Pathology

Pathology · C/83

前立腺癌

Carcinoma of the prostate

応用トピック
前立腺・膀胱腫瘍の疫学・病因・組織・病期・症状・診断前立腺癌の頻度・症状・診断限局性前立腺癌
薬剤
フルタミド
疾患
前立腺癌
スコア
Gleasonスコア

🧠 全体像:前立腺癌はアンドロゲン依存性の腫瘍で、辺縁帯(前立腺の後方)に生じるためで触知できる一方、尿道からは離れているぶん症状が出るのが遅い——BPH・早期閉塞)と対照的なこの部位の違いが、両者の臨床像を分ける最大の軸である。診断はPSA(前立腺特異的だが癌特異的ではない)とGleason分類(の合計スコア)を組み合わせて行う。

概要

  • 男性で最も多い内臓癌
  • 男性の癌関連死の第2位(肺に次ぐ)。
  • 高齢男性(50歳超)の疾患。
  • 95%が腺房型腺癌

発生機序

A)ホルモン性

  • アンドロゲンが腫瘍発生の「土壌」を提供 — 前立腺はアンドロゲン依存性。

B)遺伝性

  • が罹患するとリスク増加(家族性)。
  • 白人・アジア人よりアフリカ系アメリカ人に多い

C)遺伝子

  • TMPRSS2-ETS融合遺伝子 — アンドロゲンプロモーターがETS転写因子のに融合。
  • 機能喪失型PTEN変異によるPI3K/AKT経路の活性化 → 腫瘍細胞の増殖+生存。

D)環境

  • 工業環境、地理的差異。
  • に富む食事、喫煙。

形態

  • 検出時、多くの癌は肉眼で見えない
  • :隣接腺に浸潤する硬く灰白色〜黄色の病変。
  • 辺縁帯(後方)に生じる —
  • 組織像:
    • 腺癌、高分化からまで。
    • のない細胞に裏打ちされた腺(の消失 = 重要な診断的特徴)。

臨床像

  • 早期にはしばしば臨床的に無症状、偶発的に発見。
  • 硬く不整な結節、固定した前立腺
  • 広範な癌 → 局所不快感+尿道の合併症(辺縁帯のため後期)。
  • 進行性の癌は転移で発症しうる:
    • — 多くは(骨形成性)病変、のことも。
    • +骨盤+が好発部位。
    • 局所浸潤:、膀胱、直腸。
    • +血行性の播種。

治療

診断

直腸診

  • 55〜69歳の男性に2年ごとに推奨。
  • 辺縁帯のな硬い結節。

前立腺特異抗原

  • 精液中に分泌される
  • 前立腺癌は正常組織の10倍のPSAを分泌(正常値 < 4 ng/mL)。
  • 前立腺特異的だが癌特異的ではないBPH、前立腺炎、器具操作でも上昇。
  • 他の検診法と併用+治療反応のモニタリングに最適。
  • PSA > 10 ng/mL → 強い疑い、生検。

生検

  • 経直腸的超音波で確定診断。

Gleason分類

  • 細胞がどれだけ異常に見えるか進行の可能性を示す。
  • → 高分化、非攻撃性。
  • → 最も低分化、攻撃性。
パターン 記述 分化
1 小さく均一な腺 高分化
2 腺間の間質が増加 高分化
3 明瞭に浸潤性の辺縁 中分化
4 腫瘍腺の不整な塊 低分化・
5 時折ののみ 低分化・
  • 最終スコア:最も多い2パターンの和(範囲2〜10)。
  • スコア≤6 = 低リスク、7 = 中間、≥8 = 高リスク。

⚠️ 現行のではに加え、ISUP(国際泌尿器病理学会)Grade Group(1〜5)を併記するのが標準(2014年ISUPコンセンサス、WHO 2016年分類以降)。同じ合計スコア7でも主パターンが3か4かで予後が異なるため区別する。

Grade Group
1 ≤6(3+3以下)
2 3+4=7
3 4+3=7
4 8
5 9〜10

比較 — BPHと前立腺癌

特徴 BPH 前立腺癌
部位 (尿道周囲) 辺縁帯(後方)
平滑、ゴム様、腫大 硬い結節、不整、固定
PSA 軽度上昇 著明に上昇(> 10 ng/mL)
保たれる 消失
症状発症 早期閉塞 後期(進行するまで無症状)
なし

💡 ポイント: 男性で第1の内臓癌、癌死第2位腺房型腺癌95%辺縁帯で触知 = 硬い結節)。発生機序:TMPRSS2-ETS融合PTEN喪失、アンドロゲン依存性。アフリカ系アメリカ人でリスク増加。組織像:のない腺。、骨盤、)。診断:+PSA(10倍上昇、癌特異的ではない)+生検。Gleason分類(最多2パターンの和、2〜10)。治療:手術+放射線+進行例に(GnRH、抗アンドロゲン)。HGPIN

まとめ

  • 前立腺癌は男性で最も多い内臓癌で、男性の癌関連死の第2位。
  • 95%が腺房型腺癌で、TMPRSS2-ETS融合遺伝子・PTEN喪失によるPI3K/AKT経路活性化が関与する。
  • 辺縁帯(後方)に生じるためで硬く不整な結節として触知できるが、進行するまで無症状のことが多い。
  • 組織学的にはの消失が重要な診断的特徴。
  • PSAは前立腺特異的だが癌特異的ではなく、BPH・前立腺炎・などでも上昇する。
  • Gleason分類は最も多い2パターンの和(2〜10)で評価し、現行はISUP Grade Group(1〜5)も併記する。
  • は多くが・骨盤・に好発する。
  • 治療は手術・放射線・で、転移性例では早期からまたはを併用するのが現行標準。