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妊娠と血液疾患

Pregnancy and hematologic disorders

前提:正常
血液凝固・線溶・生理的抗凝固機構ヘモグロビンとミオグロビンの構造-機能相関ヘムの生合成と分解・鉄の恒常性
検査値
HbA2胎児ヘモグロビン

🧠 全体像:妊娠では増加によると凝固因子増加によるが同時に起こる。したがって、貧血は妊娠期別HbとMCV・で原因を分け、片脚症状や急な呼吸困難では妊娠中でも画像診断を遅らせず、VTEを治療する。

妊娠中の貧血

時期 貧血の目安
第1三半期 Hb 11 g/dL未満
第2三半期 Hb 10.5 g/dL未満
第3三半期 Hb 11 g/dL未満

Hb <10 g/dLかつHt <30%だけを妊娠全期の定義にしない。妊娠初期と24〜28週頃に血算を確認し、症状・リスクに応じ追加する。

平均赤血球容積による鑑別

MCV 主な原因 次の検査
80 fL未満 鉄欠乏、 、鉄指標、/遺伝学的検査
80〜100 fL 希釈、出血、慢性疾患、溶血 、溶血検査、腎・炎症評価
100 fL超 葉酸/B12欠乏、肝疾患、甲状腺、薬剤 葉酸、B12、肝・甲状腺検査

頭痛、感、、蒼白は非特異的で、Hb、MCV、を統合する。

鉄欠乏性貧血

  • 妊娠で最も多い病的貧血で、低値が鉄欠乏を支持する。
  • 通常は経口鉄40〜100 mg程度を毎日または隔日で開始し、と反応で調整する。
  • 予防としてWHOは鉄30〜60 mg/日+葉酸400 µg/日を推奨する。
  • 2〜4週でHb反応を確認し、正常化後も回復まで継続する。
  • 経口不耐、吸収不良、反応不十分、で迅速補充が必要ならIV鉄を用いる。旧式のIM鉄反復は標準ではない。
  • 輸血はHだけでなく、出血、、重い症状、心肺疾患、分娩までの時間を考慮する。

葉酸・B12欠乏

  • 葉酸欠乏はリスクに関連する。
  • 通常リスクでは妊娠前から12週まで葉酸400 µg/日を摂取する。
  • NTD既往ではWHOは5 mg/日を推奨し、地域指針では4〜5 mg/日をから用いる。
  • 葉酸欠乏性貧血は通常1 mg/日程度で治療するが、B12欠乏を見落としたまま葉酸だけを投与しない。

異常ヘモグロビン症

鎌状赤血球症

  • 妊娠で、感染、VTE、、早産が増える。
  • 妊娠前から血液内科と管理し、葉酸、ワクチン、感染予防、胎児発育監視を行う。
  • 低酸素、脱水、感染を避け、急性合併症は妊娠を理由に治療を弱めない。
  • 鎌状赤血球形質は鎌状赤血球症とは異なり、重篤を同一視しない。

αサラセミア

通常4個のαグロビン遺伝子をもつ。

欠失数 病型・所見
1 silent carrier、通常無症状
2 α形質、軽度
3 。β4が赤血球を傷害し溶血性貧血
4 Hb Bart’s(γ4)、重症

同一染色体上に2欠失をもつcis型は、両親が保因者なら4遺伝子欠失児のリスクがある。を鉄欠乏と決めつけず、パートナー検査と遺伝相談を行う。

βサラセミア

病型 血液像・電気泳動
βminor は保たれ、上昇
βmajor 重症貧血、HbF高値、HbA著減/欠如、輸血依存

重症例では・骨髄過形成により肝脾腫、変化、頭蓋骨X線のを生じる。は鉄過剰を起こす。

静脈血栓塞栓症

妊娠・はVTEリスクを約4〜5倍高め、特に産後6週が高い。リスク上昇は産後12週頃まで残りうる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gravid uterus'>妊娠子宮</span>による骨盤静脈圧迫・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venodilation'>静脈拡張</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stasis'>血流停滞</span>"]
    C["凝固因子・フィブリノゲン増加、線溶低下"] --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypercoagulability'>凝固亢進</span>"]
    E["分娩・帝王切開による血管内皮損傷"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endothelial injury'>内皮障害</span>"]
    B --> G["Virchow三徴"]
    D --> G
    F --> G
    G --> H["DVT・肺塞栓"]

診断

  • 妊娠DVTは左側・近位型が多く、片脚全体の腫脹、疼痛、痛を呈しうる。
  • 疑えば圧迫超音波を行う。腸骨静脈血栓が疑われ陰性なら追加画像または反復検査を行う。
  • 肺塞栓では胸痛、呼吸困難、頻脈、失神、低酸素を評価し、胸部X線後にV/Qスキャンまたはを選ぶ。
  • 放射線への懸念で母体の致死的診断を遅らせない。

治療

  • 急性VTEでは治療量ヘパリンが第一選択で、出血・分娩切迫・重度腎障害などではUFHを検討する。
  • 原則として妊娠中を通して継続し、産後6週以上かつ総治療期間3か月以上とする。
  • ・分娩に向けた最終を計画する。
  • ワルファリンは胎盤を通過するため妊娠中は原則避けるが、など例外は専門管理する。授乳中は使用可能である。
  • DOACは妊娠中・授乳中の標準薬ではない。

妊娠性血小板減少症

  • 妊娠後半に生じる軽度・無症候性血小板減少で、通常7万/µL以上である。
  • 母体出血・新生児血小板減少と関連せず、治療を要しない。
  • 7万/µL未満、妊娠早期発症、進行性低下、溶血・肝障害、高血圧、出血があればITP、HELLP、TTP/aHUS、DICなどを評価する。

まとめ

  • 妊娠中の貧血は妊娠期別Hbで定義し、MCVとで鑑別する。
  • 鉄欠乏は経口鉄が基本で、反応不十分・不耐・時間不足ではIV鉄を用いる。
  • ではを考え、α遺伝子欠失数とβ所見を理解する。
  • 妊娠はVirchow三徴すべてを満たし、特に産後6週のVTEリスクが高い。
  • 急性VTEはLMWHで治療し、産後6週以上かつ総3か月以上継続する。