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複合自律神経重症度スコア

Composite Autonomic Severity Score

別名
CASS
臓器系
神経
科目
Pathophysiology
トピック
病態生理学 P-1-25:糖尿病性自律神経障害の検査;Ewingテスト
構成:検査値
QSART
適用疾患
糖尿病性自律神経障害

🧠 全体像は、を1つの検査だけで語らず、・心臓迷走神経・アドレナリン作動性という異なる3系統のを別々に採点してから足し合わせるスコアである。個々の検査(QSART、深呼吸時、Valsalva比、起立試験など)はそれぞれの一部しか見ていないため、単独の異常値だけでは重症度を語れない。は3領域のサブスコアを0〜10点に統合することで、「どの系統がどの程度障害されているか」と「全体としてどれくらい重症か」を同時に示す。

目的と適用場面

内容
目的 系のの重症度をから統合評価する
対象 パーキンソン病糖尿病症候群などが疑われる、または既知の患者
使う場面 自律神経検査室で複数の反射検査を実施した後の重症度統合、経過観察、疾患間の重症度比較(とパーキンソン病の鑑別など)
評価しないもの 消化管・泌尿生殖器の(機器検査の機会が少なく主に・症状評価尺度で評価する)、患者の自律神経症状そのもの

の評価では、消化管・泌尿生殖器症状は主にと症状から評価され、には複数の専用検査がある(病態生理 P-1-25:の検査;)。はこの群と検査を1つのスコアにまとめたものである1

構成要素と配点

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sudomotor activity'>発汗運動</span>サブスコア<br>QSARTベース 0〜3点"] --> D["合計スコア 0〜10点"]
    B["心臓迷走神経サブスコア<br>深呼吸時<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heart rate variability'>心拍変動</span>・Valsalva比 0〜3点"] --> D
    C["アドレナリン作動性サブスコア<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Valsalva maneuver'>Valsalva手技</span>の血圧反応・起立試験 0〜4点"] --> D
    D --> E{"合計点は?"}
    E -->|"0〜3点"| F["軽度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autonomic neuropathy'>自律神経障害</span>"]
    E -->|"4〜6点"| G["中等度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autonomic neuropathy'>自律神経障害</span>"]
    E -->|"7〜10点"| H["重度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autonomic neuropathy'>自律神経障害</span>"]

⭐ 3つのサブスコアはいずれも年齢・性別で正規化した正常値との比較で採点する。同じ検査結果でも年齢・性別が違えば点数が変わりうる1

(0〜3点)

QSARTの発汗量(前腕・下腿近位・下腿遠位・の記録部位)から採点する。

点数 所見
0点 全記録部位で発汗量が正常
1点 1部位が異常だが、の50%以上を保つ
2点 1部位がの50%未満に低下、または2部位以上で低下
3点 2部位以上がの50%未満に低下

2

心臓迷走神経(0〜3点)

深呼吸時の(HRDB:最低・最高心拍数の差)とValsalva比から採点する。

点数 所見
0点 HRDB・Valsalva比とも正常
1点 HRDBが軽度に低下するが最低値の50%を上回る
2点 HRDBが最低値の50%未満に低下、またはHRDBとValsalva比の両方が低下
3点 HRDBとValsalva比の両方が最低値の50%未満に低下

2

アドレナリン作動性(0〜4点)

の第II相・第IV相における拍動ごとの血圧反応と、起立試験(ヘッドアップ傾斜試験)による血圧変化から採点する1。3領域の中で最も配点が大きい。

点数 所見の目安
0点 ・起立試験とも血圧反応が正常
1〜2点 第II相・第IV相の血圧反応が軽度〜中等度に低下するが、起立時の血圧は保たれる
3〜4点 起立試験で有意な血圧低下()を伴う高度の反応低下

合計は+心臓迷走神経+アドレナリン作動性で0〜10点

解釈とカットオフ

合計点 重症度
0〜3点 軽度
4〜6点 中等度
7〜10点 重度

1

💡 原著の検証では、(平均8.5点)と自律神経(平均8.6点)が重度域に、パーキンソン病(平均1.5点)と自律神経症状のない末梢神経障害(平均1.7点)が軽度域に分かれ、症候性自律神経不全群(5点以上)と非症候性群(4点以下)の間に重複がなかった1。この分離の良さが、が重症度のな物差しとして使われる根拠になっている。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 系の自律神経機能しか評価しない。 消化管・泌尿生殖器の(便秘、下痢、など)は含まれず、別途や症状評価尺度で評価する。

⚠️ 正規化は年齢・性別のみ。 糖尿病のや自律神経に影響する薬剤など、他のは補正しない。

⚠️ 4つの反射検査すべてを実施できる施設は自律神経専門の検査室に限られ、QSARTと同様にの制限など)が結果を左右する。

⚠️ 原著の検証は特定の4群(・自律神経・比較的軽症のパーキンソン病・自律神経症状のない末梢神経障害)に基づく。 病期が進んだパーキンソン病など群間の重なりが生じうる患者では、の点数だけで疾患を確定診断・除外しない。QSART単独でもで正常値にとどまる例があり、同じ注意がサブスコアにも当てはまる。

⚠️ 近年はQSARTの代わりにを用いた修正版も報告されている。原法(QSARTベース)と修正版は同一のスケールではなく、比較するときは版を確認する2

まとめ

  • (0〜3点、QSARTベース)・心臓迷走神経(0〜3点、深呼吸時とValsalva比)・アドレナリン作動性(0〜4点、Valsalva血圧反応と起立試験)の3サブスコアを合算し、合計0〜10点での重症度を評価する。
  • 各サブスコアは年齢・性別で正規化した正常値と比較して採点する。
  • 合計0〜3点は軽度、4〜6点は中等度、7〜10点は重度のに対応する。
  • 消化管・泌尿生殖器のは評価対象に含まれない。
  • 検証は特定の4群に基づくため、群間の重なりが生じうる個々の患者ではの点数だけで確定診断・除外しない。

出典

  1. 1.Composite autonomic scoring scale for laboratory quantification of generalized autonomic failure(Mayo Clinic Proceedings(Low PA)・1993)CASSが自律神経反射スクリーン(QSART・起立時の血圧心拍反応・深呼吸時心拍反応・Valsalva比・Valsalva手技第II相第IV相の拍動ごとの血圧測定)から発汗運動・心臓迷走神経・アドレナリン作動性の3領域を採点する10点満点のスケールとして開発されたこと、配点がアドレナリン作動性4点・発汗運動3点・心臓迷走神経3点で年齢・性別により正規化されること、合計3点以下が軽度、4〜6点が中等度、7〜10点が重度の自律神経障害に対応すること、多系統萎縮症(18例、8.5±1.3点)・自律神経ニューロパチー(20例、8.6±1.2点)・パーキンソン病(20例、1.5±1.1点)・自律神経症状のない末梢神経障害(20例、1.7±1.3点)の4群での妥当性検証で、症候性自律神経不全群は5点以上、非症候性群は4点以下と重複なく分離できたことを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Assessing the Feasibility of Using Electrochemical Skin Conductance as a Substitute for the Quantitative Sudomotor Axon Reflex Test in the Composite Autonomic Scoring Scale and Its Correlation with Composite Autonomic Symptom Scale 31 in Parkinson's Disease(Journal of Clinical Medicine(Huang YC, et al.)・2023)CASSの発汗運動サブスコアがQSARTの結果に基づき、1点=単一部位の異常かつ正常下限の50%以上、2点=単一部位が正常下限の50%未満または2部位以上で低下、3点=2部位以上が正常下限の50%未満と採点されること、心臓迷走神経サブスコアが深呼吸時心拍変動(HRDB)とValsalva比に基づき、1点=HRDBが軽度低下(最低値の50%超)、2点=HRDBが最低値の50%未満に低下またはHRDBとValsalva比の両方が低下、3点=両方が最低値の50%未満に低下と採点されること、近年はQSARTの代わりに皮膚コンダクタンス測定(Sudoscan)を用いた修正版CASSも報告されていることを確認した閲覧 2026-08-10