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Microbe Atlas · 真菌

Trichophyton mentagrophytes

毛瘡白癬菌

分類
皮膚糸状菌 / DermatophytesTrichophyton
科目
Medical Microbiology
トピック
4/5: Mycoses of the skin and its adnexes: dermatophytoses
原因となる疾患
皮膚糸状菌症(白癬)
作用する薬剤
イソコナゾールクロトリマゾールテルビナフィン

🧠 全体像Trichophyton mentagrophytesの中で(げっ歯類・ウサギなどが)の代表種であり、同属でTrichophyton rubrumと好対照をなす。ゆえにが強く反応し、小水疱や膿疱を伴う激しいを作る——「大人しいT. rubrum、荒々しいT. mentagrophytes」という対比で読むと理解しやすい。

微生物学的な特徴

  • Trichophyton)に属し、皮膚・毛髪・爪すべてを侵しうる(3属の守備範囲のTrichophyton rubrumのノートを参照)
  • 主なげっ歯類(マウス・)・ウサギ・ウマなどで、ペットやとの接触でヒトに伝播する
  • 培養:粉状〜の白色〜色コロニー。と、ブドウの房状にする多数の球形が同定の手がかりになる
  • 近年の分子により、旧来ひとまとめにされてきた“T. mentagrophytes complex“のうち、ヒト-ヒト伝播が主体でから高頻度に分離される株群はT. interdigitaleとして分離する再分類が進んでいる。本ノートではT. mentagrophytesとして扱う
  • ⚠️ 同じ複合種群からは、インド亜大陸に由来し世界的に拡大している耐性のTrichophyton indotineae(旧分類でT. mentagrophytes ITS genotype VIIIと呼ばれた系統)も分離される。股部・体部・顔面に強い炎症・を伴う難治性病変を作り、通常の培養だけでは他のTrichophyton種と区別できないため分子同定・が必要になる1

病原性の仕組み

に定着するは他のと共通するが(詳細はTrichophyton rubrumを参照)、ゆえにの認識が強く、感染早期から著明な炎症反応を伴う点がT. rubrumと対照的である。

  • ではにとどまらず、小水疱・膿疱を伴う炎症性の病型(を作りやすい
  • 動物飼育者・獣では顎鬚部への感染()が毛包性の丘疹・膿疱・結節として現れ、時に(疼痛性の膿瘍状局面、を残しうる)に進展する

感染経路と疫学

  • (げっ歯類・ウサギ・・ウマなど)との直接接触が主な感染経路で、飼育小屋・ペットショップ・畜舎の環境も感染源になる
  • 農業従事者・獣・畜産関係者・ペットショップ従業員でのリスクが高い
  • ヒト-ヒト間の伝播も起こりうるが、からの伝播が本菌の疫学の中心

起こす疾患

病型 特徴
足底・側縁の小水疱・膿疱を伴うのみのより急性の経過
しばしば強い炎症を伴う様の化膿性病変に至ることがある
顎鬚部の毛包性丘疹・膿疱。動物飼育者・農業従事者に多い

詳細な病型分類は(白癬)を参照。

診断

  • ・毛髪外側のを確認する
  • 蛍光陰性(緑色蛍光を示すのはMicrosporum canisなどの一部に限られる)
  • 培養で・ブドウの房状のを確認し、菌種を同定する

治療と予防

まとめ

  • T. mentagrophytes代表種で、げっ歯類・ウサギ・ウマなどが
  • T. rubrumと対照的に、が強く反応し小水疱・膿疱を伴うを作りやすい。
  • 培養ではとブドウの房状が特徴。は蛍光陰性。
  • 動物飼育者・農業従事者・獣でのが主な感染経路。
  • 強い炎症があってもステロイド配合外用薬を先行させず、抗真菌薬による治療を優先する。

出典

  1. 1.Terbinafine Resistance in Trichophyton rubrum and Trichophyton indotineae: A Literature Review(Antibiotics (MDPI)・2025)Trichophyton indotineae(旧T. mentagrophytes ITS genotype VIII)はインド亜大陸で出現しヨーロッパ・アジア・南北アメリカ・オーストラリア・アフリカへ拡大しており、スクアレンエポキシダーゼ遺伝子変異によりテルビナフィンに高頻度に耐性化する。股部・体部・顔面に強い炎症性病変を作り、通常の培養だけでは他のTrichophyton種と区別できず分子検査・薬剤感受性試験が必要である。閲覧 2026-08-04