膚炎、乳幼児の顔面

皮膚のの厚さは部位により異なり、前腕を1とすると、手掌・足底は透過性が極めて低く(約0.8〜0.1倍)、逆に陰嚢(約42倍)や顔面(約6〜13倍)はが著しく高い。そのため、はが厚く薬剤が浸透しにくい四肢・体幹・手足の肥厚局面に対して選択され、の高い顔面や陰部への安易な使用は厳禁である。

機序

はや真皮浸潤リンパ球の細胞質内に存在する(GR)に極めて高い親和性で結合する。

flowchart TD
    A["プロピオン酸<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clobetasol'>クロベタゾール</span>の外用浸透"] --> B["細胞質内受容体(GR)に結合して複合体を形成"]
    B --> C["核内へ移行し転写因子(NF-κB、AP-1)と結合"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammatory cytokine'>炎症性サイトカイン</span>(IL-1、IL-6、IL-8、TNF-α)の転写遮断<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transrepression'>トランスリプレッション</span>)"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-inflammatory'>抗炎症性</span>タンパク質(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='annexin A1'>アネキシンA1</span>)の産生促進<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transactivation'>トランスアクティベーション</span>)"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phospholipase A2 (PLA2)'>ホスホリパーゼA2</span>の阻害によるプロスタグランジン・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leukotriene'>ロイコトリエン</span>産生抑制"]
    D --> G["リンパ球・好中球の浸潤遊走抑制と局所微小血管の強力な収縮"]
    F --> G
    G --> H["乾癬・湿疹局面の紅斑・浮腫・そう痒の劇的な消退"]

の特徴は、極めて強力な血管収縮作用と細胞浸潤抑制作用にあり、表皮細胞のやの遮断によって、肥厚した表皮を急速に平坦化させる1。

薬物動態

  • 皮膚浸透と貯留:外用後、に速やかに浸透して貯留層を形成し、長時間にわたり部で高濃度を維持する。炎症やによりが破綻している病変部では、正常皮膚に比べて率が著明に上昇する。
  • 全身吸収と代謝:(ODT)や広範囲への連用によって経皮的に循環血中へ移行する。血中へ移行したは肝臓で代謝され、一部は未変化体および代謝物として尿中・胆汁中に排泄される。強力な全身ステロイド活性を有するため、少量のでも(HPA)軸抑制を惹起しやすい2。

適応

  1. (体幹・四肢の厚い局面型皮疹)1。
  2. および:
    • 激しいそう痒を伴い、により高度にした難治性病変の鎮静。
  3. :
    • の厚い手掌・足底の皮疹。
  4. 難治性の湿疹・皮膚炎群(他の薬で効果不十分な期)。
  5. :
    • 国際ガイドラインにおいて、成人および小児の解剖学的構造破壊や悪性化を阻止するためのとして確立されている3。

用法・用量

  • 通常、1日1〜2回、適量を患部に塗布する。
  • 使用期間の制限:連続使用は原則として2週間以内(欧米ガイドラインでは最長4週間まで)とし、連用による漫然投与を行わない12。
  • 使用量の上限:成人における1週間あたりの使用量は50g以下に厳格に抑える2。
  • の戦略:急性期の炎症が鎮火した後は、II群やIII群などのランクステロイドへ段階的にするか、などのビタミンD外用薬へ切り替える。週末のみ外用する()もリバウンド防止に有効である。

禁忌・注意

禁忌

使用上の注意

⚠️ 顔面・頸部・陰部への連用禁止:皮膚が薄くの高い部位では、短期間(数日から1〜2週間)の連用でも著しい、、紫斑、が誘発される。

⚠️ (ODT)と全身性副作用:フィルム等で病変を覆うを行うとが数倍から十数倍に跳ね上がる。広範囲の密封は不可逆的な副腎不全やを招くおそれがあるため、極めて限定的な難治局面を除き避ける。

⚠️ 急激な中止によるリバウンド:重症乾癬において超強力ステロイドを急激に中止すると、皮疹の激しいやへの転化を引き起こす危険がある。徐々に塗布回数を減らすか、他系統の薬剤へ計画的に置換する。

副作用

  • 皮膚局所の不可逆的変化:長期連用に伴う(真皮低下)、、、紫斑、。
  • 感染症の誘発・増悪:、ステロイド、、白癬(白癬菌感染が見逃されて悪化する難治性白癬[])。
  • 皮膚炎様反応:・(顔面に外用した場合)、、紅斑、そう痒。
  • 全身性副作用(大量・広範囲外用時):HPA軸機能抑制(下垂体・副腎皮質系機能低下)、、高血糖、、亢進(緑内障、)。

まとめ

  • はの最高峰(I群 最も強力)であり、や難治性皮膚炎の急性期病変に対する切り札である。
  • 強力な抗炎症・血管収縮作用により迅速な寛解導入をもたらすが、局所や全身性のに厳重な警戒を要する。
  • 連続使用は2週間以内、週50g以下を守り、改善後はステロイドやビタミンD誘導体へのを行う。
  • 細菌・真菌・ウイルス感染症には禁忌であり、顔面・陰部への安易な処方を避ける。

出典

  1. 1.Joint AAD-NPF Guidelines of care for the management and treatment of psoriasis with topical therapy and alternative medicine modalities for psoriasis severity measures(Journal of the American Academy of Dermatology(American Academy of Dermatology, National Psoriasis Foundation)・2021)尋常性乾癬の外用療法ガイドライン。超強力外用ステロイド(Class 1:プロピオン酸クロベタゾール等)は肥厚した局面型乾癬に対する極めて強力な第一選択薬である。連続使用期間は通常2〜4週間に制限し、皮膚萎縮や視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸抑制を避けるため、改善後はより弱いステロイドやビタミンD外用薬への切り替え、あるいは週末投与などの間欠的維持療法への移行が推奨されている。閲覧 2026-10-29
  2. 2.CLOBETASOL PROPIONATE ointment — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed(Zydus Pharmaceuticals USA Inc.)・2024)0.05%プロピオン酸クロベタゾール軟膏の添付文書。中等度から重度のコルチコステロイド反応性皮膚疾患の炎症性およびそう痒性症状の緩和を適応とする。使用期間は連続2週間以内、1週間の使用量は最大50gまでと厳格に制限されている。重大な警告・注意として、局所吸収に伴う可逆的なHPA軸抑制、クッシング症候群、高血糖、長期使用による局所皮膚萎縮、毛細血管拡張、二次感染が記載されている。閲覧 2026-10-29
  3. 3.British Association of Dermatologists guidelines for the management of lichen sclerosus, 2018(British Journal of Dermatology(British Association of Dermatologists)・2018)外陰部硬化性苔癬の治療ガイドライン。超強力ステロイドである0.05%プロピオン酸クロベタゾール軟膏が成人および小児の第一選択治療として強く推奨されている。初期治療により自覚症状の速やかな寛解と解剖学的瘢痕化の進行阻止が図られること、寛解導入後はステロイドの連用を中止し保湿剤等による維持へ移行することが記載されている。閲覧 2026-10-29