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Lab values · Published

尿流量測定

Uroflowmetry

別名
尿流測定ウロフロメトリー最大尿流量Qmax
臓器系
腎・泌尿器
科目
Urology
トピック
泌尿器科学 U-09:尿失禁と尿流動態検査
関連疾患
前立腺肥大症尿道狭窄尿道口狭窄排尿筋低活動

🧠 全体像IPSSが患者本人の申告する症状の重症度を測るのに対し、時の尿流を実際に記録する排尿機能の評価である——両者は必ずしも一致せず、どちらか一方だけでの全体像を語れない。⚠️ だけでは、低流量の原因がの収縮力低下()かを区別できない——膀胱内圧を同時記録しない限り、両者は同じ低流量パターンとして現れるためで、鑑別にはを要する1。この限界を先に押さえたうえで、は「侵襲的検査に進む前のスクリーニング」として位置づけるとよい。

何を記録しているか

(カテーテルを介さない通常の排尿)時の、単位時間あたりの尿量(mL/秒)を時間軸で記録した曲線である。曲線から次の指標が得られる。

  • :曲線上の最高値
  • :排尿量をで割った値
  • 排尿量
  • :尿流が始まってから終わるまでの時間(途切れがあれば含む)
  • :実際に尿が流れていた時間の合計
  • :排尿開始からQmaxに達するまでの時間

判定に使う値

Qmaxの解釈は排尿量に強く依存する。 排尿量は150 mLを超える条件で行うのが望ましく、150 mL未満の記録はが乏しいため単独では解釈せず、反復測定して判断する2

年齢・性別によるQmaxの目安は次のとおりである。

14〜45歳 46〜65歳
男性 約21 mL/秒 約12 mL/秒
女性 約18 mL/秒 約15 mL/秒

男性は加齢とともにQmaxが低下する一方、女性の低下は緩やかで、高齢層では女性が男性より高値を示すことがある1

男性におけるQmaxのの目安は次のとおりである2

  • を10 mL/秒に置いたとき:感度47%・特異度70%・70%
  • を15 mL/秒に置いたとき:感度82%・特異度38%・67%

低いほど特異度が高く感度が低い。2つのの間に挟まる値は判断が割れやすいが、EAUはこの帯を独立した判定区分として定義していない。

⚠️ Qmaxが15 mL/秒を超えても、生理的な代償機転(強い収縮など)が働くためを完全には除外できない2

曲線パターンの読み方

曲線の形状は次の4型に大別される3

パターン 形状 示唆する病態
ベル型(正常) 滑らかなアーチ状で、高振幅に達する 正常な排尿
低平・延長型 平坦で非対称、終末部がゆるやかに低下する など)、または加齢に伴う——曲線の形だけでは両者を区別できない
型(箱型) 低い流量がほぼ一定に持続する平坦な台形 などので典型的。ただし曲線の形だけで原因は決まらない
間欠・ 複数のピークを持ち、変動の大きい波形 や間欠的な括約筋活動の混入
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maximum urinary flow rate'>最大尿流量</span>が低い"] --> B{"排尿量は150 mL以上か"}
    B -->|"いいえ"| C["単独では解釈しない<br>排尿量を確保して反復測定"]
    B -->|"はい"| D{"曲線パターンは"}
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plateau'>プラトー</span>型"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stricture'>尿道狭窄</span>を疑う"]
    D -->|"低平・延長型"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='compressive obstruction'>圧迫性閉塞</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='detrusor weakening'>排尿筋脆弱化</span>か<br>曲線だけでは区別不能"]
    D -->|"間欠・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serrated'>鋸歯状</span>型"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Valsalva voiding'>腹圧排尿</span>の混入を疑う"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pressure-flow study'>圧尿流検査</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='bladder outlet obstruction (BOO)'>膀胱出口閉塞</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='detrusor underactivity'>排尿筋低活動</span>を鑑別"]

では、尿流量とを同時に測定して組み合わせで評価する——・低圧なら正常、低流量・高圧なら閉塞、低流量・低圧なら・高圧ならと分類する。の結果だけでは、この4分類のどこに位置するかまで決められない。

尿流量の低下は、患者が訴えるといったな裏付けになりうるが、症状の強さと数値の低下幅は必ずしも比例しない。

⚠️ 測定上の注意

  • 単回測定の再現性は低い。 は神経性・に変動しやすく、同一個人でも測定ごとに値がばらつく。2回以上の反復測定が推奨される2
  • 排尿量不足(目安150 mL未満)の記録は単独では解釈せず、反復測定する。
  • が混入すると、収縮とは別の機序で流量が変化し、曲線が歪む。
  • 検査室内という慣れない環境での緊張により排尿できない、いわゆるは測定自体を妨げる。
  • カテーテル直後の測定は、尿道の一時的な浮腫・攣縮の影響を受けるため避ける。
  • 測定と組み合わせて初めて解釈できる。 低流量に高を伴えば閉塞や機能低下を、低流量でもがほぼ無ければなど別の要因を疑う3

経時変化とモニタリング

・5-ARIなどの薬物療法や、に対するなどの手術療法の前後で、Qmaxの変化を効果判定に用いる。⚠️ ただし症状スコアの改善とQmaxの改善は必ずしも並行しない——症状が軽快してもな尿流の改善が乏しい例、逆にQmaxが改善しても症状の変化に乏しい例のいずれも起こりうる。IPSSは、互いに補完しあう別々の指標として扱う。

まとめ

  • 時の尿流を記録するで、IPSSが測る症状重症度とは別物である。
  • 得られる指標はQmax・・排尿量・
  • Qmaxの解釈は排尿量(目安150 mL以上)に強く依存し、年齢・性差がある。
  • 曲線パターンはベル型(正常)・低平延長型(または)・型(を示唆)・間欠型()に分けて読む。
  • 単独ではの収縮力低下を区別できず、鑑別にはを要する。
  • 単回測定は再現性が低いため反復測定・と組み合わせて解釈し、治療前後の比較には有用だが症状スコアの改善とは相関が弱い。

出典

  1. 1.EAU Guidelines on the Management of Non-neurogenic Male LUTS — Diagnostic Evaluation(European Association of Urology (EAU)・2026)尿流量測定の節(4.9 Uroflowmetry)で、信頼できる測定は排尿量150 mL超で行うのが望ましく、150 mL未満のときは反復測定が特に有用とされること、男性におけるQmaxのカットオフとして10 mL/秒(感度47%・特異度70%)と15 mL/秒(感度82%・特異度38%)が示される一方15 mL/秒を超えても生理的代償機転により膀胱出口閉塞を除外できないとされること、個体内変動が大きいため反復測定が有用とされること、初期評価では弱い推奨・侵襲的治療を検討する前は強い推奨とされていることを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Urodynamic Testing and Interpretation(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)正常最大尿流量の目安が年齢・性別で異なること(女性14〜45歳約18 mL/秒・46〜65歳約15 mL/秒、男性14〜45歳約21 mL/秒・46〜65歳約12 mL/秒)、圧測定を伴わない尿流量測定単独では排尿筋収縮不全と膀胱出口閉塞を鑑別できないことをProcedures節・Normal and Critical Findings節で確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.Good Urodynamic Practices: Uroflowmetry, Filling Cystometry, and Pressure-Flow Studies(International Continence Society (ICS)・2002)Uroflowmetryの節で、正常な尿流曲線が滑らかで高振幅なアーチ状(ベル型)であること、狭窄性閉塞(尿道狭窄など)ではプラトー状の曲線になること、圧迫性閉塞(前立腺肥大症など)や加齢に伴う排尿筋の脆弱化では平坦で非対称な曲線となり終末部がゆるやかに低下すること、腹圧排尿や間欠的な括約筋活動では複雑な変動パターンになること、残尿量測定を伴う反復した遊離尿流測定が推奨されることを確認した閲覧 2026-08-04