Urology

Urology · N-06

前立腺癌の頻度・症状・診断

Incidence, symptoms and diagnosis of prostate cancer

前提:病態
前立腺癌
前提:正常
男性生殖:付属腺と陰茎
疾患
前立腺癌
症状
腰痛
スコア
Gleasonスコア

🧠 全体像:前立腺癌は欧州男性で最も頻度の高い悪性腫瘍だが、限局期(T1〜T2)はほぼ無症状であるため、DRE()とPSA()によるスクリーニングが診断の出発点になる。組織学的な悪性度はで表現し、確定診断は超音波で行う。症状が出現する頃には、局所進展(T3〜T4)または遠隔転移まで進行していることが多い。

疫学

  • 欧州男性における悪性疾患の中で最も頻度が高い
  • ハンガリーにおける年間死亡数は1,200〜1,500人と報告される。

病因

  • 遺伝的要因:人種差、家族内集積。
  • 加齢、

組織学的異型度

腫瘍内のパターンは5段階(パターン1〜5)に分類され、は最も頻度の高い2つのパターン番号(主パターン+副パターン)の合計で表す。

Gleasonパターンの範囲
高分化 パターン1〜3が主体
中分化 パターン4が混在(合計スコア4〜7)
低分化 パターン5が混在(合計スコア8〜10)
  • 例:Gleason 4+3=合計スコア7()。
  • 理論上の最小スコアは2だが、現在の診断では実際には用いられない(パターン1・2は現在ほぼ診断されない)。
  • 最大スコアは10。
  • は予後と高く相関する。

⚠️ 現行のでは、に加えて「ISUP(国際泌尿器病理学会)Grade Group(グレードグループ)1〜5」を併記するのが標準である(2014年ISUPコンセンサス、WHO 2016年分類以降)。同じ合計スコア7でも、主パターンが3か4かで予後が異なる(3+4=Grade Group 2、4+3=Grade Group 3)ことを明確にするために導入された。

Grade Group
Grade Group 1 ≤6(3+3以下)
Grade Group 2 3+4=7
Grade Group 3 4+3=7
Grade Group 4 8(4+4、3+5、5+3)
Grade Group 5 9〜10

病期分類(TNM、臨床病期)

DRE・PSA・に画像検査を組み合わせてを判定する。にはを用いる。

flowchart TD
    A["T1:臨床的に指摘できない腫瘍"] --> B["T2:前立腺内に限局する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palpable'>触知可能</span>な腫瘍"]
    B --> C["T3:前立腺被膜を超えて進展"]
    C --> D["T4:膀胱・括約筋・直腸など隣接臓器へ浸潤"]
  • N1〜N3:所属リンパ節転移の広がり。
  • Mx/M0/M1:遠隔転移の評価。

症状

病期 症状
限局期(T1〜T2) 通常は無症状! スクリーニング(DRE、PSA)で発見される
局所進展期(T3〜T4) 、血尿、、頻尿、部分的または完全な尿閉、
転移例 痛、下肢痛が初発症状となることがある
  • T4かつ節転移例では尿管閉塞→水腎症・腎不全に至ることがある。
  • M1(遠隔転移)例では、肺・肝・脳転移による症状を呈することがある。

💡 限局期がほぼ無症状であることが、が重視される理由である。ただしPSAは前立腺特異的であって「腫瘍特異的」ではなく、前立腺炎でも上昇しうる点に注意する。

診断

DRE(直腸診)

  • の前立腺を触知することがある。
  • 前立腺癌はに好発し、直腸から触知しやすい。

腫瘍マーカー:PSA

PSA値 DRE所見・方針
< 4 ng/mL 正常域。DRE陽性なら精査
4〜10 ng/mL グレーゾーン。DRE陽性または陰性いずれもありうる
> 10 ng/mL 悪性の可能性が高く、いずれの場合も精査(生検)を行う
  • PSAは前立腺から分泌される(前立腺特異的)マーカーであり、腫瘍特異的ではないため前立腺炎・BPHでも上昇する。
  • Total/free PSA比、PSA velocity(変化速度)、PSA density(体積補正)なども鑑別に利用する。

画像・生検

  • を施行する。
  • 生検が必要
    • 会陰式生検:直腸がない患者など特殊な場合。
    • 超音波。左右各葉から5〜6か所ずつ、計12か所の系統的生検を行う。合併症:尿道出血、血尿、感染(を行う)。
    • MRI融合生検:以前に超音波を受けて特異的所見がなかったが、経過観察でPSAが上昇した患者に対する標的生検。MRI画像とリアルタイム超音波を融合させてする。
  • MRIは次のステップとして施行する。
  • (前立腺特異的な尿中RNAマーカー)は後の尿から測定可能。

遠隔転移のスクリーニング

  • 胸部X線・CT:肺転移の評価。
  • の評価。
    • 前立腺癌では体幹骨(脊椎・骨盤など)に多発性病変を来しやすい。
    • では四肢骨に孤立性病変を来しやすい(対比して覚える)。

まとめ

  • 前立腺癌は欧州男性で最も頻度の高い悪性腫瘍で、限局期はほぼ無症状のためDRE・PSAによるスクリーニングが重要。
  • は主パターン+副パターンの合計で表し、現行診療では同じ合計スコアでも予後を区別できるISUP Grade Group(1〜5)を併記する。
  • 症状は局所進展期以降に顕在化し、が体幹骨優位という点で(四肢骨・孤立性)と対比できる。
  • 確定診断は超音波(12か所)がで、PSA上昇例で前回生検陰性の場合はMRI融合生検を検討する。