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Symptoms · Published

耳漏

Otorrhea

別名
耳だれ耳漏出
臓器系
耳鼻咽喉科感染症
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 09:耳介・外耳道の疾患耳鼻咽喉科 12:慢性中耳炎の種類耳鼻咽喉科 13:急性・慢性化膿性中耳炎の合併症耳鼻咽喉科 18:外耳・中耳・内耳の外傷
関連疾患
ベゾルド膿瘍ランゲルハンス細胞組織球症悪性外耳道炎外耳炎急性中耳炎・慢性中耳炎(滲出性中耳炎を含む)鼓膜穿孔髄液漏頭蓋底骨折

🧠 全体像:は「耳から液体が出る」という一つの訴えだが、性状で切るとの階層がそのまま分かれる。漿液性なら外耳道の皮膚、なら中耳(=鼓膜に穴がある)、血性なら外傷・・腫瘍、そして水様透明なら頭蓋内との交通を疑う。⚠️ この主題で落としてはならないのは、頻度の高いではなく、(・術後)とという、耳の外へ問題が出ている2つである。「痛みの強さ」や「量」ではなく、性状・持続・宿主背景の3点で危険を拾う。

定義と用語の整理

は外耳道から流出する液体の総称で、の湿潤・外耳道の湿疹による滲出から、髄液の漏出までを1語で覆ってしまう。したがって最初の作業は、患者の「耳だれ」を性状のへ翻訳することである。

性状 どこから来ているか 代表的な病態
漿液性・漿液膿性 外耳道の皮膚 、湿疹・
中耳(粘液を出す粘膜は中耳にしかない) 、を伴う、例
悪臭を伴う持続性・反復性 中耳・乳突の
血性 ・腫瘍・外傷 外耳道・中耳の、腫瘍、
水様透明

💡 「」という一語が階層を決める。 粘液を分泌する腺は外耳道になく中耳粘膜にあるため、のは鼓膜に交通があることをほぼ意味する。だけではにならない。

⭐ の随伴所見は・・で、これらはの階層を絞る補助になる。では発熱と強いは通常なく、あればか合併症を疑う。

⚠️ 見逃してはいけない疾患

危険度の順に並べる。頻度でいえば・中耳炎が圧倒的だが、拾い損ねて困るのは以下である。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otorrhea'>耳漏</span>"] --> B{"水様透明か。<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='head injury (head trauma)'>頭部外傷</span>・耳科手術の既往があるか"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CSF otorrhea'>髄液耳漏</span>を疑う:<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-2 transferrin'>β2トランスフェリン</span>で確認"]
    B -->|"いいえ"| D{"宿主背景と経過"}
    D -->|"糖尿病・高齢・免疫不全+<br>治療抵抗性の夜間<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otalgia'>耳痛</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granulation'>肉芽</span>"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='necrotizing otitis externa'>壊死性外耳炎</span>を疑う:<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic antibiotics'>全身抗菌薬</span>へ"]
    D -->|"それ以外"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Otoscope'>耳鏡</span>・顕微鏡で鼓膜を見る"]
    F --> G{"鼓膜は保たれているか"}
    G -->|"保たれている"| H["外耳道の疾患:<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tragal tenderness'>耳珠圧痛</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='auricular traction'>耳介牽引</span>痛を確認"]
    G -->|"穿孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retraction pocket'>陥凹ポケット</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='white keratin'>白色ケラチン</span>塊がある"| I["中耳の疾患"]
    I --> J{"悪臭・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='marginal perforation'>辺縁性穿孔</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='epitympanum'>上鼓室</span>の痂皮があるか"}
    J -->|"はい"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholesteatoma'>真珠腫</span>を疑う:<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='temporal bone CT'>側頭骨CT</span>、必要に応じ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diffusion-weighted MRI'>拡散強調MRI</span>"]
    J -->|"いいえ"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic suppurative otitis media'>慢性化膿性中耳炎</span>として<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='aural toilet'>耳内清掃</span>と局所治療"]
    H --> M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otitis externa'>外耳炎</span>として局所治療。<br>反応しなければ再評価"]

⭐ →→性状の確認、の順を崩さない。 の診断は、3週間以内の48時間程度での急速発症、外耳道の炎症症状(・掻痒・)、そして・耳介の圧痛またはびまん性の外耳道浮腫・発赤という3点で行う3。⚠️ ガイドラインはを、・・外耳道の炎症を来す他の原因と区別することを最初の推奨に置いており、、、、、例の、湿疹・・乾癬、を鑑別に挙げている3。

💡 水様透明のを確定させる検査は決まっている。 は髄液に特異的で感度・特異度がきわめて高い1。⚠️ とで代用しない——はにより偽陽性・偽陰性が多く、進行した髄膜炎では偽陰性に、血性の分泌では偽陽性になる1。

対症療法の考え方

そのものを止める治療はなく、「乾かす」と「原因を断つ」の2本立てになる。

状況 対応
と。⚠️ 合併のない例に全身性抗菌薬を初期治療として用いない3
感染時のとで乾燥を保つ。感染制御後にで穿孔を閉じる
保存的に止まらない。手術で病変を摘出する
局所治療では足りない。緑膿菌を標的とした全身性抗菌薬を長期に行い、を併走させる2
例の60〜70%は大きな骨・がなければする。少なくとも3日の臨床経過観察で追加介入の要否を判断する1

⚠️ またはが既知・疑いの例では、耳毒性のある局所製剤を使わない。 非耳毒性の製剤(・などの)を選ぶ3。のはそれ自体が「鼓膜に交通がある」証拠なので、この判断はの性状の段階で始まっている。

まとめ

  • は性状で切る。漿液性は外耳道、は中耳(=鼓膜に交通あり)、悪臭を伴う持続性は、血性は外傷・・腫瘍、水様透明はを指す。
  • ⚠️ は頭蓋内との交通であり、遷延例の19%に髄膜炎が生じる。確定はで行い、やで代用しない。鼓膜が保たれていれば耳管経由でとして出ることも忘れない。
  • ⚠️ 糖尿病・高齢・免疫不全に治療抵抗性の夜間と持続する、外耳道の・移行部のが加わればを疑い、全身性抗菌薬と画像評価へ進む。
  • の治療はとで、合併のない例に全身性抗菌薬を初期治療として用いない。
  • ⚠️ ・があれば非耳毒性の局所製剤を選ぶ。という性状自体がその判断の入口になる。

出典

  1. 1.Traumatic Cerebrospinal Fluid Leak: Diagnosis and Management(Korean Journal of Neurotrauma・2017)錐体骨から中耳へ及ぶ骨折では鼓膜が破れていれば髄液耳漏となり、耳管経由で鼻へ流れれば耳鼻漏として現れうること、ハロー(標的)徴候が濾紙上で血液成分と髄液が二重の輪に分かれる所見であること、ブドウ糖試験紙は併存疾患により偽陽性・偽陰性率が高く進行した髄膜炎で偽陰性・血性の分泌で偽陽性となること、β2トランスフェリンが髄液に特異的で感度・特異度がきわめて高いが眼球破裂で偽陽性となり高価で結果に時間がかかること、鈍的外傷による髄液漏の60〜70%は大きな骨・硬膜欠損がなければ自然閉鎖すること、少なくとも3日の臨床経過観察を行ってから追加介入の要否を判断すること、遷延する髄液漏の19%に髄膜炎が生じ死亡率が10%であることを本文で確認した。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Necrotizing (Malignant) Otitis Externa(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)壊死性外耳炎が外耳道に始まる致死的となりうる感染で主要な起因菌が緑膿菌であること、糖尿病が最大の危険因子で60歳以上に多く免疫抑制状態も危険因子であること、通常の局所抗微生物薬に反応しない持続する耳漏と夜間に強い耳痛が特徴であること、外耳道の骨部・軟骨部移行部の肉芽組織が緑膿菌性壊死性外耳炎に特徴的(pathognomonic)とされること、顔面神経麻痺が21%の症例で報告されていること、CTが骨びらんの検出に、MRIが軟部組織浸潤と頭蓋内合併症の評価に用いられ、Ga-67シンチグラフィが治療効果判定に使われること、全身性抗菌薬が治療の基本でフルオロキノロンを中心とし耐性例にはセフタジジム・アズトレオナムを用いることを、Introduction節・Etiology節・History and Physical節・Evaluation節・Treatment/Management節で確認した。閲覧 2026-08-20
  3. 3.Clinical Practice Guideline: Acute Otitis Externa(American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery Foundation (AAO-HNSF)・2014)推奨文1が「びまん性急性外耳炎を、耳痛・耳漏・外耳道の炎症を来す他の原因と区別すること」を求めており、鑑別に挙げるべき病態として毛包炎(限局性外耳道炎)・耳性帯状疱疹(Ramsay Hunt症候群)・顎関節症・真珠腫・鼓膜換気チューブ留置例の急性中耳炎・湿疹/脂漏性皮膚炎/乾癬などの皮膚疾患・接触皮膚炎が挙げられていること、びまん性急性外耳炎の診断基準が3週間以内の48時間以内の急速発症と外耳道の炎症症状(耳痛・掻痒・耳閉感、難聴や顎の痛みの有無は問わない)と所見(耳珠/耳介の圧痛、またはびまん性の外耳道浮腫・発赤)の3点であること、推奨文4が合併のないびまん性急性外耳道炎に全身性抗菌薬を初期治療として用いないこと、推奨文5が局所製剤を初期治療とすることを求めていること、推奨文7が鼓膜穿孔(鼓膜換気チューブを含む)が既知または疑われる場合に非耳毒性の局所製剤を処方することを求めていることを、SAGE版全文の Statement 1・Table 1・Statement 4・5・7 で確認した。閲覧 2026-08-20