Anesthesiology

Anesthesiology · B-07

周停止期不整脈の診断と治療

Peri-arrest arrhythmias: diagnostics, therapy

前提:病態
心臓電気生理に作用する薬(抗不整脈薬)
前提:正常
心臓における興奮の発生と伝導心電図法とヒトの心電図
疾患
心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)心房粗動

🧠 全体像:周停止期不整脈は心電図名より先に循環が安定かを判断し、ショック・失神・・重症心不全・ROSC直後なら電気治療を優先し、安定例ではQRS幅と規則性で安全な薬物治療へ分岐する。

初期評価

ABCDEで評価し、低酸素時のみ酸素を投与する。心電図、血圧、SpO₂を監視し、を確保する。可能なら治療前後にを記録し、K、Mg、Ca、酸塩基、虚血、薬剤、中毒、体温、循環血液量を修正する。

以下の電気エネルギーと薬剤量は2025年蘇生ガイドラインおよび2026年3月更新の頻脈アルゴリズムに基づく。旧版の薬剤量を混在させない。

生命を脅かす徴候

  1. ショック:低血圧と臓器低灌流
  2. 重い、または持続する低血圧を伴う失神
  3. 肺水腫を伴う重症心不全
  4. 直後

頻脈性不整脈

flowchart TD
    A["異常起源の頻脈・脈あり"] --> B{"生命を脅かす徴候ありか"}
    B -->|"はい"| C["鎮静を考慮し同期<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardioversion'>カルディオバージョン</span>"]
    C --> D{"3回までで不成功か"}
    D -->|"はい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='amiodarone'>アミオダロン</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='procainamide'>プロカインアミド</span>後に再同期"]
    B -->|"いいえ"| F{"QRSは0.12秒未満か"}
    F -->|"はい"| G{"規則的か"}
    G -->|"はい"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vagal stimulation (vagal maneuver)'>迷走神経刺激</span>・アデノシン"]
    G -->|"いいえ"| I["心房細動などを評価"]
    F -->|"いいえ"| J{"規則的か"}
    J -->|"はい"| K["原則VTとして治療"]
    J -->|"いいえ"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polymorphic ventricular tachycardia'>多形性VT</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pre-excitation'>早期興奮</span>性AFを想定"]

では出血、発熱、疼痛、低酸素などの原因を治し、心拍数をや電気ショックで正常化しようとしない。

不安定な頻脈の同期エネルギー

リズム 初回同期エネルギー
心房細動 の最大出力
・発作性 70〜120 J、以後段階的増量
脈のある 120〜150 J、以後段階的増量

意識のある患者には可能な範囲で鎮静・麻酔を行うが、鎮静による循環悪化に備える。は同期が困難なため、不安定ならを行う。

3回までの同期で不成功かつ不安定なら、10〜15 mg/kg(最大1 g)を20分で、または300 mgを10〜20分で静注し、再度同期する。は続いて900 mg/24時を投与できる。

安定した頻脈

QRS・規則性 対応
狭く規則的 後、がなければアデノシン6 mg急速静注、次に12 mg、さらに18 mg
狭く不規則 心房細動・を鑑別し、心機能と発症時刻に応じて心拍数・リズム・抗凝固を選ぶ
広く規則的 原則VTとして同期またはを検討。が疑われる場合のみ慎重にアデノシン
広く不規則 、QT延長性性心房細動を疑い専門治療

QT延長性では硫酸Mg 8 mmolを10分で静注し、K・Mgを補正し、を避ける。反復する場合はまたは一時ペーシングで心拍数を上げることを検討する。性心房細動ではを避け、またはを選ぶ。

徐脈性不整脈

徐脈は一般に心拍数60/分未満だが、緊急治療を要する臨床的徐脈はしばしば50/分未満で、循環障害の有無が重要である。

flowchart TD
    A["徐脈"] --> B{"生命を脅かす徴候ありか"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atropine'>アトロピン</span>500 μg IV"]
    C --> D{"十分な反応か"}
    D -->|"いいえ"| E["3〜5分ごと反復・総量3 mgまで"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transcutaneous pacing'>経皮ペーシング</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vasopressor'>昇圧薬</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='repeated/continuous dosing'>持続投与</span>"]
    F --> G["早期に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transvenous pacing'>経静脈ペーシング</span>"]
    B -->|"いいえ"| H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='asystole'>心静止</span>リスクありか"}
    H -->|"はい"| G
    H -->|"いいえ"| I["監視と原因治療"]

が無効なら、5 μg/分から、またはアドレナリン2〜10 μg/分をし、への橋渡しにする。電気的捕捉だけでなく触知脈・動脈波形による機械的捕捉を確認する。

最近のII型房室ブロック、幅広いQRSを伴う、3秒超の心室停止はリスクが高い。心移植患者、および幅広いQRSを伴うではを避ける。β遮断薬・Ca拮抗薬中毒にはグルカゴンなどを行う。

脈がなくなれば周停止アルゴリズムを中止し、直ちに心停止のALSアルゴリズムへ移る。

まとめ

  • 頻脈・徐脈とも、生命を脅かす徴候があれば薬剤より電気治療を優先する。
  • 安定頻脈はQRS幅と規則性で分け、広いQRS頻拍は原則VTとして扱う。
  • 500 μgから開始し、無効ならとペーシングへ速やかに進む。