Dermatology

Dermatology · 1-16

微胞子虫症・小胞子菌症と表在性真菌症

Microsporidia Microsporia and Superficial Mycoses

前提:病態
皮膚糸状菌症表在性・皮下真菌症カンジダ属
疾患
マラセチア毛包炎皮膚糸状菌症(白癬)

🧠 全体像:「」と「」は名前が似るが別物である。皮膚・毛・爪の白癬を起こすのはを含むで、は主に免疫不全者の腸管・眼・全身に感染する細胞内病原体である。12

用語を区別する

用語 正体 主な疾患
菌類に近縁な偏性細胞内病原体 、筋炎、播種感染など
の一属 など。「microsporia」は症を指す
酵母 との関連
カンジダ 酵母 皮膚・粘膜カンジダ症

⚠️ を「よくあるを起こす表在性真菌」とする分類は誤りである。

皮膚糸状菌

は生きた深部組織ではなく、、毛、爪のを栄養源として感染する。教育上はの3属で整理されることが多いが、現行の分子系統分類ではNannizziaなど他の属も含まれる。3

皮膚
原則侵さない
原則侵さない

生態学的には、感染源によりに分ける。ヒト・動物との直接接触、床・タオル・衣類などのから伝播する。

感染部位による白癬の分類

病型 部位・臨床像 治療の基本
鱗屑、脱毛斑、折れた毛。炎症性を来し得る 毛包内へ届く経口抗真菌薬が必須。外用単独は不十分
辺縁が隆起・鱗屑性での環状局面 通常は外用抗真菌薬
のそう痒性環状局面 外用抗真菌薬、乾燥・源管理
、小水疱、角化性鱗屑 外用抗真菌薬。の併存を確認
爪の白濁・黄変、肥厚、崩壊 菌学的確認後、範囲に応じ経口または外用治療

白癬の典型的形態は、頭部の鱗屑性脱毛斑、股部・体幹の環状局面、爪の遠位外側からの白濁・肥厚である。ただし、湿疹・乾癬・爪変形と似るため、治療前検査が重要である。1

診断

flowchart TD
    A["環状鱗屑性局面・脱毛斑・爪変形"] --> B["活動性辺縁・毛・爪下角質から検体採取"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='KOH direct microscopy'>KOH直接鏡検</span>"]
    B --> D["真菌培養または分子学的同定"]
    C --> E["菌糸・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arthroconidia'>分節胞子</span>を確認"]
    D --> F["菌種・耐性を評価"]
    E --> G["部位に応じ治療"]
    F --> G
  • 皮膚病変は活動性辺縁、は抜毛・折れた毛と鱗屑、爪は爪下角質を採取する。
  • KOH鏡検はの存在を迅速に示すが、には培養・分子検査が必要である。
  • 難治・広範・再発例では、抗真菌薬耐性を含め専門検査を考える。

限局した皮膚白癬では外用治療を基本とし、頭部・爪・広範病変、外用不応、免疫抑制では経口治療の必要性を評価する。1

治療原則

  • 限局した体部・股部・などの外用抗真菌薬を通常2〜4週、製剤の指示どおり使用する。
  • などのを菌種・地域・年齢に応じ選ぶ。小児の比較試験では、T. tonsuransに、Microsporum属、とくにM. canisにが有利である。外用シャンプーは伝播低減の補助である。4
  • :治療前に真菌を確認し、軽症〜中等症では外用、中等症〜重症では経口治療を基本に、範囲・原因菌・併存症・相互作用を考慮して選ぶ。5
  • ステロイド配合外用薬を診断未確定の白癬へ用いると、形態を隠して拡大するを生じる。

真の微胞子虫症

は1〜4 µm程度の胞子とをもち、宿主細胞内へ侵入する。免疫不全者、とくに高度では慢性水様性下痢、胆道感染、筋炎、脳炎、播種感染を起こし、免疫正常者でもが生じ得る。2 診断は便・・組織などの、PCR、を病型に応じて用い、治療は菌種と臓器、免疫状態に依存するため感染症専門医が管理する。

まとめ

  • は別物で、一般的なによる。
  • ・毛・爪を侵し、感染部位によりと呼ぶ。
  • は経口治療、限局皮膚白癬は通常外用治療、は菌学的確認後に治療する。
  • 診断未確定の環状皮疹へステロイドを単独・配合で用いない。

出典

  1. 1.Toward a Novel Multilocus Phylogenetic Taxonomy for the Dermatophytes(2017)分子系統分類では皮膚糸状菌が従来の3属だけでなく、Nannizziaなど複数属へ再編されたことを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Diagnosis and Management of Tinea Infections(2025)白癬は感染部位で分類され、臨床診断だけでは不正確な場合があること、限局皮膚病変は外用、頭部・爪・広範または不応例では全身治療を考慮する原則を確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Systemic antifungal therapy for tinea capitis in children: An abridged Cochrane Review(2017)小児頭部白癬ではT. tonsuransにテルビナフィン、Microsporum属、とくにM. canisにグリセオフルビンが比較上有利であることを確認した。閲覧 2026-08-13
  4. 4.Updated Perspectives on the Diagnosis and Management of Onychomycosis(2022)爪白癬では治療前の確定検査を行い、軽症〜中等症では外用、中等症〜重症では経口治療を選ぶことを確認した。閲覧 2026-08-13
  5. 5.Microsporidiosis in Humans(2021)微胞子虫は偏性細胞内病原体で、免疫状態を問わず感染し、消化管を中心に多臓器病変を起こし得ることを確認した。閲覧 2026-08-13