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Microbe Atlas · 細菌

Shigella boydii

ボイド赤痢菌

分類
腸内細菌科 / EnterobacteriaceaeShigella
性状
Gram陰性 (G−)桿菌 Bacilli通性嫌気性 Facultative
科目
Medical Microbiology
トピック
2/12: Shigella genus

🧠 全体像:ボイドは属4菌種の中で最もまれで地理的に限局した種として読む。バングラデシュを中心とする南アジア・東南アジアにほぼ限局し、それ以外の地域では渡航関連感染として現れることが多い。20の血清型を持ち構造的にはフレクスナーに次いで多様だが、研究・臨床報告の蓄積は他の3菌種より薄い。基本的な微生物学的性状・はのページを参照。

微生物学的な特徴

と共通する性状(ヒトの結腸のみを宿主とする、、高い、・H₂S陰性・ウレアーゼ陰性)を持つが、以下の点で区別する。

項目 内容
血清型 20種類——ゾンネ(1種類)より多く、フレクスナー(15超)に次ぐ多様性
産生 産生しない
地理的分布 バングラデシュを中心とする南アジア・東南アジアにほぼ限局——それ以外の地域では稀
疫学的な位置づけ 南アジアのの10%を占め、4菌種の中で3番目に多い1

病原性の仕組み

を介した侵入とアクチンを乗っ取る細胞内運動というはと共通する。は産生せず、菌種固有のに関する研究蓄積は他の3菌種と比べて限られている。詳細はのページを参照。

感染経路と疫学

  • 糞口感染、特にヒト-ヒト接触で伝播する
  • 南アジアのの10%を占め、バングラデシュ・インドをはじめとする南アジア・東南アジアで最も多く分離される1
  • ⚠️ 非流行地では渡航関連感染としてみられることが多い。 オーストラリアの294件(1991〜2019年、全の1.2%)のうち、既知の感染源がある症例の54%は海外(うち56.8%が東南アジア地域、特にインド・インドネシア)での感染だった2
  • 2013年以降オーストラリアでの率に増加傾向がみられるが、の拡大を反映している可能性があり、真の増加とは限らない2

💡 ゲノムでは世界的に5つの主要系統(L1〜L5)が確認されている。 オーストラリアのはいずれの系統にも分布するが、特定の系統(L3)に集中する傾向があり、国際的な伝播の広がりを反映している2。

起こす疾患

赤痢は属が共通して起こす疾患。本菌はを産生しないためほどの重症度・リスクは想定されていない。

診断

と同じ手順で行う——、Salmonella-Shigella(Hektoen)培地での緑色コロニー、での無色コロニー。渡航歴(特に南アジア・東南アジア)の聴取が非流行地での診断の手がかりになる。

治療と予防

まとめ

  • ボイドは属4菌種の中で最もまれで地理的に限局した種——バングラデシュを中心とする南アジア・東南アジアにほぼ限局し、南アジアのの10%を占める。
  • 非流行地(オーストラリア等)では渡航関連感染としてみられることが多く、感染源の過半数が東南アジア(特にインド・インドネシア)だった。
  • 20の血清型を持ち、フレクスナーに次ぐ多様性を示す。は産生しない。
  • ゲノム系統は世界的に5系統(L1〜L5)に分かれ、国際的な伝播が確認されている。
  • MDR株が60%超を占め、耐性・感受性低下も検出されており、感受性結果に基づくが必須。

出典

  1. 1.Burden of Shigella in South Asia: a systematic review and meta-analysis(Journal of Travel Medicine・2023)南アジアの糞便検体中のShigella属菌の内訳がS. flexneri 58%(95%CI 53〜62%)・S. sonnei 19%・S. boydii 10%(95%CI 9〜12%)・S. dysenteriae 9%であることを確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Genomic and epidemiological characteristics of Shigella boydii in Australia, 1991–2022(Pathogens and Global Health・2025)オーストラリアで1991〜2019年に報告されたS. boydii 294件(全赤痢菌届出の1.2%)のうち2013年以降で届出率の増加傾向がみられたこと(診断検査の拡大を反映する可能性がある)、既知の感染源を持つ症例の54%(206例中111例)が海外(うち56.8%が東南アジア地域、特にインド・インドネシア)で感染していたこと、Victoria州の分離株を含む250株のゲノム解析で世界に5つの主要系統(L1〜L5)が確認されたこと、60%超が多剤耐性(MDR)に分類され、シプロフロキサシン耐性が7株・感受性低下が56株で検出され、第3世代セファロスポリン・マクロライド耐性はまれだが検出されたことを確認した。閲覧 2026-09-05