皮膚科学

皮膚科学 · 1-19

爪真菌症(爪白癬)

Onychomycosis (Tinea Unguium)

前提:病態
皮膚糸状菌症
前提:正常
皮膚・付属器:付属器
微生物
Trichophyton rubrum
疾患
皮膚糸状菌症(白癬)

🧠 全体像:は爪の・肥厚・崩壊を来す真菌感染で、、酵母、非糸状菌が原因となり得る。はそのうちによるものを指す。1 見た目だけでは乾癬や爪変形と区別できないため、長期内服前に真菌学的確認を行う。2

病因とリスク

爪に多く、の代表的病原体は Trichophyton rubrum と T. interdigitale である。1 加齢、、糖尿病、、免疫抑制、爪外傷、密閉性の高い靴がリスクとなる。接触や共有物を介して伝播し得る。

臨床病型

病型 形態
遠位・側縁から黄白色にし、、肥厚、が近位へ進む
表面に白色粉状斑を形成する
側から白濁し、免疫抑制の手掛かりになることがある
進行して爪全体が肥厚・・崩壊する

臨床写真で典型的なのは、遠位側縁から始まる黄白色と下のである。左右対称とは限らず、1本だけの病変もある。

診断

  1. 部より近位の下角質を採取する。
  2. 、、またはで真菌を確認する。培養には時間を要し偽陰性もあるため、必要に応じて組織検査やを補助的に用いる。3
  3. 、、反復外傷、細菌感染、爪部腫瘍を鑑別する。

治療

病変範囲 治療
表層または少数爪で病変のない軽症〜中等症 外用を長期間継続し、爪切り・削爪を併用する。日本では・の爪外用液(いずれも推奨度B)を用い、か培養で確定した患者に保険適用がある4。米国では爪ラッカー・タバボロールなども使われる5。は内服より低い
複数爪、まで及ぶ、著明な肥厚 経口治療を検討する。日本の指針はとホスラブコナゾールをともに推奨度A、のを推奨度Bとする4。米国では性なら多くの患者でが優先され、は二次選択とされる65

軽症〜中等症では局所治療、中等症〜重症では禁忌がなければ経口治療が基本となる。2 内服の用法は国によって違う。日本では125 mg/日を6か月連続で内服し、定期的に血液検査を行う(推奨度A)。は400 mg/日を1週間投与・3週間で3サイクルの(推奨度B)、ホスラブコナゾールはラブコナゾールとして100 mgを1日1回12週間(推奨度A)用いる4。米国では250 mgを1日1回、6〜12週間用いる5。いずれも開始前に肝疾患と薬物相互作用を確認し、時は診断を再確認して個別化する。治療後も正常爪への置換には数か月から1年以上かかる。

⚠️ 開始前に肝疾患と薬物相互作用を確認する。は皮膚・に使用しない。

の併存を治療し、足を乾燥させ、靴・靴下と爪切りを清潔に保つことでを減らす。再発しやすいため、治癒後の予防的外用も選択肢となる。3

まとめ

  • は爪に多く、遠位側縁からの黄白色とが典型である。
  • 長期内服前に、培養、またはで真菌を確認する。
  • 軽症は外用、広範・病変は経口を中心に治療する(日本ではホスラブコナゾールも推奨度A)。用量と期間は日本(125 mg/日を6か月)と米国(250 mg/日を6〜12週)で異なる。
  • 爪の伸長が遅いため、菌学的治癒と見た目の改善には時間差がある。

出典

  1. 1.Onychomycosis: A Review(2015)爪真菌症の原因には皮膚糸状菌、酵母、非皮膚糸状菌糸状菌が含まれ、爪白癬ではTrichophyton rubrumとT. interdigitaleが主要病原体であることを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.S1 Guideline onychomycosis(2023)爪真菌症の診断には鏡検、培養、分子検査を用い、軽症〜中等症では局所治療、中等症〜重症では禁忌がなければ経口治療を選ぶ方針を確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Onychomycosis: a review(2020)診断検査の特性、外用・経口治療の有効性と安全性の差、および再発予防策を確認した。閲覧 2026-08-13
  4. 4.皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同皮膚真菌症診療ガイドライン策定委員会・2025)全文PDF(日皮会誌135巻13号)で、爪白癬の内服療法はテルビナフィン125 mg/日の6か月連続内服(CQ5、推奨度A、定期的な血液検査が必要)、イトラコナゾール400 mg/日を1週間投与・3週間休薬で3サイクルのパルス療法(CQ6、推奨度B)、ホスラブコナゾール(CQ7、推奨度A、ラブコナゾールとして100 mgを1日1回12週間内服したRCTに基づく)であり、外用療法はエフィナコナゾール10%爪外用液(CQ3、推奨度B)とルリコナゾール5%爪外用液(CQ4、推奨度B)で、外用薬は経口薬より完全治癒率が低いものの内服できない・希望しない患者に使われ、直接鏡検または培養で確定診断された患者に保険適用があることを確認した閲覧 2026-09-27
  5. 5.Diagnosis and Management of Tinea Infections(American Family Physician (AAFP)・2025)PMC掲載の全文で、爪真菌症には多くの患者で経口テルビナフィン250 mg 1日1回を6〜12週間用いる方法がイトラコナゾールなど他の経口薬より好まれ(忍容性・費用・有効性による)、経口イトラコナゾールは二次選択であること、シクロピロクス爪ラッカーやタバボロールは完全治癒率が低い(29〜36%、31〜36%)ことを説明したうえで提示しうることを確認した閲覧 2026-09-27
  6. 6.Onychomycosis: Rapid Evidence Review(2021)経口テルビナフィンは外用薬より有効性が高く治療期間も短いため優先され、軽症〜中等症では安全性に優れる外用薬を選べることを確認した。閲覧 2026-08-13