Biochemistry

Biochemistry · 1/5

ヘモグロビンとミオグロビンの構造-機能相関

Structure–function relationships of hemoglobin and myoglobin — L I

応用トピック
溶血性貧血高再生性貧血妊娠と血液疾患小児貧血の分類・診断
疾患
メトヘモグロビン血症

🧠 は「の酸素貯蔵タンク()」、ヘモグロビンは「トラック(S字+)」と対比して読む。 両者ともヘムのFe²⁺でO₂を結合するが、Hbはと3種の(O₂・CO₂/H⁺・BPG)で親和性を可変にし、肺で満載・組織で放出を実現する。

気体の溶解

  • 分圧: ある気体が単独で同体積を占めたときの圧力。pₐ = xₐ·P(xₐ=モル分率)。
  • Henryの法則: 液中の気体濃度は接する気相の分圧に比例。[A](aq) = αₐ·pₐ。
部位 pO₂ pCO₂
100 mmHg 40 mmHg
組織 40 mmHg 45 mmHg

ヘムと酸素結合

酸素はヘム(protoporphyrin IX + Fe²⁺)のFe²⁺に結合する。Fe²⁺の6のうち、

  • 4つは:
  • 5番目: (Fe²⁺を)。
  • 6番目: O₂結合部位(側)。

⚠️ がCOの毒性を「和らげる」。 COはにO₂の25,000倍強く結合するが、遠位HisのでMbでは差が200倍まで縮む。それでもCO中毒は致命的になりうる。

ミオグロビン

Mbはαヘリックスに富むの金属タンパク質で、割れ目にヘムを1個もつ。

  • O₂結合曲線は:飽和度 Y = pO₂/(pO₂ + p50)。
  • p50 ≈ 3 mmHg(非常に高い親和性)。
  • 安静時の筋ではほぼ飽和し、激しい運動や重度の低酸素でのみO₂を放出する。酸素貯蔵に向く。

ヘモグロビン

Hbは。サブユニットの組成は生涯で変化する。

時期 組成
ζ₂ε₂
胎児 α₂γ₂
成人 α₂β₂(α₂δ₂ <4%)

βサブユニットはMbに似る。は「αβ二量体の二量体」。

T状態とR状態

flowchart TD
  A["脱酸素 deoxy-Hb(T状態=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low affinity'>低親和性</span>)"]
  A --> B["O₂結合でFe²⁺がヘム<span class='jp-term jp-term-diagram' title='in-plane'>面内</span>へ移動"]
  B --> C["Fe²⁺が近位Hisを引く"]
  C --> D["サブユニット間の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='salt bridge'>塩橋</span>が切れる<br>α₁β₁が約15°回転"]
  D --> E["oxy-Hb(R状態=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high affinity'>高親和性</span>)"]

アロステリー1:ホモトロピック効果(O₂–O₂)

4つのヘムへのO₂結合が独立なら(Mb様)、完全に同期ならHill式でS字。実際は協同的だが完全同期ではないS字型。

  • S字曲線はで、組織でより多くのO₂を放出できる(p50 ≈ 26 mmHg)。
  • 分子基盤:。O₂結合はR状態を安定化し、R状態はO₂をより強く結合する。
  • がサブユニット界面を越えて伝わることによる。
モデル 英語 特徴
concerted (Monod-Wyman-Changeux, MWC) 全サブユニットが同期してT⇔R転換。各O₂結合でR/T平衡が同じ倍率で移動
sequential (Koshland-Némethy-Filmer, KNF) 各サブユニットが個別にT→R転換。各O₂結合で次の結合定数が上がる

S字型が「肺で満載・組織で放出」を可能にする。 高親和のMb()は貯蔵向きだが放出できない。HbはなS字を描き、生理条件下で結合O₂の60%以上を組織で放出する。

アロステリー2:ヘテロトロピック効果

代謝が盛んな組織(CO₂↑・H⁺↑=pH↓)で、O₂親和性を下げる。

  • CO₂: βサブユニットのN末端に結合し(−NH−COO⁻)を形成。負電荷N末端がを作りT状態を安定化
  • H⁺: βサブユニットのHis側鎖に結合し、同じのAsp⁻とを作りT状態を安定化
  • いずれもO₂結合曲線をさせ、組織でのO₂放出を増やす(Bohr効果)。CO₂とH⁺は加算的に働く。

アロステリー3:ヘテロトロピック効果(2,3-BPG)

は、4サブユニットの(T型)に結合し、βN末端と3つの塩基性側鎖(His143を含む)とを作りT状態を安定化する。R型では空洞が狭すぎてBPGは押し出される。

はBPGへの親和性が低い。 γサブユニットではβ-His143がSerに置換され、HbFはBPGを弱く結合する→O₂親和性が高い→組織pO₂でHbAからO₂を受け取れる。高地では血中BPGが増え、O₂放出が促される。

アロステリー総括

エフェクター 効果
O₂ 正の
CO₂・H⁺(Bohr)・BPG 負の(T安定化、

臨床との関連

まとめ

  • Mbは・貯蔵・(p50≈3)、Hbは・運搬・S字(p50≈26)。
  • O₂はヘムのFe²⁺(4+近位His+O₂の6)に結合。遠位HisがCO毒性を緩和。
  • HbはでT⇔R転換(O₂結合でFeがへ→15°回転)。MWC(協奏)とKNF(逐次)モデル。
  • Bohr効果:CO₂(βN末端)・H⁺(βHis-Asp)がT安定化し
  • 2,3-BPGはでT安定化。HbFはHis143→SerでBPG親和性が低く、O₂親和性が高い。