婦人科学

婦人科学 · 22

子宮体癌の症候・徴候・検診

Symptoms signs and screening of corporal cancer

前提:正常
骨盤・会陰:血管とリンパ管
疾患
子宮体癌
症状
異常子宮出血腟出血
検査値
糖鎖抗原125

🧠 全体像:の最大の手掛かりは、とくにである。平均リスク無症状者の定期検診は行わず、症状が出た時点でまたはから評価を始め、陰性で終わらせずに見逃しを防ぐ。

症状と徴候

  • 約9割にを認める。
  • は常に異常であり、量にかかわらず評価する。
  • ・閉経前でも、持続する、過多・、性出血のリスク背景があれば内膜評価を行う。
  • 肥満、高血圧、糖尿病、PMOS(従来PCOS)、エストロゲン単独使用、、などを確認する。
  • 開大した外子宮口や硬く腫大した子宮頸部は頸管方向への進展を示唆するが、診断には組織・画像評価が必要である。

進展様式

flowchart TD
    A["子宮内膜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary tumor'>原発巣</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct invasion'>直接浸潤</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myometrium'>子宮筋層</span>・子宮頸部・漿膜・隣接臓器"]
    A --> D["卵管を介する腹腔内播種"]
    D --> E["卵巣・腹膜・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='greater omentum'>大網</span>"]
    A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphatic'>リンパ行性</span>"]
    F --> G["骨盤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='para-aortic lymph node'>傍大動脈リンパ節</span>"]
    A --> H["血行性"]
    H --> I["肺・肝・骨など"]

スクリーニング

平均リスク無症状者

平均リスクで無症状の人に、、Pap検査、を定期的に行って死亡率を下げる根拠はなく、標準的な集団スクリーニングはない。

  • Pap検査は検診であり、に対する感度は不十分である。
  • 無症状者のには偽陽性が多く、症候性患者の4 mm閾値をそのまま適用しない。
  • 「高リスクなら一律に」という運用にも、死亡率低下の確立した根拠はない。

遺伝性高リスク

では遺伝カウンセリングを行い、出血症状を速やかに評価することがまず重要である。定期的内膜生検を含む監視と、妊娠希望終了後のリスク低減手術を専門チームで相談する。

⚠️ の婦人科監視は国際的に一致していない。 Manchester/EHTG系はルーチンの侵襲的監視に否定的で症状教育と迅速評価を重視し、他学会は年1回または1〜2年ごとの生検・を考慮する、という幅がある。「定期的内膜生検が標準」と断定しない。

💡 監視法の実力を数字で押さえる。 では、でのの感度は57.1%(要スクリーニング数の中央値78)、の感度は34.4%(中央値170)、両者を合わせても66.7%であった。検出されたの64.1%はスクリーニング由来だが、残りは検診の合間などに有症状で見つかっている。死亡率低下のデータは存在せず、最も確実なのはリスク低減手術である。1

閉経後出血の診断

の初期評価は、と子宮内膜組織採取のいずれから入ってもよい。ACOGは2026年に、のにおけるの役割について2018年Committee Opinion No. 734の内容を更新した指針を出している2。どちらから入っても、陰性で終わらせず出血の経過で再評価するという原則は変わらない。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postmenopausal bleeding'>閉経後出血</span>"] --> B["病歴・診察"]
    B --> C["TVUSまたは子宮内膜組織採取で初期評価"]
    C --> D["悪性またはEIN/AEH"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='staging'>病期診断</span>と治療"]
    C --> F["陰性・検体不十分"]
    F --> G["出血が持続・再発するか"]
    G -->|"はい"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hysteroscopy'>子宮鏡</span>+標的生検/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='curettage'>掻爬</span>"]
    G -->|"いいえ"| I["臨床背景に応じて追跡"]
  • 従来、初回出血で≤4 mmはのが高いとされたが、薄い内膜でも癌は完全には除外できない。
  • 出血が持続・再発する場合は、にかかわらずを行う。
  • 肥満、筋腫、、既往手術などで内膜が明瞭に描出できない場合も組織評価へ進む。

組織診と追加検査

  • 外来で確定診断する。
  • 陰性・不十分でも症状が続く、またはポリープなど局在病変が疑われる場合は下生検・を行う。
  • 子宮内膜と頸管の検体を適切に区別し、頸管の評価につなげる。
  • 血清CA-125は診断・集団検診には用いない。高値はでみられることがあるが、非特異的である。

⚠️ 「生検が陰性なら全員に全身麻酔下の分別」という一律運用は現行の基本ではない。出血持続、検体不足、局在病変の疑いに応じて下標的評価を選ぶ。

まとめ

  • ではが最重要症状で、少量でも診断評価が必要である。
  • 平均リスク無症状者に標準的な集団スクリーニングはない。
  • TVUSは診断補助であり、で確定する。薄い内膜や初回陰性生検でも出血が持続・再発すれば再評価する。
  • の監視はガイドライン間で不一致で、生検・超音波の感度も高くない。症状教育とリスク低減手術の相談が軸になる。

出典

  1. 1.Screening and risk reducing surgery for endometrial or ovarian cancers in Lynch syndrome: a systematic review(International Journal of Gynecological Cancer・2022)Lynch症候群の子宮体癌・卵巣癌スクリーニングのシステマティックレビューで、**子宮内膜生検の感度は57.1%(要スクリーニング数の中央値78)、経腟超音波の感度は34.4%(中央値170)**、両者を合わせた内膜スクリーニング全体でも66.7%にとどまること。検診時点の子宮体癌発見率は3.9%で、発見された癌の64.1%がスクリーニング由来、残りは有症状で見つかったこと。**スクリーニングを支持する根拠は限られており、死亡率低下のデータは得られていない**こと。**リスク低減手術がLynch症候群で最も確実な方法**であること閲覧 2026-08-21
  2. 2.Updated Guidance Regarding The Role of Transvaginal Ultrasonography in Evaluating the Endometrium of Individuals With Postmenopausal Bleeding(American College of Obstetricians and Gynecologists・2026)閉経後出血患者のトリアージにおける経腟超音波の役割について改訂した診療指針であり、2018年のCommittee Opinion No. 734の該当内容を更新したものであること閲覧 2026-08-21