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Lab values · Published

HbA2

Hemoglobin A2

別名
ヘモグロビンA2hemoglobin A2
臓器系
血液
科目
Internal MedicineObstetrics
トピック
内科学 L-59:高再生性貧血内科学 H-02:鉄欠乏性貧血産科学 11:妊娠と血液疾患
関連疾患
サラセミア

🧠 全体像α2δ2)はのごく少数派を占める分画で、単独では病名を決められないが、の産生が減ると相対的にδ鎖の割合が増えるという一点だけでβスクリーニングの中核を担う。何が分かるかは明快な一方、鉄欠乏が合併すると偽性に低下しを見逃しうること正常値であってもβ型を否定しきれないことという2つの落とし穴が、この検査の価値を決めている。

何を測っているか

の大半はヘモグロビンHbA(α2β2)で、HbA2(α2δ2)はδ鎖を2本もつ副次的な分画にすぎない。δ鎖の産生量そのものはよりずっと少ないため、通常はの占める割合も低いまま安定している。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alpha chain'>α鎖</span>は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta chain'>β鎖</span>・δ鎖のどちらとも対になれる"] --> B{"どちらと組むか"}
    B -->|"多数派"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta chain'>β鎖</span>と結合→HbA(α2β2)"]
    B -->|"少数派"| D["δ鎖と結合→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemoglobin A2'>HbA2</span>(α2δ2)"]
    C --> E["β<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thalassemia trait'>サラセミア保因</span>型などで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta chain'>β鎖</span>産生が低下"]
    E --> F["相対的にδ鎖を含む分画の割合が増加"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemoglobin A2'>HbA2</span>の割合が上昇"]

の絶対量が減っても、δ鎖の産生量自体は変わらない。分母となるヘモグロビン全体に占めるδ鎖分画の比率が押し上げられる、という相対的な現象であることが、この検査を読むうえでの背骨になる。

基準値と単位

は総ヘモグロビンに対する分画比(%)として、HbFや他の分画と同時にHb分画分析(または)で報告する。

β型の判定には 3.5%超が広く使われるだが、3.2〜3.5%程度は境界域として扱われ、単独ので割り切れない1。施設・測定法によってや境界域の設定が異なるため、報告書に記載されたを優先する。

高値の意味

機序 代表的状況 鑑別の手掛かり
産生の低下 β型(最重要) は保たれる、
造血の質的異常 、葉酸・ビタミンB12欠乏の所見
代謝亢進 甲状腺機能亢進症
薬剤性 など投与下 薬剤歴、投与前後の変化

低値の意味

機序 代表的状況 鑑別の手掛かり
の材料不足 低下、の低下
産生の低下 α が減ると・HbAとも同様に減り、相対比としては上昇しない
δ鎖産生系の障害 、δ鎖変異の合併 が典型的な上昇を示さない
鉄利用障害 血清鉄は正常〜上昇、

鉄欠乏性貧血との鑑別

とβ型はどちらもを来すが、鉄欠乏ではも減るのに対し、型ではが保たれる(むしろ多い)のにMCVだけが低い(MCV/)はこの違いを利用したスクリーニング指標で、低いほどを、高いほど鉄欠乏を示唆するが、単独の確定診断には使わない。

⚠️ 鉄欠乏が合併しているとが偽性に低下し、β型を見逃す。境界域や予想外に低いは、鉄欠乏の合併を疑う所見でもある1で鉄欠乏を確認し、鉄欠乏を是正してから再検するのが原則で、鉄欠乏を治療せずにだけでを除外しない。

保因者スクリーニングの限界

が正常であってもβ型は否定できない。 β⁺型の中にはともに正常にとどまり臨床的に無症状なまま経過する病型があり、また、・δ鎖変異が合併して典型的な上昇がされる病型もある。いずれも単独のスクリーニングをすり抜けうる2の文脈で臨床的疑いが強い場合は、が正常でも分子遺伝学的検査へ進む判断が必要になる。

測定上の注意

  • ⚠️ 最近の赤血球輸血は患者自身のHb分画を希釈するため、輸血後しばらくはが本来の値を反映しない。輸血の影響が抜けてから測定する。
  • ⚠️ HbFが優位でがまだ成人パターンに達していないため、乳児期以降に測定して判定する。
  • ⚠️ HbS など異常ヘモグロビンがの分画位置に重なってすると、を過大評価しうる。異常ピークは自動判定だけで確定せず、別法や遺伝学的検査で確認する。

経時変化とモニタリング

を追う検査ではなく、遺伝のための1回きりのとして使う。夫婦の一方がβ型と判明したら、パートナー側の評価とHb分画・遺伝学的検査を進め、両者が保因者であれば児のリスクについて遺伝相談へつなぐ。

まとめ

  • HbA2(α2δ2)はδ鎖を含む少数派の分画で、産生の低下に伴い相対的に上昇する。
  • %の分画比で、β型のはおよそ3.5%超だが境界域がある。
  • 高値の中心はβ型、低値の中心は・α
  • 鉄欠乏とβ型はともにだがの挙動が逆で、鉄欠乏合併時はが偽性に低下するため是正後に再検する。
  • 正常はβ型を否定しない。臨床的に無症状なβ⁺型やの合併では分子遺伝学的検査が必要になる。
  • 輸血後・は判定を避け、異常ヘモグロビンとのによる過大評価にも注意する。

出典

  1. 1.Hemoglobin A2 Lowered by Iron Deficiency and α-Thalassemia: Should Screening Recommendation for β-Thalassemia Change?(ISRN Hematology・2013)βサラセミア保因型の判定にはHbA2 3.5%超が広く用いられるカットオフであり、鉄欠乏の合併はHbA2を低下させて境界域(3.2〜3.5%程度)に落とし込み、偽陰性診断のリスクを生む閲覧 2026-08-03
  2. 2.Beta-Thalassemia(GeneReviews (NCBI Bookshelf)・2026)臨床的に無症状にとどまるβ⁺型やδβサラセミアとの合併ではHbA2が正常〜境界域にとどまり典型的な上昇を示さないため、保因者スクリーニングでHbA2単独では見逃しがあり、確定には分子遺伝学的検査を要する閲覧 2026-08-03