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Lab values · Published

音響反射

Acoustic reflex

別名
アブミ骨筋反射
臓器系
耳鼻咽喉科
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 04:純音聴力検査・ティンパノメトリーと主観的・客観的聴力検査耳鼻咽喉科 06:客観的聴力検査、ティンパノメトリー、誘発反応聴力検査耳鼻咽喉科 17:耳硬化症の臨床像・診断・治療

🧠 全体像:は、大きな音(通常70〜100 dB SL)にが不随意に収縮し、中耳のが変化するのをと同じプローブで検出する検査である。は(蝸牛・)から(顔面神経・)まで脳幹を経由するため、「どこで消えているか」「どちら側で消えているか」から病変の局在を推定できるのがこの検査の価値であり、単に「反射があるかないか」だけを見る検査ではない。

何を測っているか/検査原理

強大音刺激はを介してへ入り、同側・対側のへ投射したのち、両側のを経て顔面神経運動枝がを収縮させる。この経路が両側性に交差しているため、片耳に音を提示するだけで両側のが収縮し、プローブを入れた耳(音刺激と同じ耳のこともあれば反対耳のこともある)で反射による変化を検出できる。

経路 内容
蝸牛 → →
交差部 → 同側・対側の
→ 両側の → 顔面神経 →

💡 記録の組合せは4パターンある。 音を右耳に出して右プローブで記録する「同側反射」、音を右耳に出して左プローブで記録する「対側反射」というように、刺激耳とプローブ耳の組合せを変えて記録できる。同側・対側のどちらが消失しているかで、経路のどこが障害されているかを絞り込む。

実施法と判定指標

と同じプローブで外耳道を密閉し、周波数の異なる強大音(通常500〜4000 Hz、しばしば70〜100 dB SLから開始)を段階的に呈示しながら、の一過性変化を記録する。反射が検出された最小の刺激レベルを反射閾値とする。

指標 読み方
反射閾値 反射が検出できる最小刺激レベル。周波数別・同側/対側別に記録する
反射パターン 4組合せ(同側右・同側左・対側右・対側左)の有無を整理し、経路上のどこで途切れているかを推定する
対側反射閾値より10 dB高い持続音(通常500または1000 Hz)を10秒間呈示し、振幅が保たれるかに減衰するかをみる1

結果の読み方

⚠️ は同側・対側の両方を通るため、消失パターンから病変を大まかに切り分けられる。

パターン 示唆される病変
片耳をプローブ側にしたときだけが消失し、逆側プローブでは保たれる プローブ側の伝音障害(後述)
特定の耳に音を提示したときだけ両側とも反射が得られない その耳の(の入力不足)
同側は保たれるが対側だけ消失する、またはその逆 交差路(脳幹)または顔面神経の部分的な障害を示唆し、他の所見と併せて評価する
プローブ側の反射だけが左右どちらの刺激でも消失する プローブ側の(への)

⭐ 反射減衰が陽性(振幅が持続刺激中に大きく低下する)であることは、後迷路病変(・)を示唆する所見として使われる。 手術で確認された角腫瘍24例の検討では、の消失または減衰が19/24例(80%)でみられ、正常またはほぼ正常聴力の症例でも高率に陽性所見が得られた2。一方、病変のない健常者では反射減衰は陰性のことが多い(健常高齢者・若年者を対象とした検討では全参加者で陰性であった)1。ただし単独の所見として確定診断には使わず、や画像検査と組み合わせて解釈する。

⚠️ 測定上・判読上の注意

  • 中耳伝音障害があるプローブ側では、反射があっても記録できなくなる。 が正常に収縮していても、プローブ側の鼓膜・耳小骨系が硬く動きにくいと、その収縮による変化自体を検出できない。中耳所見が明らかでない耳を検討したでは、全ての反射が消失していた耳の88%がの病因であり、少なくとも1つ反射が検出された耳の52%は非の病因(第3の窓病変など)であったと報告されている3。この場合、反射の消失は路の異常を意味しないため、プローブ側の中耳機能を必ず先に評価し、伝音障害があるときはその側の反射所見の解釈を無効として扱う。
  • 刺激側のでも反射は得にくい。 への入力自体が不足するため、両側とも反射が消失しうる。
  • 年齢・鎮静・体動でも反射は変化しうる。 新生児・鎮静下では反射閾値が変わりうるため、年齢に応じた基準を用いる。
  • 反射閾値だけでを代替しない。 は補助的な局在情報であり、による・の評価を置き換えない。

次に進むべき検査/使い分け

まとめ

  • は強大音でが収縮し、が変化するのをプローブで検出する検査である。
  • は(蝸牛・)→→(両側交差)→→(顔面神経・)を通り、同側・対側の消失パターンから病変を大まかに局在できる。
  • 反射減衰陽性は後迷路病変を示唆する補助所見だが、単独で確定診断しない。
  • プローブ側の中耳伝音障害があると、路が正常でも反射を記録できなくなるため、結果の解釈は必ずで中耳機能を確認したうえで行う。

出典

  1. 1.Evaluation of Acoustic Reflex and Reflex Decay Tests in Geriatric Group(Turkish Archives of Otorhinolaryngology・2016)反射減衰検査は対側反射閾値より10 dB高い刺激を500または1000 Hzで10秒間呈示して判定する手技であること、聴神経病変のない健常高齢者25名・健常若年者25名の全参加者で反射減衰は陰性であったことを確認した。閲覧 2026-09-01
  2. 2.Acoustic reflex test in neuro-otologic diagnosis. A review of 24 cases of acoustic tumors(Archives of Otolaryngology・1976)摘出手術で確認された184例の橋小脳角腫瘍から選んだ24例の後方視的検討で、音響反射検査(反射の消失または減衰)が19/24例(80%)で後迷路病変を示唆する所見を示したこと、正常またはほぼ正常聴力の12例中11例、X線陰性の8例中7例でも陽性所見が得られたことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-01
  3. 3.Acoustic Reflex Screening of Conductive Hearing Loss for Third Window Disorders(Otolaryngology–Head and Neck Surgery・2016)中耳所見が明らかでない伝音難聴耳212耳の後方視的検討で、音響反射が全て消失していた耳の88%が耳小骨性の病因であったのに対し、少なくとも1つ反射が検出された耳の52%は非耳小骨性(第3の窓病変など)の病因であったことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-01