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Lab values · Published

ティンパノメトリー

Tympanometry

臓器系
耳鼻咽喉科
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 04:純音聴力検査・ティンパノメトリーと主観的・客観的聴力検査耳鼻咽喉科 06:客観的聴力検査、ティンパノメトリー、誘発反応聴力検査
関連疾患
急性中耳炎・慢性中耳炎(滲出性中耳炎を含む)鼓室硬化症鼓膜穿孔耳硬化症耳小骨連鎖の離断と固着

🧠 全体像:は、外耳道を密閉して圧を変えながらへの中耳の応答を測り、鼓膜・耳小骨系がどの圧で、どれだけ動くかを調べる検査である。を測る検査ではないため、正常でも感音難聴は否定できない。判読の核心は波形の型だけでなく、ピーク圧、、を組み合わせることである。

何を測っているか

プローブで外耳道を密閉し、一定の音を出しながら外耳道圧を陽圧から陰圧へ変化させる。外耳道圧と中耳圧が釣り合うと鼓膜・耳小骨系が最も動きやすくなり、音響が最大になる。その圧と動きやすさを曲線として描いたものがである。

指標 単位の例 主に反映するもの
ティンパノメトリックピーク圧 daPa 中耳圧の近似。ピークが陰圧側なら耳管換気不良を示唆する
ピーク補正静的 mmho、mL 鼓膜・耳小骨系の動きやすさ。低いと硬い、高いと過可動を示唆する
幅 daPa ピークの広がり。などで広くなりうる
等価 mL プローブ先端から鼓膜までの容積。平坦型の原因判別に重要

⚠️ をmLで表しても、解剖学的な液体容積そのものを測っているわけではない。 226 Hzので得た等価量であり、年齢、機器、プローブ周波数、とセットで解釈する。

実施法

最初にで、外耳道閉塞、、換気の有無を確認する。適切な大きさのイヤーチップで気密を作り、検査中は嚥下・発声・体動を避ける。成人と年長児では通常226 Hzのを使うが、乳児の外耳・中耳は物理特性が異なるためを用いる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Otoscope'>耳鏡</span>で外耳道・鼓膜を確認"] --> B["プローブを密閉して圧掃引"]
    B --> C{"明瞭なピークがあるか"}
    C -->|"ある"| D["ピーク圧と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='admittance'>アドミタンス</span>を評価"]
    D --> E["A・As・Ad・C型の特徴を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clinical signs'>臨床所見</span>と統合"]
    C -->|"ない・平坦"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ear-canal volume'>外耳道容積</span>を確認"]
    F --> G["正常域なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Middle-ear effusion'>中耳貯留液</span>を疑う"]
    F --> H["大きければ穿孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='patent tube'>開存チューブ</span>を疑う"]
    F --> I["小さければ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='probe occlusion'>プローブ閉塞</span>・外耳道壁への接触を疑う"]

結果の読み方

Jerger分類は波形を整理する入口であり、疾患名そのものではない。

型 波形 主な解釈 次に確認すること
A 0 daPa付近に適度なピーク 中耳圧・可動性がおおむね正常 感音難聴は否定しないため、は別に行う
As ピークはあるが浅い 伝音系が硬い 、、肥厚した鼓膜など
Ad 非常に高いピーク、測定範囲外になることもある 伝音系が過可動 異常、弛緩した鼓膜など
B 明瞭なピークが無い平坦型 原因はで分ける 正常域なら、大きければ・、小さければ
C 陰圧側にピーク 陰性中耳圧 を示唆するが、単独でを確定しない

💡 B型は必ずと一緒に読む。 同じ平坦な曲線でも、鼓膜が動かない、音が中耳・乳突腔まで抜ける、プローブ先端がや外耳道壁で塞がった測定不良では意味が全く異なる。

小児での読み方

乳児では226 Hz法がを見逃し、液があってもピークのある波形を示すことがある。12か月以下の乳児を所見と比較した研究では、1000 Hz法の感度は97〜98%で、226 Hz法の43〜61%より高かった1。年齢に適したプローブ周波数と基準を用い、施設の小児プロトコルに従う。

広帯域音響イミタンスは単一周波数でなく広い周波数帯の吸収・反射を測り、乳児の伝音機能異常を拾う補助になりうる。新生児と乳児を用いた予測モデルでも良好な識別能が示されたが2、装置・年齢別基準と他検査を含むクロスチェックが必要である。

⚠️ 測定上・判読上の注意

  • 聴力検査ではない。 A型でも蝸牛・・中枢の障害はありうる。逆にB型は中耳機能異常を示唆しても、の程度を定量しない。
  • を置き換えない。 小児のはが基本で、診断が不確実なときにを追加する3。
  • 密閉不良とを除外する。 泣く、話す、嚥下する、動く、イヤーチップが合わない、や外耳道壁へ接触することで波形が崩れる。
  • 型Cは非特異的である。 陰性中耳圧を示すが、症状の無い一過性変化もあり、単独でや中耳炎と断定しない。
  • As・Adも病因を確定しない。 、の、必要に応じ画像で構造病変を確認する。
  • では安全と必要性を考える。 強い、、、術後早期などでは無理に密閉・加圧せず、で実施可否を判断する。

次に進むべき検査/使い分け

  • の型と程度を知りたい:で・とを測る。乳幼児では発達段階に合うまたは検査を使う。
  • B型でが疑わしい:と統合し、経過とを評価する。小児では3か月以上持続する場合、または発達上のでは期間を問わず年齢に適した聴力検査を行う3。
  • は正常だが難聴が疑わしい:、、またはへ進み、蝸牛・側を評価する。
  • 耳小骨・が疑わしい:、、を組み合わせ、必要に応じで形態を確認する。

まとめ

  • は外耳道圧を変え、中耳のピーク圧・・を測る検査で、そのものは測らない。
  • A・As・Ad・B・C型は波形分類であり、疾患名ではない。B型は、C型はと症状を併読する。
  • 乳児では法がを見逃しうるため、年齢に適した法または広帯域法を用いる。
  • 、、と組み合わせ、中耳から中枢までを段階的に評価する。

出典

  1. 1.A Comparison of 226- and 1000-Hz Probe Tone Tympanometry With Myringotomy Findings in Infants(American Journal of Audiology・2024)12か月以下の乳児217耳で鼓膜切開所見と比較した研究において、中耳貯留液に対する1000 Hzティンパノメトリーの感度は97〜98%、特異度は71〜84%で、226 Hz法の感度43〜61%、特異度81〜97%より乳児で有用だったことを確認した。閲覧 2026-08-30
  2. 2.Diagnosing Conductive Dysfunction in Infants Using Wideband Acoustic Immittance: Validation and Development of Predictive Models(Journal of Speech, Language, and Hearing Research・2019)新生児124例と6・12・18か月の乳児357例を対象とした研究で、広帯域音響イミタンスを用いた中耳機能異常の予測モデルが別標本でも良好な識別能と較正を示し、乳児の伝音機能評価を補助しうることを確認した。閲覧 2026-08-30
  3. 3.Clinical Practice Guideline: Otitis Media with Effusion (Update)(American Academy of Otolaryngology—Head and Neck Surgery Foundation・2016)小児の滲出性中耳炎は気密耳鏡で確認し、耳鏡で診断が不確実な場合にティンパノメトリーを追加すること、3か月以上持続する場合または発達上の高リスク児では期間を問わず年齢に適した聴力検査を行うことを確認した。閲覧 2026-08-30