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Lab values · Published

トランスフェリン飽和度

Transferrin saturation

別名
TSATトランスフェリン飽和率鉄飽和度
臓器系
血液肝胆膵
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-02:鉄欠乏性貧血内科学 H-04:慢性疾患に伴う貧血内科学 S-36:ヘモクロマトーシスとウィルソン病内科学 S-18:ポルフィリン症
関連疾患
ヘモクロマトーシスポルフィリン症むずむず脚症候群腎性貧血鉄欠乏性貧血慢性疾患に伴う貧血
監視対象薬
エポエチンアルファ水酸化鉄ポリマルトース

🧠 全体像は、の結合部位がどれほど鉄で満たされているかを示す比率である。低値は「造血へ渡せる鉄が少ない」こと、高値は「結合能に対して鉄が多い」ことを示すが、分子と分母の両方が動くため、・炎症・肝機能と組み合わせて読む。

何を測っているか

血清鉄はその時点でに結合して循環する鉄、は利用可能なの近似である。

TSAT(%)= 血清鉄 ÷ TIBC × 100

構成要素 主に表すもの 主な変動
血清鉄 循環中の 、食事・、炎症で変化
TIBC 主に量を反映する結合能 鉄欠乏で上昇、炎症・で低下
TSAT 結合部位に占める鉄の割合 分子・分母の変化を同時に受ける
の近似 鉄欠乏で低下、炎症・肝障害で上昇

💡 同じ低い血清鉄でも、鉄欠乏ではTIBCが上がり、炎症ではTIBCが下がる。この違いをとTSATで読む。

基準値と判断域

成人の目安はおおむね20〜45%だが、測定法、年齢、性、施設で異なる。診断閾値と検査室は同じではない。

TSAT 実務上の意味
20%未満 を示唆。と炎症性のを分ける
20〜45%前後 多くの施設の参考域。正常でも早期鉄欠乏を完全には除外しない
45%超 鉄過剰を考える入口。再検し、・背景を確認
持続して高値 遺伝性・、肝障害を評価

EASL 2022は、を疑う目安として女性でTSAT >45%、男性で >50%を示している。これは単独の確定診断ではない。

低値の意味

パターン 主な機序 追加所見
TSAT低値+低値 TIBC上昇、上昇
TSAT低値+正常〜高値 炎症による 、TIBC低下〜正常
TSAT低値+腎疾患 の併存 腎機能、ESA治療歴、炎症
TSAT低値+低 重い炎症・・肝疾患 比率だけでは鉄欠乏を定量できない

ではTSAT低下は有用だが、単独では原因を示さない。ヘモグロビンとMCVが正常でもの早期はあり得る。

高値の意味

原因群 機序・例 次に見るもの
、HFE遺伝子、
、鉄投与、 輸血歴、血算、肝MRI
放出と合成低下 AST/ALT、アルブミン
分母低下 、炎症、でTIBC低下 量を確認
一過性 直前の経口・静注鉄、 条件をそろえて再検

高TSATと高がそろえば鉄過剰を強く疑うが、は炎症でも上がる。高TSATだけなら、低下や直前の鉄投与を除外して持続性を確認する。

組合せで読む

flowchart TD
    A["TSAT異常"] --> B{"低値か高値か"}
    B -->|"低値"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ferritin'>フェリチン</span>・CRP・TIBCを確認"]
    C --> D["低<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ferritin'>フェリチン</span>+高TIBC<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='absolute iron deficiency'>絶対的鉄欠乏</span>"]
    C --> E["正常〜高<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ferritin'>フェリチン</span>+低TIBC<br>炎症性鉄制限を考える"]
    B -->|"高値"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iron supplement (iron preparation)'>鉄剤</span>・輸血・肝障害・低<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transferrin'>トランスフェリン</span>を確認"]
    F --> G["持続高値+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ferritin'>フェリチン</span>高値"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemochromatosis'>ヘモクロマトーシス</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secondary iron overload'>二次性鉄過剰</span>を精査"]

では鉄過剰が発症因子になり得るため、TSATとの背景鉄過剰を評価する。

測定上の注意

⚠️ 血清鉄は日内・日差変動があり、直前の・静注鉄・輸血で上昇する。EASLは朝の採血を勧める一方、空腹採血が診断能を改善するとはしていない。異常値は同じ条件で再確認する。

溶血、検体品質、測定法、を確認する。炎症・肝疾患・ではTIBCが低く、鉄過剰がなくてもTSATが見かけ上高くなることがある。

経時変化

鉄補充ではHb反応だけでなくTSATとの回復を追うが、静注直後の値で充足を判定しない。鉄過剰では単回のTSAT正常化より、、臓器障害、治療経過を統合する。

まとめ

  • TSATは 血清鉄 / TIBC × 100で求める比率で、鉄運搬の充足度を示す。
  • 低値はを示すが、とTIBCでと炎症性鉄制限を分ける。
  • 持続高値は鉄過剰の入口であり、・遺伝学・と組み合わせる。
  • 低下はTSATを見かけ上高くし得る。
  • 、輸血、採血時刻、炎症、肝機能を確認し、異常値は条件をそろえて再検する。