Internal Medicine

Internal Medicine · L-10

肺塞栓症と肺性心

Pulmonary embolism and pulmonary heart disease

前提:病態
肺血管原性疾患(肺塞栓・肺梗塞)塞栓の種類肺性心
前提:正常
ガス交換・肺循環・換気血流比
疾患
肺血栓塞栓症肺高血圧症

🧠 全体像:肺塞栓症は、肺によりと急性右室上昇を起こす。最初にショック・持続性低血圧の有無を判断し、安定例ではとD-dimerからへ、不安定例ではを含む救命優先の経路へ進む。

病態と危険因子

多くは下肢・骨盤DVTからの血栓塞栓である。手術、外傷、不動、悪性腫瘍、妊娠・、エストロゲン製剤、既往VTE、が重要な危険因子となる。

flowchart TD
    A["静脈血栓"] --> B["肺動脈閉塞"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='V/Q mismatch'>換気血流不均衡</span>・低酸素血症"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary vascular resistance'>肺血管抵抗</span>上昇"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='right ventricular dilatation'>右室拡張</span>・右室虚血"]
    E --> F["左室前負荷低下"]
    F --> G["低血圧・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstructive shock'>閉塞性ショック</span>"]

臨床像

  • 突然の呼吸困難、頻呼吸、、頻脈
  • 失神、低血圧、ショックは高リスクPEを示唆
  • 、発熱、低酸素血症、片側下肢腫脹
  • 大量PEでは、右室性S3、右室負荷所見

症状・所見は非特異的であり、ACS、、肺炎、気胸、心不全などを同時に鑑別する。

診断

循環動態が安定している場合

  1. などでを評価する。
  2. 低確率例ではPERCまたはD-dimerで画像不要な症例を選別する。
  3. D-dimer陽性またはが高ければを行う。
  4. 造影CTが不適なら、下肢超音波などを組み合わせる。

修正Wells PEスコア

項目 点数
DVTの臨床徴候 3
PEが他の診断より尤もらしい 3
心拍数 >100/分 1.5
直近4週以内の手術または3日以上の不動 1.5
DVT/PE既往 1.5
1
1

2段階法では >4点を≤4点をとする。「PEが最も尤もらしい」は主観項目であるため、スコアは臨床判断を置き換えない。

年齢50歳超の低〜中確率例では、年齢調整D-dimer閾値(年齢×10 µg/L、FEU表記)を利用できる。D-dimer陽性だけでPEと診断しない。

循環動態が不安定な場合

蘇生を開始し、で急性右室負荷と他のショック原因を評価する。患者が安定化し搬送可能ならCTPAを行うが、極めて不安定でPEの可能性が高い場合は、検査による遅延と再灌流の利益を専門チームで判断する。

検査 主な所見・限界
CTPA 肺動脈内造影欠損。第一選択の確定画像
心エコー 右室拡大・機能低下。安定例で正常でもPEを除外できない
ECG 頻脈、右室負荷、右。S1Q3T3は特異的でない
低酸素・低CO2を取り得るが正常でも除外不能
/BNP 右室障害と予後層別化に利用

リスク層別化

リスク 所見 治療の方向
AHA/ACCカテゴリーE 持続・反復低血圧を伴うショック、難治性ショックまたは心停止 抗凝固、緊急再灌流、必要時循環補助
AHA/ACCカテゴリーD 一過性低血圧または正常血圧下の低灌流を含む切迫心肺不全 高度監視、PE対応チーム、高度治療を早期検討
AHA/ACCカテゴリーC 臨床重症度スコア高値。右室障害・の有無で細分 入院、抗凝固、悪化時
AHA/ACCカテゴリーA〜B 無症候、または症候性だが臨床重症度スコア低値 抗凝固適応を評価し、適格例は早期退院・外来治療

治療

  • 禁忌がなければ速やかに抗凝固を開始する。安定例ではDOACを含む治療を、腎機能、妊娠、悪性腫瘍、出血リスクで選択する。
  • カテゴリーE1では全身血栓溶解、、機械的・外科的血栓除去から再灌流法をPE対応チームで迅速に選択し、D1〜D2でも選択例で高度治療を検討する。
  • カテゴリーE2では、出血リスクが許容されれば全身血栓溶解が合理的で、利用可能な施設ではVA-ECMOを検討する。ECMO導入後に別の高度治療を一律に追加する有用性は確立していない。
  • 安定したカテゴリーCへ全身血栓溶解をルーチンに行わず、循環破綻時のを準備する。
  • 初期抗凝固相は3〜6か月とし、大きな可逆性危険因子がない初回PE、持続危険因子、再発例では、出血リスクを反復評価しながら延長する。

肺性心

は、左心疾患ではなく肺・肺血管・胸郭疾患による肺高血圧に伴う右室構造・機能異常である。

原因
慢性肺疾患 COPD、、睡眠時無呼吸
肺血管疾患
胸郭・換気障害 高度肥満低換気、

症状は呼吸困難、、失神、浮腫、腹水、など。心エコーで右室・推定を評価し、確定・分類にはを用いる。治療は原因疾患、低酸素、、慢性血栓塞栓などを標的とし、うっ血には慎重に利尿薬を用いる。肺高血圧治療薬を分類未確定のまま経験的に開始しない。

まとめ

  • PEでは最初に循環不安定の有無を判定し、安定例はとD-dimerから画像へ進む。
  • 血栓溶解は主に高リスクPEの再灌流に用い、へルーチン投与しない。
  • は肺・肺血管疾患による右心障害で、原因分類に基づく治療が必要である。

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