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Disease Atlas · 耳鼻咽喉科 · 疾患

鼓膜穿孔

Tympanic membrane perforation

別名
鼓膜損傷eardrum perforationruptured eardrumperforated tympanic membrane
臓器系
耳鼻咽喉科感染症
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 18:外耳・中耳・内耳の外傷耳鼻咽喉科 16:鼓室形成術の意義と種類耳鼻咽喉科 12:慢性中耳炎の種類
治療薬
シプロフロキサシンオフロキサシン
症状
耳漏伝音難聴耳鳴耳痛
検査値
鼓膜インピーダンス検査

🧠 全体像:は「」と「炎症性」というの違いがそのまま管理方針を決める病態である。(平手打ち・・・)は多くがするため基本は経過観察、炎症性(の自壊、)は感染制御が先で穿孔閉鎖は二の次になる。⚠️ 両者に共通する実務上の要点は1つ——があるとき、または穿孔が既知・疑いのときは、をアミノグリコシド系ではなく(非耳毒性)で選ぶことである。水を入れない指導と、しない穿孔へのがもう一方の柱になる。

成因

分類 代表的な原因 特徴
平手打ちなどの、()、などによる直接損傷、水上活動での 突然発症。多くはする1
炎症性(急性) の自壊(中耳圧の変化による) 排膿とともに症状が軽快することが多い1
炎症性(慢性) 、中耳炎の反復 穿孔が持続し、しにくい

💡 ()でも・を来すが、これはのなかでも骨折を伴う特殊型であり、顔面神経・内耳所見の評価が別途必要になる。

臨床像

  • 突然の()または排膿とともに軽快する(の自壊)に続き、・が出現する。
  • 穿孔を通じて中耳が外界と交通するため、を伴いやすい。のはそれ自体が鼓膜に交通があることを示す所見である。
  • やごく小さい穿孔ではめまいを伴うことがあり、内耳障害を示唆する所見(高度感音難聴、めまい)があればなど内耳合併症を検索する。

診断

で穿孔の位置(中心性か辺縁性か)・大きさ・辺縁の状態を確認する。辺縁性(輪部)穿孔はよりしにくく、形成のリスクも高いため注意して経過を追う1。()は穿孔があると外耳道の容積が異常に大きく測定され、多くは平坦(B型に類似した)波形を示す。

flowchart TD
    A["急性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otalgia'>耳痛</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otorrhea'>耳漏</span>+難聴"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Otoscopy'>耳鏡検査</span>で鼓膜を観察"]
    B --> C{"穿孔の性状"}
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='traumatic'>外傷性</span>・中心性"| D["4〜6週間の経過観察<br>水を入れない指導"]
    C -->|"辺縁性・大きい・全穿孔"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spontaneous closure'>自然閉鎖</span>しにくい<br>早期にフォローを密にする"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otorrhea'>耳漏</span>を伴う"| F["非耳毒性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otic drops'>点耳薬</span>を選択"]
    D --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spontaneous closure'>自然閉鎖</span>したか"}
    E --> G
    F --> G
    G -->|"はい"| H["治療終了"]
    G -->|"いいえ(持続・症状継続)"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tympanoplasty'>鼓室形成術</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myringoplasty'>鼓膜形成術</span>を検討"]

経過と自然閉鎖

⭐ の約80%はする。 を検討する前に、4〜6週間の経過観察期間を置くのが基本である1。する例の多くはである。一方、大きい穿孔・全穿孔、辺縁性(輪部)穿孔、既存の、損傷、や早期の形成があるとしにくい1。の自壊による穿孔も、感染が制御されれば多くはする。

治療

⚠️ があるとき、または穿孔が既知・疑いのときは、をアミノグリコシド系ではなく(・など非耳毒性の製剤)で選ぶ。 がありが開放されている状態では、アミノグリコシド・アルコールなど耳毒性のある薬剤を用いない。米国でが中耳への使用を承認しているのはキノロン系のみである2。

対応 内容
水を入れない指導 病原体に汚染された水(プール・入浴時の耳へのなど)への曝露を避ける厳格な耳の乾燥指導を行う1
経過観察 4〜6週間はを急がない1
を伴う場合、非耳毒性のを用いる2。は通常不要1
・ しない持続性・大きい穿孔が適応。成功率は術式により異なり、では96%まで報告される(3 mm未満の小穿孔に対するは67%)1

⚠️ は合併のないには通常不要である。全身性抗菌薬を要するのは、蜂窩織炎・発熱など局所を超えた感染徴候を伴う例に限られる。

まとめ

  • は(平手打ち・・・)と炎症性(の自壊、)に大別され、が管理方針を決める。
  • ⭐ の約80%はし、の前に4〜6週間の経過観察を置く。大きい・辺縁性の穿孔、、損傷、・形成はを妨げる。
  • ⚠️ があるとき・穿孔が既知/疑いのときは、非耳毒性のを選び、アミノグリコシド系は避ける。
  • 水を入れない指導がの柱で、は合併のない例には通常不要である。
  • しない持続性・大きい穿孔には・が適応となる。

出典

  1. 1.Tympanic Membrane Perforation(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)鼓膜穿孔の原因が外傷性(鈍的外傷、水上活動での転落、気圧外傷、器具による直接損傷、綿棒操作を含む耳垢除去時の外傷など)と感染・炎症性(急性・慢性中耳炎、慢性化膿性中耳炎、外耳炎)に大別されること、鼓膜穿孔の約80%が自然閉鎖し外科的修復を検討する前に4〜6週間の経過観察期間を置くべきであること、大きい穿孔・全穿孔、辺縁性(輪部)穿孔、既存の鼓室硬化症、ツチ骨損傷、慢性化膿性中耳炎や早期の真珠腫形成が自然閉鎖を妨げる因子であること、患者には病原体に汚染された水への曝露を避ける厳格な耳の乾燥指導を行うべきであること、経口抗菌薬は通常不要であること、自然閉鎖が得られない持続性・大きい穿孔に鼓室形成術の適応があり手技により67〜96%の成功率が報告されていることを確認した。閲覧 2026-09-01
  2. 2.Clinical Practice Guideline: Acute Otitis Externa(American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery Foundation (AAO-HNSF)・2014)推奨文7が、鼓膜穿孔(鼓膜換気チューブを含む)が既知または疑われる場合には非耳毒性の局所製剤を処方することを求めていること、その支持本文が「鼓膜が穿孔し中耳腔が開放されている場合にはアミノグリコシドやアルコールなど耳毒性のある薬剤を用いるべきでない」と述べていること、および「FDAが中耳への使用を承認している唯一の局所抗菌薬はキノロン系点耳薬である(2005年12月時点)」としていることを確認した。閲覧 2026-09-01