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Drug Atlas · B22 Antiasthmatic & COPD drugs / 喘息・COPD治療薬

デペモキマブ

depemokimab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤Antiasthmatic & COPD drugs / 喘息・COPD治療薬
商品名(EU)
Exdensur
科目
Pulmonology and Thoracic Surgery
トピック
Bronchial asthma
承認適応
気管支喘息
副作用
関節痛
監視検査値
血中好酸球数
影響検査値
血中好酸球数

🧠 全体像:デペモキマブは、の抗体骨格に手を加えて作られた「の強化版」というのが理解の軸になる。標的はと同じIL-5そのもの(受容体を狙うとは違う)だが、の置換でIL-5へのを約29倍に高め、へのYTE改変()で年2回(6か月ごと)投与という抗IL-5経路で初めてのを実現した。既存の抗IL-5薬が4週ごとの通院を要したのに対し、「は変えずに、とだけを工学的に伸ばす」という発想が最大の特徴である。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 標的 特徴
デペモキマブ IL-5(リガンド) 6か月ごと(年2回) から改変。Fab置換で親和性↑、YTE改変で半減期↑
IL-5(リガンド) 4週ごと デペモキマブの改変元。適応によって用量が変わる
IL-5Rα(受容体) 4〜8週ごと ADCCで好酸球を直接アポトーシスに導く
IL-5(リガンド) 4週ごと(体重換算) 好酸球性重症喘息のみの適応

💡 「6か月ごと」という間隔はではなく、YTE改変というFc工学の直接の結果である。 チキサゲビマブ/シルガビマブ(EVUSHELD)と同じ(M252Y/S254T/T256E)をに導入し、(FcRn)を介したリサイクル経路を強化することで血中滞留時間を延ばしている。同じ工学的手法が抗ウイルス抗体と抗喘息生物学的製剤の両方に使われている点は、全体に共通するデザイン原理として覚えるとよい1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow progenitor cell'>骨髄前駆細胞</span>・気道の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eosinophilic inflammation'>好酸球性炎症</span>"] --> B["IL-5が好酸球の分化・成熟・生存を促進"]
    B --> C["末梢血・気道組織で好酸球が増加"]
    C --> D["気道炎症の増悪"]
    E["デペモキマブ(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mepolizumab'>メポリズマブ</span>由来の改変抗体)"] -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fab region'>Fab領域</span>の親和性増強置換により<br>IL-5に強く結合し中和"| B
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc region'>Fc領域</span>のYTE改変(M252Y/S254T/T256E)"] -.->|"FcRnを介したリサイクルを強化し<br>半減期を延長"| E
    E -.->|"好酸球の分化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='survival signal'>生存シグナル</span>が遮断される"| C

デペモキマブはの抗体骨格を土台に、のFab(抗原結合)領域へ複数のを加えてIL-5への親和性を高め、比で約29倍の増強とクリアランスの約2分の1への低下を得た抗体である1。標的はと同じIL-5そのもので、IL-5が好酸球表面のIL-5受容体に結合するのを妨げる2。のように受容体そのものを叩いてADCCで好酸球を除去するのではなく、あくまで「シグナルを止める」である点はと共通する。

薬物動態

項目 値・特徴
皮下注射(上腕・大腿・腹部〔臍周囲2インチを除く〕)。医療従事者が投与する2
用量・間隔 100mgを6か月に1回(0週・26週の2回投与で試験されている)23
機構 のYTE改変(M252Y/S254T/T256E)によるFcRn結合増強1
構造 (由来、に親和性増強置換)
代謝・排泄 抗体としてを受ける()

⭐ 「6か月ごと」は抗IL-5経路の生物学的製剤として初めてのである。 既存の抗IL-5・抗IL-5Rα薬(・・)はいずれも4〜8週ごとの通院投与を要するのに対し、デペモキマブは年2回の通院で維持できる設計になっている。

適応

のうち、を特徴とする重症喘息の成人および12歳以上の小児へのとして用いる2。承認の根拠となったSWIFT-1・SWIFT-2試験(数が過去12か月で300/µL以上または screening 時150/µL以上、中〜高用量ICSでも増悪歴のある792例が対象)では、52週時点のがSWIFT-1で0.42(95%信頼区間0.30〜0.59、比42%へ低下=約58%減少)、SWIFT-2で0.52(95%信頼区間0.36〜0.73、約48%減少)と、いずれもに対して有意に低かった(P<0.001)3。⚠️ のSt. George’s呼吸器(SGRQ)スコアの変化は両群間で有意差が無く、の規定により肺機能(FEV1)・といった以降のには統計的推論が行われていない3。増悪の頻度は明確に減らすが、症状・や肺機能への効果は本試験だけでは確認されていない、という限界を区別して覚える。

用法・用量

100mgを6か月に1回、上腕・大腿・腹部(臍周囲2インチを除く)へする。医療従事者による投与が想定されている2。

禁忌・注意

  • 添付文書に禁忌の記載は無い2
  • ⚠️ アナフィラキシーを含む過敏症反応が投与後に生じうる。2
  • ・の緩解には使用しない(が無い)2
  • ⚠️ 全身性またはICSを急に中止しない。 減量が必要なら段階的に行う2
  • ⚠️ 投与開始前に既存のを治療しておく。 IL-5を中和すると好酸球による寄生虫排除機構が弱まりうる2

副作用

頻度 内容
高頻度(発現率4%以上) 9%、6%、インフルエンザ5%、関節痛4%、咽頭炎4%2
重篤・まれ アナフィラキシーを含む過敏症反応2

まとめ

  • デペモキマブはの抗体骨格を改変したで、標的はと同じIL-5そのもの(受容体を狙うとは異なる)。
  • の置換でIL-5への親和性を比約29倍に高め、のYTE改変(チキサゲビマブ/シルガビマブと同じ変異)で半減期を延長し、6か月に1回(年2回)という抗IL-5経路で初めてのを実現した1。
  • SWIFT-1・SWIFT-2試験で年換算率を比約48〜58%減少させたが(0.42/0.52、P<0.001)、SGRQスコアには有意差が無く、以降の(FEV1等)には統計的推論を行っていない3。
  • 適応はの重症喘息(成人・12歳以上)への。の治療薬ではなく、投与開始前の治療、過敏症反応・ステロイド急な中止への注意が必要2。

出典

  1. 1.Depemokimab and the twice-yearly regimen: pharmacological implications and therapeutic positioning in severe eosinophilic respiratory diseases(Frontiers in Immunology・2026)Europe PMCの全文(PMC13038953)を取得して確認した。デペモキマブは[[drugs/mepolizumab|メポリズマブ]]と同じくIL-5サイトカインそのものに直接結合してIL-5受容体αサブユニットとの相互作用を防ぐ抗体であり(ベンラリズマブのようにIL-5Rαそのものを標的とはしない)、重鎖Fab領域への置換によりメポリズマブ比で約29倍の効力増強とクレアランスの約2分の1への低下が得られたこと(参照文献14を引用)、Fc領域のYTE改変(M252Y/S254T/T256E置換)によりFcRnとの結合が高まり半減期が延長され、0週・26週の2回投与で6か月間隔の投与が可能になったこと、SWIFT試験(重症喘息)とANCHOR試験(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)のプールデータで年換算喘息増悪率がプラセボ比で約54%減少したことを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.EXDENSUR (depemokimab-ulaa) injection, solution — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed、製造販売元 GSK)・2025)添付文書を取得して確認した。デペモキマブ(デペモキマブ-ulaa)はIL-5拮抗薬で、IL-5がIL-5受容体複合体のαサブユニットに結合するのを阻害することでIL-5の生物活性を阻害する。適応は好酸球表現型を特徴とする重症喘息の成人および12歳以上の小児への上乗せ維持療法。用法・用量は100mgを6か月に1回、上腕・大腿・腹部(臍周囲2インチを除く)に皮下投与し、医療従事者が投与する。禁忌の記載は無い。警告・注意はアナフィラキシーを含む過敏症反応の発現、急性気管支痙攣・喘息重積状態の緩解には使用しないこと、全身性またはICSを急に中止しないこと、投与開始前に既存の蠕虫感染を治療しておくことである。最も多い有害事象(発現率4%以上)は上気道感染9%、アレルギー性鼻炎6%、インフルエンザ5%、関節痛4%、咽頭炎4%である。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Twice-Yearly Depemokimab in Severe Asthma with an Eosinophilic Phenotype(New England Journal of Medicine(Jackson DJ, et al.、SWIFT-1/SWIFT-2試験)・2024)Europe PMCで取得した構造化抄録(Background/Methods/Results/Conclusions)を確認した。血中好酸球数が過去12か月で300/µL以上または screening 時150/µL以上、かつ中〜高用量吸入ステロイド薬を受けても増悪歴のある重症喘息患者792例を2:1でデペモキマブ(100mg皮下投与、0週・26週の計2回)またはプラセボに無作為割付けした2つのレプリケート第3a相試験で、52週時点の年換算増悪率がSWIFT-1でデペモキマブ群0.46・プラセボ群1.11(率比0.42、95%信頼区間0.30〜0.59、P<0.001)、SWIFT-2でデペモキマブ群0.56・プラセボ群1.08(率比0.52、95%信頼区間0.36〜0.73、P<0.001)だったことを確認した。副次評価項目のSt. George’s呼吸器質問票(SGRQ)スコアの変化は両群間で有意差が無く、階層的検定の規定により以降の副次評価項目(FEV1・症状スコア)には統計的推論を行っていない。有害事象の発現割合は両群で同程度だった。閲覧 2026-09-29