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Microbe Atlas · ウイルス

Eastern equine encephalitis virus

東部ウマ脳炎ウイルス

分類
トガウイルス / Togaviruses
性状
エンベロープあり Enveloped(+)ssRNA
科目
Medical Microbiology
トピック
3/33: Togaviruses (Alpha- and Rubivirus)3/24: Flaviviruses: tick-borne encephalitis, West Nile and Zika virus
原因となる疾患
ウイルス性脳炎

🧠 全体像は同じの「ウマ脳炎3兄弟」で、属のの構造、を作るとの対比)はのノートに譲る。このノートでは3種に共通する鳥(または馬)-蚊-ヒトのサイクルで、ヒトは必ずという骨格と、その中でが3種の中で最も致死率が高いという位置づけに焦点を絞る。

微生物学的な位置づけ

に共通するssRNA・エンベロープあり・からの蛋白切り出し)はのノートを参照。EEEV・WEEV・VEEVはいずれも鳥または馬を巻き込む動物サイクルに依存する点で、を必須としないを持つと対照的である。

病原性の仕組み

flowchart TD
  A["Culiseta melanura<br>(鳥だけを吸血する蚊)が<br>野鳥の間でウイルスを維持"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bridge vector'>ブリッジベクター</span><br>(鳥・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mammal'>哺乳類</span>の両方を吸血する蚊)"]
  B --> C["馬・ヒトへ伝播<br>(いずれも<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dead-end host'>行き止まり宿主</span>)"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary viremia'>一次ウイルス血症</span>"]
  D --> E["中枢神経系への強い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurotropism'>神経指向性</span>"]
  E --> F["広範な神経<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell necrosis'>細胞壊死</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perivascular cuffing'>血管周囲炎</span>"]
  F --> G["脳炎:発熱・頭痛・意識障害・痙攣"]

⚠️ 馬・ヒトはいずれも「」——体内のウイルス量が低く、蚊を介して次の宿主へ伝播できない。 これはWEE・VEEにも共通する原則で、ヒトからヒトへは伝播しない。患者を隔離しても流行制御にはならず、対策は蚊の防除に尽きる。

EEEはウマ脳炎3種の中で最も予後が悪い。 発症者(脳炎に進展した例)の致死率は約30%に達し、の多くに麻痺・・痙攣などの重い神経が残る——脳炎の中でも際立って重篤な部類に入る。

感染経路と疫学

  • 一次サイクルの媒介蚊は鳥専食性のCuliseta melanura湿地林で繁殖)で、これだけでは通常ヒトに届かない
  • 鳥との両方を吸血するAedes属・Coquillettidia属など)がヒト・馬へ伝播させる
  • 米国東海岸〜メキシコ湾岸の湿地周辺に分布が限られ、蚊が活動する夏〜秋に流行する
  • ヒト感染はまれ(米国で年間数例〜数十例程度)だが、発症すると重症化率が高いという非対称な疫学像を持つ
  • 乳幼児・高齢者で重症化・のリスクが特に高い

起こす疾患

病型 特徴
大部分を占める
全身性感染 発熱・関節痛などのにとどまる
脳炎 感染後3〜10日で発熱・頭痛・意識障害・痙攣。致死率約30%の多くに神経が残る

ウマ脳炎3種の比較

主な分布 米国東海岸・湾岸の湿地 米国・中の灌漑農業地帯 中南米(時に米国南部へ拡大)
動物サイクル 鳥(Culiseta melanura 鳥(Culex tarsalis )/馬(流行株で増幅)
脳炎への進展 比較的高頻度 低頻度(乳児で高め) 低頻度(成人)、やや高め(小児)
致死率(脳炎例) 約30%(3種中最高) 約3〜4% <1%
ヒト-ヒト伝播 なし( なし( なし(ヒトは。流行株では馬が増幅環になる)

臨床的には他のと同様、・MRI・血清学を組み合わせて診断するが、で神経系を標的とする点は科の異なる属のWest Nile virusとも共通し、・季節・曝露歴(湿地帯での屋外活動)が鑑別の手がかりになる。

診断

  • 血清学()が中心——発症時にはウイルス血症がすでにしていることが多く、PCRの感度は限定的
  • :発症早期はを示すことがありと紛らわしいが、その後へ移行する
  • MRI:基底核・視床の病変を示すことがある

治療と予防

  • 特異的な抗ウイルス薬はなく、支持療法(気道・循環管理、痙攣コントロール、頭蓋内圧管理)が中心
  • ヒト用ワクチンは実用化されていない(馬用のは実用化されている)
  • 予防は蚊媒介対策(防蚊網・虫よけ、湿地周辺での曝露回避)のみ

まとめ

  • EEE・WEE・VEEはのアメリカ大陸グループで、鳥(または・馬)と蚊の間を循環するサイクルにヒトが入り込む人獣共通感染症——ヒトはヒトからヒトへは伝播しない
  • EEEはCuliseta melanura(鳥専食性)が一次サイクルを維持し、がヒト・馬へ伝播させる。
  • 3種の中でEEEが最も致死率が高い(脳炎例で約30%)——にも重い神経が残りやすい。
  • 診断は血清学が中心(発症時はウイルス血症がしておりPCRの感度は限定的)。
  • 治療は支持療法のみで、ヒト用ワクチンは実用化されていない。予防は蚊媒介対策に尽きる。