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Drug Atlas · A14 General anesthetics / 全身麻酔薬 · 必修

デスフルラン

desflurane

分類
General anesthetics / 全身麻酔薬
商品名(日本)
スープレン
商品名(EU)
Suprane
科目
Pharmacology
トピック
A14: Inhalational anesthetics
原因となる疾患
悪性高熱症

🧠 全体像の中でが最も低くが最速で変化するため導入・覚醒が最も速い。ただしが23.5°Cと室温に近く常圧では沸騰してしまうため、専用の加熱加圧式でなければ使えないという物理的が薬の性格そのものを決めている。が強く咳・を誘発しやすいため、には向かず維持に徹する薬という位置づけになる。

薬効群の中での位置づけ

は化学的に「(-flurane、GABA-A増強)」と「(N₂O・、NMDA拮抗)」に分かれ、同士は(溶解度)で導入・覚醒速度の序列がつく。

薬剤 特徴
0.42(最低) 導入・覚醒が最速が強くには不向き
0.65 が少なく小児のに好適
1.4(最高) 安価・古典的。3剤の中で導入・覚醒が最も遅い
0.47 。MAC>100%で単独では麻酔にならない
0.115(全麻酔薬中最低) 。心血管安定・高価

同じ「・GABA-A増強」グループの中でも、は役割が違う。 が少なく導入から使えるオールラウンダー、は導入には使わず維持だけを受け持ち、高度肥満・長時間手術など「速い覚醒」が特に価値を持つ場面で選ばれる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='desflurane'>デスフルラン</span>が中枢神経系のGABA-A受容体に結合"] --> B["Cl⁻チャネルの開口を増強"]
    B --> C["神経細胞が過分極"]
    C --> D["興奮性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic transmission'>シナプス伝達</span>が全般的に抑制"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='loss of consciousness'>意識消失</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immobilization'>不動化</span>(麻酔状態)"]
    F["骨格筋の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='RyR1'>リアノジン受容体</span>異常を持つ患者"] -.->|"曝露で異常なCa²⁺放出"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malignant hyperthermia'>悪性高熱</span>(骨格筋の過<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metabolic state'>代謝状態</span>)"]

正確な分子標的は単一ではなく、GABA-A受容体増強を主軸に、増強やNMDA受容体・神経性ACh受容体への弱い作用も関与すると考えられている。💡 の治療機序(によるRyR1遮断)はの項で扱う。

薬物動態

項目 値・特徴
0.42(の中で最低)
23.5°C(室温に近く常圧で沸騰する→専用の加熱加圧式が必須
MAC 約6%(40歳・酸素中)
代謝 ほぼ受けない(<0.02%、の中で最も代謝抵抗性)
排泄 ほぼ未変化体のまま
導入・覚醒速度 の中で最速

=血液にほとんど溶け込まない、という性質が「速さ」の正体。 肺胞分圧が動脈血分圧・脳分圧とすぐ平衡するため、の設定を変えればほぼ即座にが追随する。覚醒も同じ理由で速い。

適応

場面 使いどころ
全身麻酔の維持 高度肥満・長時間手術など、速い覚醒が特に価値を持つ場面
全身麻酔の導入 原則使わないが強く咳・・分泌増加を誘発しやすい)

用法・用量

吸入。専用の(加熱加圧式、常圧では気体に近いため通常のは使えない)を用い、とMACを指標に濃度を調整する。導入は他薬(など)で行い、後にへ切り替えて維持するのが一般的。実際の・切り替えのタイミングは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌の既往・家族歴
  • ⚠️ 急速な濃度上昇は交感神経刺激を招く。 濃度を急に上げると頻脈・高血圧を起こしうるため、緩徐に漸増する
  • ⚠️ 乾燥したCO₂吸収剤()との反応でが発生しうる。 長時間ガスが流れ続けて乾燥した吸収剤(週末明けの回路など)は特に注意し、吸収剤の乾燥を避ける運用が推奨される
  • 性のため、(喘息など)の患者でのは避ける

副作用

頻度 内容
高頻度 (咳・分泌増加)、悪心
注意 急速な濃度上昇時の頻脈・高血圧、
重篤・まれ による低酸素血症

まとめ

  • の中でが最も低く、導入・覚醒が最速。
  • が23.5°Cと室温に近いため、専用の加熱加圧式が必須という物理的を持つ。
  • が強くには不向き。維持に徹する薬という位置づけ。
  • 急速な濃度上昇は交感神経刺激(頻脈・高血圧)を招くため緩徐に漸増する。
  • の誘因。既往・家族歴は禁忌で、発症時はで対応する。
  • 高度肥満・長時間手術など「速い覚醒」に価値がある場面で選ばれる。